祝! 漫画版☆連載開始記念SS:「プレゼントだよ、ソフィアちゃん!」
――ある日の真冬の王城内にて。
恥ずかしながら『聖女ソフィア』と呼ばれるようになった私に対し、国王になったヴィンセントくんがこう言ってきた。
「知っているかいソフィア。どこかの国では『クリスマス』というイベントがもうじきあるらしい。サンタっていう役目を背負った者が、街中を歩いて子供たちにプレゼントを配って回るそうだ」
「へぇ~、変わったイベントがあるのね」
タダでモノがもらえるならみんな大喜びするよね。
まぁ聞きかじり感あって本当にそんなイベントなのか気になるところだけど。
「そこでどうだろう? このセイファート王国でもクリスマスをやってみるのは。ぜひとも人気絶頂のキミにサンタ役をやって見てほしいんだけど。あ、もちろん報酬付きでね」
「任せて頂戴! 私、子供大好きだからッ!」
そう言って笑顔で頷く。
――実際は報酬という言葉に目がくらんだんだけど黙っておこっと!
こうして約一か月後に行われることになったクリスマスイベント。
当日の夜、私はサンタ専用だと赤くて白くて妙にスカートの短いドレスに身を包み(なんかエロいんだけどコレ)、街に繰り出すことになったのだった。
◆ ◇ ◆
「こっ、子供のみんな~、プレゼントをっ」
『うわああああああああ!!!! ソフィアさまだぁあああああああッ!』
『ソフィア様だッ! ナマソフィア様だッ!!!!』
『ソフィアーさまー! 核融合レーザー出してー!』
――プレゼント(※ちっちゃいお菓子)を配り歩くことになった私だけど、ここで一つの問題が発生した。
魔王ニーベルングと光線とか出しまくってバトルした影響で、私の子供人気がやばすぎるのだ……!
みんなしょぼいプレゼントなんかには目もくれず、「握手してください!」とせがんでくる!
「ちょっ、ちょっとみんな離れて離れてっ! ソーシャルディスターンスッ!」
そうして私が子供たちの群れにもみくちゃになりそうになった時だ。「オラァガキ共離れろォーッ!」と、『トナカイ』というサンタの使い魔の格好をしたウォルフくんが吼えた!
「オメェらそれでもソフィアファンかッ!? 真に愛するなら無理に触っていやがらせず、目で愛でろッ!」
『さ、さすがは彼氏は言うことが違うッッッ!』
ってこの人は彼氏じゃないよみんなー!?
あと毎晩ベッドに入ってきて無理に触ってくるウォルフくんにそんなこと言う資格はないからっ!
――そうして街を練り歩くこと数時間。
疲労感と降り積もる雪にまみれながら、王城内に用意された部屋に戻ろうとした時だ。
なぜかヴィンセントくんとウェイバーさんがコソコソとした足取りでドアから出ていくのが見えた。
一体なんだと思いながら、部屋に入ってみると……、
「これは……」
ベッドの上には、赤いリボンで包まれた箱が置かれていた。
それを見ながら私は呟く。
「……ありがとうね、サンタさんたち」
なんとも小粋なプレゼントに私は思わず苦笑してしまう。
シュルシュルとリボンをほどく音が、冬の夜空に小さく響いた。
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