水の女神とコスプレ衣装
大多喜のファッションセンターに戻る。
店内に入ると店員が二人係でミツハの洋服を選んでいるところであった。
「こちらもお似合いですよ!」
「うーむ。これは、妾が見知った服とは異なるように思えるのだが……」
「サキュバスコスプレです! 男性に人気です!」
「なるほど……。つまり、これは夜伽で利用するものと?」
「端的に言いますとそうです」
「いただこうか!」
「ありがとうございます!」
俺は、そんな光景を見て、一体、何を見せられているのだろうか? と、思わず心の中でツッコミを入れながら少し離れた場所で自分の服を選びながら時折、チラチラとミツハと店員が選んでファッションを楽しみながら購入する衣服を選んでいるものを確認しておく。
時折、コスプレ系の衣服を多めに購入している様子が見受けられるが、まぁ、ミツハが人間世界を楽しんでいるので細かいことは気にしないことにする。
自宅に、戻ることは出来そうにないので俺も何枚かのTシャツとズボン、下着を購入する事にして、籠の中に入れていく。
幸い、アパートに戻れば衣類系は持って来られるので必要最低限でいいだろう。
自分で使う分を選んで籠に入れたあと、ミツハの場所へと戻るとミツハのファッションショーを行っていた女性店員と目が合う。
ニコリと笑みを向けてくる女性店員。
そして、山盛りになっているコスプレ衣装を指さす。
「意図的か……」
まぁ、チャイナ服とかナース服とか悪くないチョイスだ。
むしろコスプレ衣装系は、好きまである。
幸い、それを女性に頼むとゴミを見るような目で見られると聞いたことがあるので頼むことは出来ないがミツハがノリノリで「頂こう!」とか、言っているので、まぁそこはいいだろう。
細かいことは、ツッコミをしない事にしておこう。
「あっ! 旦那様っ!」
「ミツハ、どうだ? いい感じの衣服はあったか?」
「はい! たくさん、ありました!」
「そっか。それは、よかった」
「旦那様が戻られましたよ? 如何いたしますか? ミツハ様」
「うむ! そろそろ良いのではないか?」
「分かりました。旦那様も、お会計で宜しいでしょうか?」
女性店員が、指さした先には、ファッションセンターの籠20個分の衣類、靴、下着があった。
「あ、ああ……会計をよろしく頼む」
自分が必要だと思った衣類や下着も足して購入する。
かかった費用は60万円弱であった。
購入した荷物は、相当な量であったがアイテムボックスに入れておく。
どう考えても乗用車に乗せられる量では無かったからだ。
「冒険者の方だったのですね」
「うむ! すごかろう!」
女性店員の言葉に応じたのはミツハであったが、何故かミツハは様付けで呼ばれている。
店を出たあとは、再度、ホームセンターにミツハと向かう。
「ミツハは、何だか様付けで呼ばれていたけど何かあったのか?」
「どうでしょうか? コスプレという服を着るようになってからミツハ様と呼ばれるようになりました」
「なるほど……」
良くはわからないが、とりあえず何となく分かったようなないような。
きっとオタクなのかも知れないな。
ミツハのコスプレをしている間にスイッチが入ったみたいな。
「それで、ミツハはどうして……、巫女服のままなんだ?」
「巫女服を凄く褒めて頂いたので!」
「そうか。巫女さんは、日本人からしたら神秘的で近づき難い存在だけど人気だからな」
「近づき難いけど人気って一文で矛盾していますね、旦那様」
「矛盾こそ人間だからな」
「そうですか。旦那様は、巫女服姿の私は御嫌いですか?」
「大好物です」
「それは良かったです! ――ところで、旦那様。どうして、このような大店に来られたのですか?」
「大店というよりかはホームセンターだな。モデルルームを、そのまま購入してきたけど中身は無かったからな。――ということで! 今日から使えるベッドとか一式購入していこう。ミツハの好みでいいからな」
「私に選ばせてもらえるのですか?」
「ああ。俺が選ぶとグレーとブラックだけになるからな。自宅の飾ることはミツハの意見を参考にしたいと思うがいいか?」
「はい! 妻であるミツハに任せてください!」
ニコリとミツハが笑顔を見せてきた。




