地下17階層での狩り
――養老渓谷ダンジョン地下17階層。
階段を降り切った場所は、学校で言うところの体育館ほどの広間だった。
ただ一つ違うのは、壁は黒い大理石のように光っているという点。
まったくつなぎ目がないのは、神様が作ったからなのかも知れない。
「これは、また16階層とか15階層とか趣が随分と違うんだな。それに大理石自体から淡い光が出ているな」
俺は、大理石らしい壁を触りながらも、その奥から光が滲んでいることに少しだけ興味をそそられつつ、広間から外へと繋がっているであろう光が差し込んでいる方角へと視線を向けた。
「とりあえず広間から出てみるか。ミツハ、浩二」
「わかったわ」
「さっそく新階層だな! 兄貴」
3人で広間から出ると、景色は一変。
そこは大草原であった。
遠くには針葉樹の森が見える。
後ろを振り返れば、体育館と同じくらいの大きさの建物というか石のピラミッドがあった。
「やっぱりダンジョンの中は、不思議だよな。ピラミッドもあるし……」
そこまで言いかけたところでアイテムボックスを開いたままで周囲1キロを表示していたMAPの中に何かが動くような気配を感じ取る。
感じ取るというか実際、上空から見た映像をリアルタイムに映すような感じなので、実際に動いているものは動いているのだが。
拡大すれば、それは犬であった。
犬と言えば語弊があるかも知れない。
「犬の集団が、俺達に向かってきてる! ミツハ! 浩二! 注意しろ!」
「犬って――、20階層まで日本狼だったか? 兄貴、狼の数は?」
「魔鉱石を取り出すことが出来ないから、反応数が確認できない。目測で10匹前後ってところだな」
「移動速度の速い犬との戦闘が10匹前後とか多くね?」
弟の浩二がブツブツ言いながら、自身のアイテムボックスから俺が渡しておいた剣鉈とライオットシールドを取り出す。
「お前、いつの間にライオットシールドなんて買ったんだ?」
「ダンジョンに潜るなら普通に用意するだろ!」
俺は用意していないが……。
「旦那様、見えました」
ミツハは、俺と浩二の会話を横で聞きながら冷静に報告してくる。
「どうしますか? 旦那様」
「とりあえず――」
俺は向かってきている狼に向かって――、
「アイスランスX20」
空中にスキル【水魔法Ⅴ】を利用して応用した氷の氷柱を形成。
それらを全て向かってきている狼に向けて射出する。
音速の速さで射出されたアイスランスは、向かってきていた狼たちを一瞬で串刺しにした。
「よし、終了」
「……兄貴」
「何だ? 浩二」
「戦闘が始まる前に戦闘が終わったんだが?」
「さすが旦那様です!」
浩二は何か言いたそうだが、モンスターなんて近づかれる前に殲滅した方がいいに決まってる。
犬とか、素手の人間がタイマンしたら、まず勝てないって言うし。
そんな中で集団で狩りにきている犬とか熊すら殺せるらしいから、絶対に近寄らせたくない。
「――お、アイテムボックスで魔鉱石が回収できるようになったみたいだな」
さすがに狼と言っても死ねば、体内にある魔鉱石は回収できるってことか。
アイテムボックスから、指定して回収する。
すると殺した狼が全て目の前から消えた。
「兄貴、狼が消えたぞ?」
「だな……」
アイテムボックスを見ると、
――日本狼(魔鉱石:風属性)X13
と表示されていた。
「どうやら、狼を丸ごと回収したみたいだ」
「そんなアホな……。ダンジョンのモノって魔鉱石かドロップ品以外は回収できないんじゃないのか?」
「そんなことを俺に言われても。それよりも解体とかどうするか困るな。日本ダンジョン冒険者協会に相談してみるか」
「それと兄貴、モンスターとの戦闘だけど俺にも経験を積ませてくれ。いざと言う時に戦えないと困るし」
「分かった。それじゃ、しばらくは1匹を残して倒すことにするな」
「おう!」
しばらくは、地下17階層で狼のモンスターを倒すことに注力することにする。
「旦那様。それなら、血の匂いで魔物を誘き寄せた方がいいわ」
「あー、そっか」
アイテムボックスから日本狼を取り出す。
そして放置しておくと、面白いほどモンスターが寄ってくる。
3時間ほどで3000匹近くの日本狼を討伐した。
【名前】佐藤和也
【レベル】61
【HP】A
【MP】SS
【STR】A
【DEX】A
【CON】A
【WIS】S+
【INT】A
職業
【剣士I】
【魔法使い】
スキル
【鑑定XⅡ】【アイテムボックスXⅢ】【経験値上昇Ⅸ】【ステータス補正Ⅹ】【魔法防御力Ⅸ】【体力補正Ⅸ】【魔力補正Ⅸ】【回復補正Ⅻ】【視力補正Ⅷ】【攻撃力補正Ⅸ】【魔法攻撃力補正Ⅸ】【ワープ】【火魔法I】【水魔法Ⅴ】【氷魔法I】【風魔法I】【土魔法Ⅱ】【聖魔法I】【闇魔法I】【光魔法I】【雷魔法I】【回復魔法I】【水魔法耐性Ⅶ】【防御魔法Ⅰ】【パーティ編成】
【神名】罔象女神 (みつはのめのかみ)
【名前】佐藤 美津波
【レベル】――
【HP】A
【MP】A
【STR】B
【DEX】B
【CON】A
【WIS】A
【INT】B
職業
【水の女神】【佐藤和也の妻】
スキル
【水魔法――】
【名前】佐藤浩二
【レベル】44
【HP】A
【MP】B
【STR】A
【DEX】B
【CON】A
【WIS】A
【INT】B
職業
【剣士I】
【正義のヒーロモドキ】
【三途の川からの生還者】
【暗殺者】
スキル
【鑑定I】【アイテムボックスⅢ】【火魔法I】【水魔法I】【氷魔法I】【風魔法I】【土魔法Ⅱ】【聖魔法I】【闇魔法I】【光魔法I】【雷魔法I】【ふんばり】




