ユニークモンスター出現!
「酷いなー、俺がクズなのは弟に対してだけだぞ」
「肯定してきた!?」
「さてと――」
とりあえずアイテムボックスを開いた上で、アイテムボックス内の【MAP】アイコンを選択する。
地下11階層のMAPが1キロ四方開いたところで回収できそうなアイテムは全てクリックして回収を押す。
一瞬でMAP上のアイテムが全てアイテムボックスの中に収納される。
「兄貴? 何をしているんだ?」
「秘密だ」
回収した魔鉱石の数は全部で423個。
地下12階層へと降りていく階段まで、そのあとはゾンビに会う事もなく到着し階段を降りた。
階段を降りると以前に菊池楓さんと共に到着したお寺に到着するが――、
「何だか以前と違って神聖な感じがしないな」
「すごく嫌な雰囲気だ。兄貴」
「だな」
寺の中は綺麗ではあるが黒い霧のようなモノが、寺の中と寺周辺のMAPに立ち込めているように感じられる。
「どういうことだ?」
「兄貴! 寺の門の外に、無数のゾンビが蠢いているぞ! たぶん、4桁はいる!」
「ほう」
アイテムボックスを開き、範囲指定してゾンビの魔鉱石を全て範囲回収する。
途端に、見えていたゾンビが全て崩れ落ちる。
1キロ四方に存在していたゾンビから回収した魔鉱石の数は、先ほど地下11階層で範囲
回収した魔鉱石と合わせて2099個。
どうやら地下12階層には、ゾンビモンスターは1600匹を超える数が集まっていたようだ。
以前もそうだったが、地下12階層の寺にはモンスタートレインしてきたやつらを放置して地下11階に上がる不届きな冒険者がいると冒険者掲示板に書かれていたが、酷いものだな。
「ギャアアアアアアアア」
そう思考していたところで寺の本堂の方から叫び声が聞こえてきた。
「兄貴! ゾンビが消えたと思ったら本堂の方から魔物? だよな? 魔物の叫びが聞こえたんだが?」
「どうなんだろうな」
アイテムボックスからの範囲回収で魔鉱石が回収できなかったということは、死んでいる魔物ではないということか?
実際、アイテムボックスを開いているが回収できるアイテムは表示されていないし。
「浩二、レベルは上がったか?」
「上がってないな」
「なるほど」
どうやらアイテム回収からのゾンビ殲滅コースは経験値にならないらしい。
まぁ、レベルが上がっていたら「レベルが上がったんだが?」と報告してきそうなものだからな。
そうこう弟と話をしていたところで、寺の本堂の両開き扉が外側――、つまり俺達側に向けてはじけ飛ぶ。
そして本堂から出てきたのは、5メートルを超える巨大な筋肉隆々なゾンビだった。
姿を見せたゾンビ。
それと同時に、アイテムボックス内のMAPに赤い光点が出現する。
「あー、回収できるのか」
どうやら本堂内に居たから、アイテムが回収できない判定になっていたらしい。
アイテムボックス内のアイコンから範囲指定して魔鉱石を回収する。
それと同じくして巨体のゾンビは砕け灰になり消え去った。
「よし」
「兄貴、何をしたんだ? 新しい魔法か?」
「それは企業秘密だな」
親しい中にも礼儀ありだ。
隠しておきたい能力については極力、身内であっても隠しておく。
これは命が掛かったダンジョン内の探索であって、ゲームではないのだ。
それに身内からの方が情報の洩れることは多いと宝くじ高額当選者は語っていたからな。
「ふむ……」
「なんだよ? 兄貴。隠し事か?」
「冒険者は手の内を晒さないのは鉄則だ」
「はー、もういいや。――で、これから、どうするんだ?」
「とりあえず氷と水と火以外の属性魔法を使って実験をしてみるとしよう」
「分かったよ」
弟が渋々と言った感じで頷く。
そしてアイテムボックス内を見ると、ユニーク魔鉱石というのが入っていた。




