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神々のダンジョン~チートスキル【アイテムボックス】と【鑑定】でアラフォーおっさんは成り上がる~  作者: 葵はるか
ダンジョン黎明編

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木戸邸襲撃

 木戸商事株式会社の本社ビル前でミツハと別れたあと、以前に聞いていた木戸家の自宅近くまで車で移動する。

 場所は美浜区の住宅街。

 

「たしか学校近くだと言っていたような……」


 乗用車を運転しながらカーナビを操作しつつ確認するが近くには百を超える一軒家が所狭しと建っている。

 正直、一軒家の数が多すぎて、木戸家の家があるのか分からない。

 日が完全に暮れている中、住宅街と言う事も人通りが少ない中、乗用車を運転しつつ目視していくが、確認が取れない。


「時間がないってのに……」


 俺の視界には半透明なプレートが表示されたままで、木戸宅での護衛クエストとしか書かれていない。


「もしかしたら……」


 スキル【アイテムボックスXⅢ】を起動し視界内にアイテムボックスの画面を出現させたあとMAP表示を行う。

 それにより、千葉市美浜区全域の航空映像が表示された。

 さらに、そこから【鑑定XⅡ】により、検索項目に『木戸綾子』と入力し【鑑定】を選ぶ。

 すると美浜区全域の航空映像に赤い光点が表示される。

 赤い光点を選ぶと『木戸綾子』という名前が確認できて、海岸の方へと移動する様子が確認できた。


「もうすぐ午後9時なのに、海の方へ移動?」


 明らかにおかしい。

 夜に海に行く人間なんて殆どいないはずだ。

 ――なら……。


「拉致られたと見た方が早いか」


 本当は巻き込む気はなかったが、起きてしまった可能性が高い以上、俺は車のハンドルを切り稲毛海岸へと向けてアクセルを踏み込んだ。




 ――1時間前。


「はぁー」


 木戸綾子は、熊本への出張から帰ってきた足で自宅のドアを開けてシャワーを浴びたあと下着姿のままリビングの上で横になっていた。

 その時に溜息が出たのは、話の通じない熊本の漁業組合と農林水産省の曖昧な対応に疲れ切ったからであった。


「疲れたなぁ……。どうして文句を言われないといけないのか……」


 少し前から、木戸商事株式会社ではアサリやハマグリなどを日本に出現したダンジョンから大量に仕入れる事になり、それにより関東全域の水産マーケットに、供給を始めたのだった。

 それにより、今まで熊本県が役場と結託し偽装して販売していたアサリやハマグリを市場から一掃することが出来ていた。

 そもそも、海外から輸入したアサリやハマグリなどを数か月間だけ日本の浜で育成したから国産と言い張るのは、明らかに無理がある内容であった。

 誰しもが疑問に思い口に出さない案件。

 何故なら、熊本県が何ちゃってハマグリやアサリを市場に出さなければ、食卓から消えるからだ。

 だからこそ、農林水産省ですら偽装が日本全国に大々的にバレたあとでも当事者たちは一切のお咎めを受けることがなかった。

 それが、ダンジョンでアサリやハマグリが取れるようになった。

 しかもDNAを検査した結果、韓国や中国などという偽物のアサリを国産として偽装した紛いモノではなく、本物の日本のハマグリやアサリ。

 産地偽装で誰一人処罰を受けることのなかった熊本の偽物が、良質な純日本国産に市場から駆逐されたのは当然と言えば当然のことであった。

 ただし、それが熊本水産業と癒着している農林水産省を激怒させたのは当然の帰結であった。

 木戸商事株式会社は、鮮魚などを中央卸売市場から買い付けていること、農林水産省の役人たちから目をつけられたこと。

 それらからの対応と改善のために、木戸社長は自身の娘である木戸綾子を熊本県に派遣したのであったが、待っていたのは熊本県の中身は外国産でガワだけは日本国産を豪語している魚貝類を買えという命令にも似た御上からの指示であった。


「買う訳ないのに……。農林水産省の役人って、ほんと日本語通じないわよね……」


 リモコンを片手にリビングのテレビをつける木戸綾子。

 いくつかのチャンネルを回したところで、自宅のドアが力強く叩かれる音が響いたかと思うと、発砲音が聞こえたことに驚き、ソファーから立ち上がった。


「な、何!? 農林水産省の役人がヒットマンでも雇ったの!?」


 熊本の役場の人間と結局物別れとなったことを思い出して、木戸綾子は、そう口にしたがリビングに入ってきたのは、中国語を口にする重武装をした男たちであった。


「中国語? 熊本役場の人たちは中国人をヒットマンとして雇うくらい木戸商事を敵視していたってこと!?」


 疲れていた頭では深く思考することが出来なかった木戸綾子であったが、銃口を向けられて「ついてこい」と中国語で命令されたことで、すぐには殺されることはないと緊張したまま、男たちに黒のワンボックスカーに乗せられた。





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