表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/233

犬女ちゃんとガールズバンド(1)

それは、またしても

生徒会長の無茶ぶりから

はじまったことだった。


犬女ちゃんをメインにして、

文化祭の集客用、

プロモーション動画を

つくるという話を

持って来たのだ。


犬女ちゃんが文化祭で

劇をやることになったのと

ほぼ同じ時期の話である。


当然ながら、

大学関係者にアピールして、

文化祭に訪れてもらい、

犬女ちゃんの劇を観てもらう

というところまでが、

ワンセットとして

考えられている。


そういうのは、

もう少し早く言えよ、

と純心は思うのだが、

ここまで犬女ちゃんが

学校に慣れるのを待っていたと

考えれば、仕方がないこと

なのかもしれない。


-


PVのプロデューサーには

前回の実績を買われ

ドルオタが起用された。


生徒会長は意外と

前回のドルオタのPVが

気に入っているらしい。


なぜか生徒会長の他にも、

いつものメンバーである

夏希、お嬢様、

そしてご新規の図書委員、

みなが集められており、

今度は何をするのか

ドルオタPから発表がある。


「今回は今流行りの最先端ですぞ」


『みなまで言うな、

お前が言いたいことはわかっている、

どうせスクールアイドルと言うのだろ』


「やはり今はガールズバンドですぞ!」


『そっちかい!』


ガールズバンドには

当然バンドメンバーが必要で、

それでいつもの女子メンバーが

集められていたというわけだ。


「ちょっと待て、

ガールズバンドって、

犬女ちゃんは何をやるんだ?

確か犬女ちゃんメインの

PVって話だろ?」


なぜ楽器を弾くのが

致命的に無理な犬女ちゃんが

ガールズバンドなのか、

純心はまったく

得心がいかなかった。


「ヴォーカルに

決まっておりましてよ」


ダンサーか何かかと

思いきや、生徒会長から

予想外の答えが返って来た。


『はぁ?歌えねーだろが』

『そこはボーカルじゃだめなのか?』


「そうだねー、犬女ちゃん

純心よりカラオケの得点

高かったもんねー」


カラオケのときのことを

思い出したのか、

夏希は腹を抱えて笑う。


「犬女さんの歌声、

胸に響きましたもんね、

素敵でいいと思いますわ」


お嬢様は驚くでもなく

いつも通りの感じだ。


-


「ちゃんと選曲と構成は

すでに考えておりましてよ」


生徒会長のドヤ顔もここ最近で

どれぐらい見たことだろう。

なぜこの人は、

結果が出る前にドヤ顔をするのか

不思議で仕方がない。


「バンドで演奏する曲は

『学園天国』でしてよ」


「伝説級のアイドルが歌った名曲ですぞ」


もちろん世代ではないが、

純心も聞いたことぐらいはある。

いろんなアーチストが

カヴァーしているし、

いろんな学校とかで

何かあると使われている印象がある。



「『Hey!』のノリがいいから、

海外受けもバッチリですぞ」


『文化祭の集客なのに、

海外受けとか関係ないから』


ドルオタ的には再生回数が増えれば、

海外であろうと関係ないのだろう。


生徒会長が考える構成では、

曲冒頭で連呼される

『Hey!』の部分を

犬女ちゃんが歌うと言う。


『Hey!』は『ワン!』に

置き換えらえるわけだが、

確かにそれぐらいであれば

犬女ちゃんにも歌えるだろう。



「あたしはいいと思うなー、

明るくて楽し気な曲だし、

楽しい学校って感じするよー」


夏希はすでにノリ気だった。

いやこのメンバーが

なんでもありなのは

いつものことだ。


「まだ曲は聞いた

ことがありませんが、

犬女さんが歌えるなら

いいと思いますわ」


そもそも

ガールズバンドを

嫌がる人間が

一人もいなくて、

やる前提で話が

進んで行くのがすごい。


最近は犬女ちゃんも

嫌がらずに、

むしろノリ気で

なんでもやるので、

犬女ちゃんの意志確認もされず、

やることになってしまうのもすごい。


犬女ちゃんのチャレンジとしては、

きっといいことなのだろうが。

おそらく。



改めて、

犬女ちゃんも交えて、

演奏する曲を流して

みなで聞いてみる。


「本当に、なんだか

楽しそうな学校の曲で、

いいですわね」


お嬢様にも好評だった。

犬女ちゃんもノリノリで

体でリズムを刻みはじめている。

こういうのは犬女ちゃんでも

体が勝手に動くものらしい。


『お前も少しは仕事断れよ』



それでもどうしても

もう一つだけ純心的には

得心行かないことがあった。


『なぜお前ら、

こういう曲も知っているなら

カラオケのときに歌わんのか』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ