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第1章 New Hope(新たなる希望)Act11剣と魔法 Part1

挿絵(By みてみん)


チアキは第2王女ミークとの決闘を受けて起つと言った。


それが本当の死闘だとは想いもせず・・・

 「チアキっ、どうしてあんな勝手な真似を?」


シャルが私室に戻り、チアキを攫んで咎めた。


「あ・・・いや、だって。あそこは受けて起つのが定番じゃないかなって・・・。」


頭を掻いて答えたチアキに、シャルが呆れたような顔で、


「乗りで決闘を受けただなんて・・・。チアキも相当呆れた娘ね。」


ふうっとため息を吐いたシャルが、ソファーに座り込んだ。


「あはは。でも、シャルに触れるなって言われたら。

 はいそうですかって答えられないじゃない。

 決闘って言っても、殺しあう訳ではないんでしょ?」


チアキが気安くそう言った時に気付いた。

シャルの表情が固くなっている事に。


「・・・。まさか・・・ホントに本当?本当の決闘なの?」


躊躇いがちにシャルに尋ねると、


「ホント。」


大真面目に返される。


「・・・え?・・・・・どええぇっ?」


漸く事の重大さが解ったチアキが、仰け反って驚き、


「ど・・・どうしてっ?

 ミーク姉姫様ってシャルに他人が触れただけで本当の決闘を申し込むの?」


今更ながら、動揺してしまう。


「だからボクが停めようとしたの。

 ミーク姉様は武術馬鹿だから。

 ・・・本気で死ぬまで闘う気なんだから。」


・・・。


シャルに教えられたチアキが真っ青になって固まる。


「あ・・・あの。それじゃあ私に勝てる訳無いよぉ。

 だって死ぬまで闘うって事は、つまり私が勝ってしまえば・・・王女様殺しで死刑。

 そのまま負けても死・・・。

 うわあっ、シャルぅ、短いお付き合いでしたぁ!」


事の重大さに頭が混乱したチアキが大泣きするが。


「チアキ・・・良い言葉を教えてあげる。

 <後の祭り>って・・・知ってる?」


シャルにトドメの一言を告げられてしまった。


「シャル・・・どうしよう?」


涙目のチアキが助けを求めるが。


「うん。何とか姉様を説得しないと。

 せめてどちらかが死ぬまで闘うのを辞めてもらうとか。」


シャルが真面目な顔でそう言うと。


「シャル・・・そこは決闘を辞めて貰うって言ってよ。」


肩をポンポン叩いて突っ込みを入れる。


「チアキ、自分から決闘を受けておいて、今更辞めるだなんて姉様に言ったら。

 それこそ逆鱗に触れるよ。まあ、間違いなく死刑だね。」


・・・。

これこそ、闘うも死、闘わざるも死。

正に万死ばんし・・・・。


「いーーーやーーーーだぁっ!」


挿絵(By みてみん)



頭を抱えてうずくまり、泣きじゃくるチアキに、


「こうなれば!チアキっ逃げましょう!」


はっと気付いたシャルにチアキも同感だとばかりに、


「そっ、そうだねシャル。逃げようか!」


シャルに続いてチアキも脱走を試みる為にドアを開ける。



「どちらに行かれるのですか?」


開けたドアの先には見張り番としてビシラス中将以下、数名の者が居座っていた。


「え・・・っと。ト・・・トイレに。」


シャルも固まって言い訳を言うが。


「トイレなら私室にございますが?」


シャルもチアキもビシラスに見下ろされて冷や汗を掻き、


「あはは。そっそうだね。」


慌ててドアを閉めて2人は逃げ場を探す。


「見張り番まで付けていたとは!これは本格的にヤバイよ。」


シャルが動揺する。


「シャル、正面が駄目なら後ろから!」


チアキは窓を開け放って下を見下ろすと、3階の窓から見えるのは。


「げっ!」


チアキの瞳に入ってきたのは、建物を囲む様に番兵達が見張っている姿。


「・・・チアキ。覚悟完了?」


諦めた様にシャルがチアキの肩を叩いた。


「・・・・・。いーーーやーーーーだぁっ!」



___________________



「シクシク・・・」


チアキは家畜が市場へ連れ出されるような気分だった。


「ほらチアキ。いつまで泣いてるの。」


死んだ眼のようなチアキに、シャルが諦めなさいと声を掛けてくる。


「ううっシャル。短い間でしたがお世話になりました。」


半ベソのまま、別れを告げるチアキに、


「だぁーっ、もう!チアキっ諦めないで闘ってくるのっ!

 ミーク姉様だって人の子なんだから、勝てない訳じゃないでしょ!?」


シャルがチアキの背中を押し出す。


「だってぇ・・・勝ったら死刑なんでしょ?」


イジイジするチアキが再度訊くと、


「それはミーク姉様の気分次第だけど。・・・多分大丈夫だと思う(棒)」


最後は消え入るような小さな声でシャルが答えると。


「あああっやっぱりぃ。駄目なんだぁっ。」


頭を抱えるようにチアキが嘆くと。


「闘わなければ確実に死刑だよ。

 それより万に一つの勝負に賭けよう。」


「・・・シャル。それ・・・慰めになってないよ。」


チアキが泣くのを止めて墜ち込んだ。


「何をぐずぐずしているのだ。敵前逃亡罪で、即刻死刑になりたいのか!」


検分使のビシラス中将がチアキに命じる。


「はああぁいぃ。」


諦めたチアキが重い足取りで決闘場に進み出て行く。


「チアキっファイトっ!」


シャルの応援にも応える気力を失ったチアキが、ミーク王女の前まで来ると、


「警護官チアキ。これよりシャルレットを賭けて勝負しろ。

 私が勝てば、お前はシャルレットと別れて貰う・・・永遠にな。」


ミークは一方的にチアキに告げた。


しかも、チアキが勝った後の事は何も告げずに。


「さあ、決闘といくか。

 まあ、お前に勝ち目はないがな。」


ミークが見下した様にあざけり笑った。


挿絵(By みてみん)


うううっ。

私は泣く啼く決闘場へ向いました。


ミーク姉姫様との決闘が本気でヤバイと感じたのは


目の前で剣を抜き払われた時の事でした。


これって・・・死んじゃうんじゃないの・・・


いーーーやぁーーーーだぁっ!!


次回 剣と魔法 Part2


君は王女の攻撃を避け続ける事が出来るのか?君は生き残る事が出来るのか!?

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