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犬女ちゃんと変身(1)

犬女ちゃんの変装は、

どこまで通用するのだろうか。

純心は興味を持っていた。


もし変装しさえすれば、

人間と同じように

いろいろなところに行ったり

出来るようになるのであれば、

これからの二人で過ごす生活、

その可能性を広げて行くことが

出来るかもしれない。


-


変装については夏希に

相談してみることにする。

やはりこういう内容については、

夏希が一番相談しやすい。


電話で話しをすると

夏希は大乗り気だった。

以前から犬女ちゃんを

着せ替え人形のように、

お洋服をお着替えさせたり

するのが大好きだったので、

純心もだいたい反応は予想出来ていた。



「家にいろいろあるから、

あたしん家に来てよ」


いろいろって、

何がいろいろあるんだろうか、

純心は首をかしげながらも、

犬女ちゃんと一緒に、

夏希の家を訪れる。


-


「やっぱさぁ、帽子もいいけど、

絶対ウィッグのほうがいいと思ってたんだよね」


夏希の部屋にはいろいろと、

ウィッグやら変装グッズ、

化粧品に洋服などが

すでに用意されていた。


『お前ん家はドンキ・ホーテかなにかか?』


犬女ちゃんも

まさかこれから目の前にある物で

お着替えされるとはまったく思っておらず、

物珍しそうにいじって遊んでいる。


高校生男子の純心からすると、

ウィッグと言っても、

要するにカツラではないのか、

というところからはじまる。


そして何故カツラなどが

普通に家にあるのかが、

そもそもよくわからない。


夏希に変身願望であるのだろうか?

と真剣に思ってみたりもする。


「やっぱさ、金髪ロングだと

お嬢様とキャラかぶるからねー」


「お前さ、コスプレ趣味とかあんの?」


疑問が頂点に達した純心は、

ついに聞いてみることにする。


「やだなぁ、何言ってんの、

陸上やってて、普段、髪短いからさぁ、

たまにロングにしてみたいなー

とか思ったりするんだよねー」


聞いてみたところで純心の疑問は

解消されそうもなかった。


「どう?」


夏希は黒く長い髪のカツラを

自分でかぶって見せた。


「お、おう」


確かに、ロングの髪型の夏希は、

普段の活発な印象とはまたく異なり、

清楚で大人しそうな感じに見える。


『女ってコワイな』


一瞬で変身した夏希を見て純心は思う。


「そ、そういうのもいいんじゃないかな、

に、似合ってると思うぞ…」


純心の意外に素直な反応に、

むしろ夏希が顔を赤くして照れた。


-


犬女ちゃんは、頭をネットで覆われ、

ロングの黒髪カツラを被らされる。


純心は耳が痛くはないのだろうかと

心配したが、犬女ちゃんは全然平気そうだった。


ショートカットがトレードマークだった

犬女ちゃんの黒髪は、純心には衝撃的ですらある。


「じゃぁ、

全面的にお着替えするから、

純心は立ち入り禁止ね」


そう言われて純心は

夏希の部屋から追い出されてしまう。


それからしばらく、

まるで花嫁のお色直しを待っている

花婿のように、落ち着かない心持で、

お着替えが終わるのを待たされる。






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