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純心とサポーター(1)

もっと消耗しているかと純心は思っていたが、

犬女ちゃんは思った以上に元気だった。

そこで、純心は家に帰る前に

みんなと合流することにする。

ここまでみんな一緒になって探してくれたのだ。

早く会ってあげて欲しい。

純心はそう思った



「犬女ちゃん、本当に無事でよかったよー」

大泣きしながら犬女ちゃんに抱き着く夏希。


「本当に、大事なくてなによりですわ」

大粒の涙を流しながら犬女ちゃんを抱きしめるお嬢様。


犬女ちゃんは夏希とお嬢様、

群れの仲間に再会出来て

嬉しそうに尻尾を振っている。

二人の鳴き声に合わせて、

とき折り鳴き声を上げる。


犬女ちゃんに抱き着いて

泣いている夏希とお嬢様。



その光景を見て泣いている生徒会長。

純心はそんな生徒会長の目の前に、タオルを差し出す。


「べ、別に、泣いているわけじゃありませんでしてよ。

き、今日は暑いから、汗が目に入っただけですってよ。」


汗が目に入ったレベルではなく、

ボロボロになるぐらい大泣きしている生徒会長。


「生徒会長、ありがとうございました。

お陰様で大切なものを失わずに済みました。」


ここまで大した関係があったわけでもないのに、

親身になって探してくれた生徒会長に礼を言った。


「ちょ、ちょっと、あなた、こんなときに

私を泣かそうとするなんて、卑怯ですってよ」

生徒会長は泣きながら、顔を赤くして、

純心の肩を軽く手で押した後、タオルを受け取った。


「べ、別に、私は、生徒会の使命として、見届けただけでしてよ」


「もうさー、そんなこと言ってないで、

生徒会長も一緒に泣こうよ」


夏希は生徒会長を連れて行き、

三人が犬女ちゃんに抱き着いて泣いた。


純心もそれを見てもう一度泣いた。




帰りはタクシーに乗って帰った。

犬女ちゃんを乗車拒否されるかと

心配していた純心だったが、

理解がある運転手さんで助かった。


電車にしろ、タクシーにしろ、

犬女ちゃんが長距離を移動出来る手段は、

いろいろと大変なことが多い。

この社会はまだ犬女に対して、

それほど優しくはなかった。




家に帰った犬女ちゃんは純心の母親と再会を果たす。


純心母を見つけた犬女ちゃんは、いきなり飛びついた。


「犬女ちゃん、久しぶりだね、元気だったかい?」


純心母は犬女ちゃんを抱きしめて、

何度も優しく頭を撫でてあげる。


犬女ちゃんも嬉しそうに、

尻尾を振って、ハァハァ言っている。


「あんた、すっかり大きくなっちまって。」

「?」

「ちょっと、あんた大きくなり過ぎちまったんじゃないかい?」


純心母は密着された犬女ちゃんの

胸の大きさに気づいて、そう言った。


「こりゃ、ちょっとあの子には、

刺激が強過ぎる、サイズかね」


今さらながら、純心の苦労を知る母であった。



犬女ちゃんは純心母と一緒にお風呂に入り、

純心はその後、シャワーを浴びることにする。


犬女ちゃんは、ソファに座った純心母の

膝の上に寝転がって、ずっと甘えている


純心母はずっと犬女ちゃんの頭を優しく撫で続ける。


「あの子の面倒を見させちまって、すまなかったね」


純心母の顔をじぃっと見つめていた

犬女ちゃんは、ワンと鳴いた。


「これからも、あの子を見守ってやっておくれよ」


犬女ちゃんは、嬉しそうな顔で、もう一度ワンと鳴いた。


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