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純心と母との絆(1)

いよいよ、純心の母が

日本を離れて、

海外に戻ることになった。



出発前日の晩、

夏希、お嬢様、生徒会長と、

愛ちゃん五姉妹は、純心の家で

壮行会を開いてくれていた。


女子高生トリオからは、

母に餞別が送られた。


お嬢様からはスクール水着を数着。

お嬢様のお古の他に、

新品のスクール水着を、

お嬢様は用意してくれていた。

なんでそんなに何着も必要だと思ったのか

純心にはよくわからなかったが。


夏希からは海水浴で着ていた紐のような水着。

よっぽど海水浴での母の姿に心酔したのであろう。

どこに惹かれるのか、やはり

純心にはまったくわからなかったが。


生徒会長からは、

セレブの間で流行っているという、

家で全裸で過ごすときに、

ソファに敷く超高級シルクがプレゼントされた。

なんでもその上に全裸で寝ると、

とても気持ちが良く、

家の中で服を着ているのが

馬鹿らしくなるほどのだと言う。


うちの母親のイメージが

そんな感じだと思うと、

純心は複雑な心境だったが、

母は素直に大層喜んでいた。



ちびっ子姉妹、

マイちゃん、ミイちゃん、

ユウちゃん、ユアちゃんは

純心母に抱き着いて泣いていた。

母もちびっ子達を抱きしめて一緒に泣いていた。

この夏は毎日のように、母のところに

遊びに来ていたから仕方ない。


豪快で破天荒に見える母だが、

こう見えて実は、

情に厚くて涙もろい人であることは、

純心もよく知っていた。


-


少し気がかりなのは、

ここ最近、何やら生徒会長と

二人きりで話をしていたり、

学校に行ったりしていたので、

また何か企んでいるのかと

純心は嫌な予感がしていたのだが、

何も起こらないまま

この日を迎えたことだった。


おそらくは修了式の日に起きたことで、

学校と話し合っていたのだろう、

純心はそう思うことにして、

あまり気にしないようにした。


-


この夏を母と一緒に過ごして、

母と一緒だった幼い頃の記憶を思い出したり、

母の強さや優しさを改めて知ったり、

男前な性格、豪快さや破天荒なところを

再確認した純心。


しかし、思春期特有の照れや恥ずかしさ、

自立心の成長などもあり、

今ひとつ素直になりきれないでいた。


自分をとても大切に想ってくれる人には、

きちんと向き合わなくてはならない。

自分も本当はとても大切に想っているのだし。

純心はそのことを犬女ちゃんから、

教えてもらっていた。


それでも恥ずかしい純心は、

母が乗った飛行機が堕ちたら、

二度と母に気持ちを伝えることが出来ない、

と若干不謹慎な思い込みをすることで、

勇気を奮い立たせようとしていた。







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