罠だったのかー(棒読み
「はて? 何のことやら。それよりも、どちらの警察署の方から来られたんですか?」
「警察署の方から来ました」
日本語が通じねえ。
俺は、どこの警察署から来たのか聞いたんだが。
警察手帳を出してもらった方がいいか。
「少し詳しい話を聞きたいので任意になりますが同行を、お願いできますか?」
とても怪しい。
任意だと語るなら断るのもありだな。
「良かろう。妾と和也が一緒に任意で同行しようではないか」
「ミツハ?」
「和也、良いではないか(これで、きちんと家の立て直し請求することが出来るからのう)」
話し方が水の女神モードになっているし、とても威圧的。
笑顔ではあるが、肌を刺すような笑みだ。
「助かります。それでは車の方に――」
黒塗りのワンボックスカーに乗せられた俺とミツハは、警察官の言う通りに茂原の降魔真理教文化会館の中へと案内される。
その間、警察官たちが俺とミツハに対して拳銃を取り出して銃口を向けてきていたが、こうなるだろうなとは薄々感づいてはいた。
そもそも、俺の家をモデルハウスを焼いた別動隊がいるはずなのだ。
その動向が分からないからこそ予備のモデルハウスを買っておいたのだが。
「おい、降りろ!」
「ここは警察署には見えないが?」
「黙って指示に従え!」
俺のことを警察官が拳銃のグリップ部分で殴ってくる。
多少、よろめいたがステータス的に強化されていたので驚くほど痛くない。
「和也、早くゆくぞ」
ミツハと言えば、さっさと降りて文化会館の方へと歩いていく。
さて、どうするのか……。
ミツハと共に文化会館の中へと入れば、ホールのような場所に1000人近い人間達の姿が見えた。
「よく来た! 我らが教祖様を暗殺した大罪人よ!」
何だ? 何だ? ホールの中に入ったかと思うと、唐突に聞こえてきた大音量。
それはマイクを使った音声。
「信者の諸君! この場に現れたのは、我らが降魔真理教を潰そうと暗躍している組織の者たちである! そして、そこの小娘が神と喧伝する悪魔の手先である! さあ、武器を手に持て! 我らが神であり教祖様を暗殺した者を殺し、教祖様に捧げるのだ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
ホールに集まっていた老若男女問わず俺達に向かって殺せコールが始まる。
「さあ、拳銃を向けるのだ! 神と喧伝する偽物を殺し、その血を捧げるのだ! 愚かな日本人め! ここまで騙されて連れて来られて歯ぎしりする思いであろう! だが、貴様らが悪いのだ! お前らが日本人奴隷計画を邪魔したからだ! 愚かな人間は、死を持って、その罪を償うがいい! さあ構えよ! 拳銃を! 銃口を向けよ! 愚かな日本人に!」
ホール集まっている白い外套を着た者たちが憎しみの籠った目で俺達を見てくるが、
「時に聞きたいが、妾と和也の家を焼いたのは貴様の指示か? ムシケラ」
ミツハが笑顔のまま、俺達を殺せ! と、命じてきた男に向けて問いかける。
「良かろう! 冥途の土産だ! 貴様の家を焼いたのは、貴様らを連れてきた警察官である!」
「ふむ……」
「もう良かろう!」
男が手を上げる。
それと同時に俺の視界に半透明なプレートが開く。
――ある一定以上の殺意が確認できました。
――クエストが発生しました。
――神々を謀る降魔真理教を討伐してください(0/1278)
――討伐後、クエストクリア報酬が発生します。
それと同時にログが流れた。




