33:死闘の果てに
お待たせしました!(´;ω;`)
黒煙の昇る夜空の下で、ハオは高らかに吼え叫ぶ。
「ハハハハハハハッ! さぁ来るがいい、その高潔な精神ごとズタズタにしてくれるわぁあああッ!」
駆ける私とウォルフくんに対し、奴は触手を伸ばしてきた!
見えないほどの速度で迫るそれらを、私たちは直感だけでさばいていく――!
「このぉぉぉおおおッ!」
炎剣を振るって触手を斬り裂き、ハオへとあと一歩のところまで近づいた! だがそこで、奴は両手を私たちに向け――、
「雷撃よ、我が手に集いて敵を討てぇッ! 『荷電粒子砲』――ッ!」
「なぁッ!?」
咄嗟に飛び退いた瞬間、紫電の光線が奴の腕から放たれた!
それは私たちの真横を駆け抜け、何百件もの家屋を爆砕! 燃え盛る商業都市をさらに壊滅させたのだった……!
あっ、あぶねぇえええええええええッ!? 上級魔法こっっっわ! あんなのまともに当たったら死体も残らないんですけどぉおお!?
内心恐怖に震える私だが、足を止めている暇などなかった。ハオはにやりと笑うと、今度は向こうから接近してきたからだ!
「接近戦がお望みなのだろうッ!? ならば、それによってお前たちを圧倒してやろうッ!」
低い姿勢で迫るハオ。奴は走りながら自分の背中に手を突き刺すと、なんと『背骨』を引きずり出して、剣のように振るってきたのだ!
ってこいつ、どんだけ人間やめてるわけぇええええええええッ!?
「フハハハハハハハハハッ! 凛としたその顔に、その身体に、我が傷跡を刻んでくれようッ! そしてお前も憎悪に染まれぇえええッ!」
「くぅっ!?」
双剣を交差させてどうにか受け止めるが、筋力までも強化してるのか、重さで地面に沈みそうになる……!
「っ、テメェ! ソフィアから離れやがれぇッ!」
唸り声を上げながらウォルフくんが飛び掛かるも、ハオの武器は背骨だけではない。背中から生えた八本の触手が、ウォルフくんを足止めする。
「フッ、邪魔はさせないぞ犬っころ。……さぁソフィア、これで二人っきりだ。ゆっくりと語り合おうではないか」
妖しい笑みを浮かべながら顔を近づけてくるハオ・シンラン。……って、背骨でぶった切られそうになってる意味不明の状況でゆっくりお話しなんて出来るかボケェ!
お、お願いだから殺さないでーーーーーーーーーー! せめて死ぬ前にお城で開かれる豪華なパーティーに呼ばれて、美味しい物をいっぱい食べたりイケメンな王族(ただし私を殺そうとしたヴィンセントみたいな野郎以外)とひょんなことからダンスすることになっちゃったりとか、令嬢っぽいことを一回でもいいから体験させてーーーーーーーー!
一度目の人生が動く骸骨ことスケルトンにぶっ殺されて、二度目が背骨に斬られて死ぬとか謎すぎるわッ! せめて普通の人間らしい死に方をさせてよォッ!?
「ハオ……もうこんなことはやめなさい……! 強大な力を暴力に使って、アナタは(私が)可哀想だと思わないのッ!?」
「可哀想ッ!? 街を焼かれた住民たちがかぁ!? フハハハハ、お優しいことだなぁソフィアよ!」
ってちげーーーーーーーーーーーーよッ!!! 今まさにぶっ殺されようとしてる私がに決まってんだろタコッ!!
「残念だが、可哀想などとは微塵も思わんよ。なぜなら我がシンラン公国も、この王国の兵士たちによって無理やり焼き払われたのだからな。
そう……あれは二十年前のこと――」
いや知らんがな。
聞いてもないのに過去を語り始めるハオを無視して、私はどうにかこの状況を抜け出せないか考え始めた。
うーん……ウォルフくんは鞭みたいに振るわれる触手に苦戦中だし、ウェイバーさんや街の人たちは死にかけで倒れてるし、助っ人は期待できそうにない。
だとすれば頼れるのは自分だけなんだけど……マズイことに私も限界が近い。ほぼ一晩中戦い続けたことで体力は残り少ないし、双剣に炎を宿している魔力ももうすぐ尽きそうだ。
そうなれば切れ味の悪い安物の剣に戻っちゃって、再生力の強いハオを倒すことは出来なくなるだろうし……くそうっ、もっと高いの買っておけばよかったぁぁああああッ!!!
“お金ないし、どーせ属性付与魔法で強化できるから安物でいいや!”――なーんて考えてた過去の自分に対する怒りで、涙が出てくるッ!
うううううううううううっ、ぜんぶ貧乏が悪いんだ……貧乏なせいで心まで貧しくなっちゃったんだ……! ああ、貴族の娘のはずなのに……どうして私だけこんな目に……!
打開策の出ないまま自分の不幸っぷりに涙目になってきていると、ハオの話が佳境に入った。
「――かくして我は誓ったのだ。祖国を滅ぼしたこの国の王『ジークフリート』に復讐するために、バケモノにすらなってやろうとなぁ……!
それから二十年、あらゆる禁忌の技術を身に付け、肉体をモンスター化させた我だったが……フッ、ソフィア……心優しい女よ。お前はこんなにも醜くなってしまった我の話を聞いて、涙を浮かべてくれるのだな……」
って、はい!? ぜんぜん違いますけど!? なにさっきからヒトのことを自分のいいように解釈してるわけ!?
えっ……もしかしてハオ、理解者的な存在を求めてるの!? 自分で身体を触手ビロビロモンスターにしておいて、実はちょっと後悔しちゃってるの!? コンプレックス感じちゃってるの!? 最初に会ったとき、私が違法組織とバトルすることになっちゃった自分の不運さに対して悲しい表情をしたら絡んできたのも、そのせいなの……!?
うっわー……めんどくせー……ッ! 境遇とか雰囲気からだいたい予想はついてたけど、めっちゃ病んでるよこの人ー……!
祖国を侵略されて復讐したいって気持ちはわかるけど、無関係な私のことを巻き込みやがった時点でコイツは敵だ。同情の余地はない。
だけどこの状況……もしかしたら利用できるかもしれないッ! やっぱり勝つのは無理っぽいし、このままハオに気に入られてどうにか生き延びてやろうッ!
私は戦いの中で身に付けた新技術『目から水魔法ピュルピュル』を使うと、悲しげな表情でハオに訴えかける――!
「お願いハオっ、どうか心までバケモノにならないでッ! アナタはまだやり直せるわ! アナタの肉体改造技術を世のために活かせば、きっと世界中の人々を救えるようになるはずよ!
そうして慕ってくれる人を集めて、誰も傷付けずに祖国復興を果たせばいいじゃない……! その瞬間まで、私が隣にいてあげるから……っ!」
「っ、ソフィア……お前は……っ」
目を見開いて私をまじまじと見つめるハオ。
よぉおおおおし、イイ感じイイ感じッ! 心にグッときてるみたい! さぁそれじゃあハオくん、さっさと私を真っ二つにしようとしてる背骨から、力をヌキヌキしてくれると嬉しいんだけどなぁ! ソフィアお姉ちゃん、もう腕や足が限界なんだけどなーーーーーーー!
心からそう思っていたのだが、しかし……!
「クッ……クククククッ! あぁ、お前に対するこの切なさ……この愛おしさ……もはや認めるしかないか。まさか我の心にも、まだ理解者を求める気持ちがあったとは……ッ!
ゆえに――ソフィアよぉおおッ! お前をこの手で殺した瞬間、我は真なるバケモノへと生まれ変われるということだぁあああああッ! 我を最恐の怪物に導き、復讐のための礎となれぇええええッ!!!」
ってなんじゃそりゃあああああああああッ!? なんで逆に力を込めてきてるのぉぉおおお!?
愛しいから殺したいとか、コイツ病みすぎでしょッッッ!?
「ハオっ、どうか話を……!」
「問答無用ォッ! 吹き飛ぶがいい――『爆雷華』ァァアアアアアッ!!!」
その瞬間、ハオの全身から雷の爆風が巻き起こった――!
咄嗟に水魔法を噴出して退避しようとした私だが、噴水による加速ごときでは、雷速で迫る衝撃から逃げられるわけもなく――、
「死ねぇぇえええええええッ!!!」
「ぐぅうううううううううううううううッ!?」
私は勢いよく吹き飛ばされ、そのまま瓦礫に叩き付けられた……!
衝撃により肺から全ての息が漏れ、あまりの痛みに動けなくなる。
……そうして倒れ込んだ私に、ハオは狂った笑みを浮かべた。
「これで終わりだ……諦めるがいい、ソフィアよ。お前を助けようとしていた獣人の王子も、どこかに吹き飛んでしまったぞ?
くくっ……特にあちらは魔法が使えないようだったからなぁ。飛び退いたことでわずかに衝撃を減らしたお前とは違い、我が爆雷をもろに受けたのだ。間違いなく死んでいるだろうよ」
クツクツと笑いながら、奴は私に腕を向けてきた。
その手のひらには膨大な量の雷が集い、徐々に輝きを増していく。
――私のことも、あの世に送ってやるために。
「……はぁ……」
死の雷光を前に、私は小さく溜め息を吐いた。
もうお終いだ。もう終わりだ。
ただでさえ雷魔法は最高の速度を誇るのだ。痛みでろくに動けない今、避けられるわけがないだろう。
結局ぜんぶ、無駄だったのだ。
どういうわけか二度目の生を得て、今度こそ幸せになるために自分磨きをして、慣れない笑顔を身に付けて……。
そうやって無口で陰鬱な根暗女から、どうにか普通の女の子にはなれたと思っていたんだけど……どうやら不幸っぷりだけはどうにもならなかったらしい。
今から私は殺される。
そうして――ウォルフくんやウェイバーさんとの出会いも、全て無駄に終わるのだ。
せっかく二度目の人生で、はじめて仲間が出来たというのに……!
「さぁ、散るがいいソフィアよぉッ! 上級魔法『荷電粒子砲』ッ!」
ついに放たれた極大の閃光。
それに飲み込まれたが最後、全てが無駄に終わると理解した瞬間――私の心は『怒り』に満たされた!
「……ざ……けるな……ふざけるなぁぁぁあああああああああああッ!!!」
十五年間の頑張りが、出会いが、こんな男の無関係な復讐のせいで無駄に終わるだと!? ふざけるなッ!
そんなことはさせはしないッ! 持てる全ての力を尽くして、コイツを殺して私は生きる――ッ!
私の大切な命を、
「お前なんかに、奪わせてやるものかぁぁぁあああああああッ!!!」
迫りくる死の雷光を前に、私は炎と水の魔力を融合させて解き放った――!
その瞬間、先ほどのハオの爆雷を上回るほどの大爆風が巻き起こり、荷電粒子砲を吹き飛ばした!
「なっ、なにぃ!? 何だ、その威力の魔法は……! ソフィア……お前もまた、上級魔法の使い手だというのか!?」
「いいえ、違うわ」
私は元々凡人だ。ハオのように、災害級の威力の魔法をポンと出せるような才能は、残念ながら私にはない。
……だとしたら、創ってしまえばいいのだ。凡人の私でも、上位の魔法使いに抗えるような新たな魔法の使い方を。
「ねぇハオ……世の中には、『炎』と『水』という反発し合う属性の魔力を持って生まれてしまった不幸な魔法使いもいるそうよ。
上手く併用すればお湯くらいは出せるけど、もしも魔力のコントロールが乱れてしまえば大惨事だわ。そうなればどうなるか……博識なアナタなら知ってるんじゃないかしら?」
「っ、そうなれば……水蒸気爆発が発生し、術者の身体を消し飛ばしてしまうはずだが――まさかッ!?」
「そう。私はわざと大失敗を引き起こし、それによって発生する爆発の方向性自体をコントロールしたのよ」
私の言葉に、ハオは「馬鹿な……!」と短く叫んだ。
……私だって馬鹿なことをしてると思う。たとえるならば爆薬を口の中で調合して火をつけ、炸裂する前に吹き付けているようなものだ。もはや魔法攻撃というより大道芸の領域に近い。
魔力属性の反発作用を利用することで少量の魔力消費で高火力を発揮できるものの、精密かつ超速で制御しなければ、肉体が弾けて即死する荒業だ。
だけど、生き残るためなら何だってやってやる。私はこんな戦場ではなく、柔らかなベッドの上で幸せに死ぬためにこれまで努力してきたのだから!
「ハオ・シンランッ! もはやアナタには言葉を尽くさない。平和のためにアナタを殺すッ!」
「フッ……フハハハハハッ! いいぞぉソフィアよ、やってみるがいいわぁぁあああッ!!!」
それぞれ双剣と背骨を手に、私たちは同時に地を蹴った――!
電流によって肉体を無理やり動かし、超高速で迫りくるハオ。しかしこちらも速度だけなら負けはしない。足元で水蒸気爆発を起こすことで、一気に奴へと刃をぶつける!
「「死ねぇぇぇえええええッッッ!!!」」
戦場の中心で激突し合う私たち。その瞬間より、血で血を洗う最後の死闘が始まった。
背骨に加えて八本の触手を振るうハオに対し、こちらの武器は双剣のみだ。だがそれならば、速度によって手数を覆してしまえばいい!
私は振るう刃の逆方向から爆風を噴射することで、剣速を何十倍にも跳ね上げた!
「アナタはここで死になさいッ! これ以上(私の)平和を乱させはしないッ!」
切っても切っても再生していく触手だが、この戦闘法に私の身体が馴染んでいくことで、さらに剣速は急上昇。気付けばハオの再生速度を上回り、奴の顔が徐々に歪んでいく。
「チィィィイイイッ! こんなところで死んで堪るものかぁぁああああッ!」
夜空に向かってハオが大きく飛び退いた。電流を纏って肉体を磁極化させることで、地面の砂鉄と反発しあって飛翔を可能としているのだろう。
奴は必死な形相を浮かべながら、自身の周囲に無数の雷の槍を顕現させる。
「シンラン公国の秘術を受けよォッ! 『極雷槍・千連射』ァァアアッ!」
綺羅星のごとく夜空に輝く千の脅威。それらはハオの殺意に応え、私に向かって一斉に降り注いできた!
まるでこの世の終わりのような光景だが、もはや恐怖で怯みはしない。どうせ喚いても無駄だというなら、暴力によって道を切り開いてやるッ!
私は足元で爆発を起こし、雷槍の豪雨に向かって一気に翔け出した!
「ハァァァアアアッ!」
わずかな隙間を縫うように飛翔し、回避不能なものは燃える双剣によって無理やり斬り裂き、雷槍の中を突破していく。
そうしてついに光の中から抜け出し、千の脅威を凌ぎきったかと思った瞬間――私の前に、全長何十メートルもの鉄塊を掲げたハオの姿が現れた……!
「フハハハハハッ! 磁力を操作し、周囲一帯から引き寄せた鉄くずの塊だッ! さぁソフィアよぉ、我が想いを受け取ってくれぇぇえええええ!!!」
病んだ狂笑を浮かべながら、ハオは私へと何十トンあるかもわからない鉄塊を放ってきた!
っ……これを突破するのは難しそうだ。とてもじゃないけど切り刻めるような質量じゃないし、緊急回避も間に合うかどうかわからない……!
さぁどうするかと、私が冷や汗を流した――その時、
「――俺の女に、手ぇ出すなぁぁああああああッッッ!!!」
地上にあった瓦礫の山が弾け飛び、そこから血塗れのウォルフくんが飛び出してきた!
「うぉらぁぁああああああああああああッッッ!」
彼は一気に鉄塊の下にまで辿り着くと、全力のアッパーを叩きこんだッ! それによって超重量の鉄塊は空高くまで吹き飛んでいき、粉々に爆散を果たす!
って……はいぃいいいいいいいいいい!? えっ、ちょっ、ウォルフくん何十メートルジャンプしてるのッ!? ていうかワンパンで鉄の塊が……ええええええええええッ!?
「へへっ、やってやったぜ……! あ、わりぃソフィア。俺落ちて死ぬわ」
「って死なないでよウォルフくんーーーーーーーーー!?」
満足げな顔で落ちていくウォルフくんを咄嗟に抱き留める。
まったくもう、あいかわらず後先考えてないんだから……!
というか、ハオに向かって家を投げつけたことといい、彼の筋力は本当にどうなってるんだろう?
怪力……って言葉だけじゃもう説明がつかない。
「……ソフィアの身体って、細くて小さいのに柔らかいよなぁ……ぺろぺろ……」
「はうっ!? ちょっ、首筋舐めないでってばぁ……!」
のんきに私の首筋を味わい始めたウォルフくんをポコリと叩いた時だ。ハオが忌々しげに舌打ちを鳴らした。
「チィイイイイイイッ!? ウォルフとやら、貴様は一体なんなのだッ!? 貴様も肉体を改造しているのか!?」
「は? お前みたいな触手ビロビロのタコ野郎と一緒にすんな」
「何だと貴様ぁぁああああああああああッ!?」
ってウォルフくんそういうこと言わないのッ!? この人自分で体をいじっておいてコンプレックス持ってるみたいだからッ!
「クソがッ……クソがクソがクソがぁぁあああッ! どいつもこいつもっ、我の邪魔をするなぁぁああああ!!!」
血走った目で八本の触手を伸ばしてくるハオ・シンラン。しかし次の瞬間、全ての触手が一瞬にして凍り付いたのだった!
私たちがハッと地上を見ると、そこには火傷まみれのウェイバーさんが、必死に手を伸ばしていた……!
「ハァ、ハァ……さぁ、今ですよ二人とも……! 私が触手を凍らせている内に……トドメを……!」
「ウェイバーさん……!」
私とウォルフくんは同時に頷き、呻くハオを睨み付ける。
もう、魔力もほとんど空っぽだ。だけど……二人の力があれば絶対に倒せるッ!
「いくよウォルフくん! 私が翼になるから、ウォルフくんはアイツを思いっきりブン殴ってッ!」
「おうよッ! 馬鹿野郎の目を覚まさせてやんねーとなぁ!」
私はウォルフくんの肩を強く抱き、渾身の爆発を起こしてハオに向かって飛び掛かった!
そんな私たちに対してハオが絶叫を上げる。
「えぇい、来るな来るな来るなぁぁあああ! 我には大義があるのだッ! この王国を滅ぼし尽くし、シンラン公国を復活させるという野望がぁぁああああッ!」
「知ったことかぁぁああああああ!!!」
大それた夢や野望のためなら、他人を犠牲にしても良いと? ふざけるなッ!
たとえこっちにそんなもんがなくたって……幸せに死ねるなら何でもいいと思ってるくらい、人としての意識が低くたって……!
「――私には、生きたい明日があるんだぁぁああああああ!!!」
私の咆哮と共に、ハオの顔面へとウォルフくんの拳が炸裂したッ!
ズパァァァァアンッ! という轟音が夜空に響き、大量の鮮血を撒き散らしながらハオ・シンランは吹き飛んでいく――!
「お、おのれッ、おのれぇえええええええええええええええッッッ!?」
ハオは絶叫を上げながら、天の向こうにまで舞い上がっていき――やがて粉々に砕け散って、風の中へと消えていったのだった。
「……ウォルフくん」
「ああ……!」
奴の死に果てる様を見ながら、私とウォルフくんは顔を見合わせ、そして――!
「私たちのっ」
「勝利だぜぇええええええええええ!!!」
全身傷だらけになりながら、それでも笑顔で抱き締め合う。
そんな私たちの姿を、昇ってきた朝日が照らすのだった……!
・ここまでありがとうございました! ハオ編、決着です!
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