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犬女ちゃんと掃除の時間

掃除の時間。


犬女ちゃんも物は試しに、

学校の掃除に参加することになった。


物を握れない犬女ちゃんに、

どうやって掃除に参加してもらうか、

学校の先生や、生徒会長をはじめ、

大勢の人間がアイデアを出し合う。


純心は以前自宅の掃除で、

前脚で雑巾がけをしたら

結構上手かったことと、

前脚にスプーンやフォークを

縛りつけたら、案外上手く

使いこなしていたことを発言する。


「なるほどな~」


「よく考えたもんだなぁ」


学校の先生達は感心しきりだ。


そんなに感心してもらえるのなら、

成績か内申書にでも反映させて

もらえないものだろうかと

純心は思ってしまう。


確かに純心ほど

犬女ちゃんが人間社会で

生活して行くのには

どうしたらいいのか、

ひたすら考え抜いた

人間はいないだろう。


それこそが本当の愛情なのだが、

純心自身もそのことには

まったく気づいていない。


とりあえず、

雑巾がけについては、

雑巾が紐でつなげられた

リストバンドを犬女ちゃんの

手首に着けてもらうことになる。


掃き掃除については、

手首と腕にリストバンドを着けて、

ホウキを装着する

アタッチメントのようなもの

がつくられた。


「こういうのも、

研究データとして、

大学側には喜んで

もらえるんでしょうかね」


先生の一人は

そんなことを言っていた。


この学校は、このまま

犬女の研究機関か何かに

なるつもりなのだろうか、

と純心は秘かに思う。


自分も似たようなことを

やっていたにも関わらず、

どうも他人にやられると

犬女ちゃんを実験材料に

されているようで、

多少抵抗を感じてしまう純心だった。


-


掃除のとき、

犬女ちゃんは雑巾がけも

ホウキでの掃き掃除も

そつなくこなしていた。


ホウキ掃除用

アタッチメントに関しては、

少し腕が動かしづらいようで、

まだ改良の余地が見られる。


雑巾かけに関しては、

そもそもが四つ足で

走り回ることを得意とする

犬女ちゃんなので、

喜んで学校中を駆け回った。

当然、廊下を走るな、

と先生に注意されてしまうのだが。


本来であれば

自由に駆け回らせて

あげたいところなのだが、

人間の集団社会に

入り込むということは、

人間の集団社会のルールを

守らなくてはならない

ということなのだと、

純心は改めて認識した。


そういう生活は犬女ちゃんに

ストレスがかからないのだろうか、

とも思う。


-


犬女ちゃんが

雑巾がけをしていると、

男子生徒がその後を

乾拭きと称して、

雑巾がけでついて行く

という事案が発生する。


男子生徒としては、

犬女ちゃんのセクシーな

そのお尻のバックショットを

拝みたいというところだろう。



シュババババッ!!


「こらぁっ!貴様らぁっ!

犬女さまに何をしているっ!」


しかしそんな輩が出没すると、

小夜子先生が飛んで

駆けつけて来てくれる。


いつになく口調を荒げ、

興奮のあまりまるで別人。

ついつい犬女さまとも

言ってしまっている。

犬女ちゃんのことになると、

小夜子先生は常軌を逸してしまう。


小夜子先生は、犬女ちゃんに

恋焦がれるド変態であり、

校内ではストーカーみたいに

なっているが、犬女ちゃんに

危害を加えるようなことを

するわけではないし、

むしろ学校で犬女ちゃんを

見張って守ってくれている

と思えばよいかと、純心は

前向きにとらえることにした。

こうした輩からも

守ってくれるわけだし。


この先もし学校で

何かあったとしても、

犬女ちゃんの味方をしてくれる

先生がいるのは心強い。


「はあん、犬女さま…」


犬女ちゃんは、

小夜子先生に対して

相変わらずの

焦らし&放置プレイのようだが。


犬女ちゃんは、

掃除の時間も楽しそうに、

純心と一緒にお掃除していた。







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