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神々のダンジョン~チートスキル【アイテムボックス】と【鑑定】でアラフォーおっさんは成り上がる~  作者: 葵はるか
ダンジョン黎明編

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水の女神との遭遇

 地下16階層に到達したところで、階段がある通路から離れると見渡す限り広大な草原が目の前に出現した。

 空も透けるほど青く、白い雲がゆったりと動いている。

 遠くには川が流れているようで音が聞こえた。


「ダンジョンの中とは思えないな」


 後ろを振り返ると、高さ5メートル、幅10メートルの通路。

 その先には、階段があり15階層へと続いている。


「兄貴! 川の中にヤマメやイワナが泳いでいるぜ!」

「おいおい。勝手に行動したら日本狼が出たときに困るだろ」

「大丈夫だって! 兄貴。周りには草原しか見えないし」

「まぁ、見通しはいいからな」


 弟が川の中に入って、「スパーク!」とか、魔法を使って感電し「ぐあああああああ」とか言って川の中でビクンビクンと川の深さは1メートルもないというのに沈んでく。


「あほか!」


 弟を川の中から引きずりだして「ヒール」の魔法で回復させる。

 浩二が寝ている間にアイテムボックスの中からタライを取り出し、プカプカ浮いているヤマメやイワナやアユを回収していく。

 アイテムボックスには魚は入らないので、タライに入れたまま草の上に置いてキャンプ道具を取り出す。

 川魚を生で食べるなんて自殺行為なので、焼いて食べようとしたところで、


「兄貴……」

「起きたか。お前、何をしているんだ? どうして川の中で雷魔法を使った?」

「――いや、何か鑑定スキルを使ったら、何か倒さないといけないみたいな感じになって、それで気がついたら雷魔法を使って――」


 会話の内容に違和感がある。

 要領を得ない。


「本当に大丈夫か? 何か、おかしなことをされたんじゃないのか?」

「わからない。気がついたら川の中に沈んでいくみたいな……」

「たしかに川の中に沈んでいったな。とりあえず、今後は少し気を付けてくれ。16階層からは、注意するように言われていただろ?」

「ああ、気を付ける。それで俺が倒した川魚は?」

「タライの中に入っているぞ?」

「そ、そっか」

「それで飯でも食うか? 川魚とか、普通に高いから食べて腹を満たすのもありだろ? ここまでフルーツと野菜しか食べてないし」

「そうだな」


 しかし、鑑定スキルを使ったあとに夢遊病のように自爆覚悟で雷魔法を水の中で使うとか普通に考えたらありえないよな。

 もしかしたら――、何か他に要因があるのか?

 川の方へ視線を向けてスキル【鑑定XⅡ】を使用。

 川魚を見ても川を見ても何も変なところは……。

 そう思考し、川が流れていく方角へと視線を向けると、




【神名】

罔象女神 (みつはのめのかみ)


 水を司る女神の一柱。




「……」


 川の向こう側へと移動していく女神様。

 どうやら、浩二は女神に対して直接、鑑定スキルを使ってしまったようだ。

 たしか日本の神は、直接的に姿を見られるのは憚れると、どこかで聞いたことがある。

 つまり、弟が自爆したのは、女神様の姿を直接見たペナルティと言ったところか?


 ――と、いうことは……。


「女神たる妾が注意の意味も込めて、そなたの近親者に神罰を与えたというのに、それを理解せずに、再度、干渉してくるとは覚悟はできているのであろうな? 人間」


 途中まで考えていたところで、目の前に黒髪の18歳前後の美少女たる川の女神が立っていた。

 女神は俺を覗き込んでいる。


「――ま、待ってくれ!」


 慌てて俺は水の女神に対して戦闘の意志はないと伝えるが、それに応じることはなく水の女神の周辺にいくつもの水が集まっていき――、


「くそが!」


 倒れたままの浩二をアイテムボックスから取り出したジープに載せる。

 それと同時に、高圧の水が俺に向けて飛んでくる。


「ウォーターカッター!」


 スキル【水魔法Ⅴ】、スキル【氷魔法I】、スキル【ステータス補正Ⅹ】、スキル【魔法攻撃力補正Ⅸ】が、それぞれ発動すると同時にステータス【INT】Bが更なる威力の補正が入る。

 俺が放ったウォーターカッターは、水の女神が放ってきた高圧の水を全て薙ぎ払う。

 水の女神は、大きく目を見開く。


「ほう……。引きこもりが作ったダンジョンだというから大した武士が生まれることはないと思っておったが――」

「なら、攻撃を止めてくれないか?」

「相手が強ければ強いほど面白かろう?」


 ――コイツう。


 鑑定スキルで水の女神を、もう一度、詳しく見る。




【神名】罔象女神 (みつはのめのかみ)

【レベル】――

【HP】S

【MP】S

【STR】A

【DEX】A

【CON】S

【WIS】S

【INT】A


 職業

 【水の女神】


 スキル

 【水魔法――】



 

 ステータスを見るだけなら、俺よりも上。

 ただし、スキル関係はほとんどない。

 つまり、もしかしたら倒せるかも知れないということ。

 問題は、神殺しをしてもいいのか? という点。


「兄貴……」

「浩二、とりあえず逃げるぞ!」


 まずは逃げて情報収集をしよう。

 ヤバい時は逃げる!

 俺と弟との会話を聞いた女神は怒りの表情をする。


「逃がさん!」


 車の周りの地面が弾け飛ぶと、間欠泉のように地面から湧き上がる水が逃亡は許さん! と、ばかりに視覚的に知らせてくるが俺は無視して車に乗り込みアクセルを全開に踏み込む。


「高圧の水を超えられるとは思うな――ぐべらああああ」


 ハンドルを切ってアクセルを全開にしたあと、女神をジープで轢き飛ばした。

 地面の上をボールが跳ねるかのように転がっていく。


「浩二、剣鉈を!」

「あっ! そういうことか兄貴!」


 地面に倒れたままの女神に向けてジープから降りて走り跳躍する。

 浩二が俺に向けて放り投げた剣鉈を空中で受け取ると【剣士I】のスキルを発動させステータス補正を受けたまま水の女神の首元に向けて振り下ろしながら剣鉈のスキル、【土属性Ⅶ】【水属性Ⅳ】【火属性Ⅱ】【出血Ⅸ】【斬撃Ⅹ】【刺突Ⅳ】【耐久Ⅸ】も上乗せする。


 自身に向かってきた刃物を見て水の女神が俺との間に水の盾を作り出したが、構わず剣鉈を振り下ろす。

 スキル【火属性Ⅱ】が、水の女神の盾を弱体化させる。

 スキル【土属性Ⅶ】が、水の女神の盾を破壊し、スキル【斬撃X】が、水の女神のHPを完全に刈り取った。


「まさか……妾が……、ニンゲンごときに……」


 水の女神は、それだけ語ると、バシャッ! と、言う音と共に体が保てなくなり消えた。

 

「兄貴、倒したのか?」

「たぶんな……」


 レベルは上がっていない。

 だが、倒せたはずだ。

 たぶん……。

 女神を倒した場所を見れば、そこにはタロットカードのようなモノが落ちていた。

 スキル【鑑定XⅡ】で鑑定。




【召喚カード】


 八百万の神々との闘争により認められた場合にのみ、その神の眷属を召喚し使役するためのカードを入手する事が出来る。

 召喚カードにより召喚された神の眷属は受肉するため、主になる者は衣食住を提供しなければならない。






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― 新着の感想 ―
いきなり神コロシとか兄すげーなーと思ったが 召喚カードの一文に もしかして手が掛かる系の居候女子ですか?と兄の女運のなさを思ってみた( ・∇・)
拙者の好きな系統の女神様にござる!
居候が増えるタイプの召喚www(寝床はホムセンの神棚で良いのだろうか?)
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