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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第2章 制服の笑み花の涙

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雪春からの事情聴取


 出てきた椿を見つめ、パクパクと口を開ける老人。


「あの……」


「篝様……あぁ……」


 腰が抜けたように絡繰門鐘山は座り込んだ。


「父さん!!」


 同じドアから現れ、鐘山に駆け寄る青年。

 秘書を呼んでイスに腰掛けさせる。


「父が失礼を」


「に、似ても似つかぬ妖魔のごときおぞましい醜い子供だと聞いていた……」


「醜かったら、罰姫と呼んで虐待していいとでも!?」


 麗音愛がまた怒鳴った。


「麗音愛……いいんだよ。私は何言われても平気」


 ぎゅっと麗音愛の腕を掴む。


「これからもいっぱいこういう事あると思うから麗音愛が疲れちゃう

 ……私は大丈夫だから気にしないで? ありがとう麗音愛」


「椿」


「絡繰門家の御当主様、……事情があって……見張りを撒いた事は申し訳なく思っています……

 でもきちんと説明しますのでお話を聞いて頂きたいんです。

 お願いします」


「篝様……いや……ぐぬ……」


 篝に似た椿に見つめられ懇願され

 汗がダラダラと出てきた絡繰門鐘山は、そのまま秘書によって車椅子に乗せられ行ってしまい

 青年がすっと椿の前に来た。


「桃純寵さん、父の無礼を僕が代わりにお詫びいたします」


「私は、大丈夫です。あの……私、桃純椿です。我儘で名前を変えました」


「そうでしたか……失礼しました。椿さん、僕は絡繰門雪春(からくもんゆきはる)です。

 今日は父の代わりに報告会に参加しますね」


 静かなメガネ文学青年と言った雰囲気。

 優しく微笑む。


「本当に申し訳ない。君が咲楽紫千玲央君ですね。

 父は見ての通り高齢で脳みそも固くなっていくばかりだ。

 どうせもうすぐ死ぬから許してやってほしい」


「!」


 口から出た毒々しい言葉に一同はギョッとする。


「相変わらずだなぁ……雪春さん……」


 剣一だけは、知っているので苦笑いをした。


「玲央君には、お会いしたいと思ってましたよ。殺気が外まで漏れてた。

 僕なんて瞬殺されちゃうな、あはは」


「……そうですか」


 元々、目立つ事も苦手だし注目される事にも慣れていない麗音愛はこんな時の返答にも困る。

 若者達を目の前にして

 はぁ……と団長の直美はため息をついた。


「さ、座って皆さん。今日はこの絡繰門(からくもん)雪春(ゆきはる)情報調査管理部部長に

 今回の件を報告してもらいます」


 雪春の秘書が横で録音の準備とパソコンを用意し

 直美の部下が皆にお茶を配る。

 もちろん麗音愛は椿の隣に座った。


「藤堂さんや、佐伯ヶ原君も嫌な場面を見せてしまって申し訳ないね。

 嫌だよね。人の怒鳴る姿なんて……」


「あ、いえ……」


「僕は、なかなか見られない造形でしたので……あ、いえすみません」


 ふふっと雪春が笑う。


「白夜団も長い歴史のなかで、桃純家や咲楽紫千家の戦闘に長けた一族

 それを支える為の資金繰りや国との繋がりを調整していた、絡繰門家、 

 恩心(おんこころ) 家な ど白夜の機能保持に携わった一族……

 昔はもちろんお互い支え合っていたはずなのに、現代じゃすっかり闘いもしない老人共が

 生まれた時からの地位に酔い、持ち上げられ偉くなったと思い込んで……

 赤子のような駄々をこねる……

 団長には心労ばかりおかけして申し訳ありません」


「絡繰門さん、今でも助け合っておりますから」


「面倒な団長だけやらされてな~俺は死んでこいと言わんばかりにこき使われ……」


「お黙り剣一!!!」


「相変わらずだなぁ剣一君」


 お互い同じような事を言い合っている剣一と雪春。


「さぁ始めてちょうだい。やることが山積みなのよ……」





「なるほど……状況はわかりました。

 でも白夜団を頼らなかった理由は?」


「それは、私は怪我をしても治るけど……皆さんはそうではなくて……

 自分のせいで

 誰かが傷つくのは嫌なんです……頼らなかったわけじゃないんです……」


「玲央君は怪我が治るからいいだろうと、頼ろうとして電話した?」


 それを聞いて驚く椿。


「け、怪我が治るからいいって思ったんじゃないです!!」


 不安になって麗音愛を見る椿に、わかってるという意味で頷く。


「そんな事を聞いてどうするんです」


 麗音愛は冷ややかに雪春を見た。


「ごめん、玲央君にだけ電話した本意を聞いておきたくて」


「あの……えっと……、いつも助けてもらっていたから……つい頼ってしまって……」


「でも玲央君はその時、藤堂美子さんと一緒にいたんだね?」


 美子がピクリと反応する。

 一体どこまで知られているんだろうか……と気が気じゃないに違いない。

 美子の両親も白夜団なのだから。


「プライバシーは守られるべきなんじゃないんですか……」


「うん、これ以上は聞かないし場所の特定も、もちろんしていません。

 出られない状況だったのかな?

 それともわざと出なかった?」


「あの、真剣に話をしていたので、私が出ないように言ったんです。

 彼は着信相手も知らないでいました。

 椿さんだって知ってたら出てたし、すぐ行ったはずです」


 わかってはいたけど、そう聞いてまたホッとしてしまう椿。


「そう、それなら結構」


「あら……玲央……美子ちゃん……そうなのねやっと……あらあら」


 と静かに、うふふと笑う直美。明らかに誤解している。


 麗音愛が『何故母さんに誤魔化す説明をしていない!?』と

 ギッと剣一を睨むと『分かってる分かってる!! 後からするから!!』と焦りながら、うんうん頷いた。


 美子も気まずく下を向いている

 剣一のフォローより先に言っておいた方がいいだろう。


「母さん、その日は美子の悩み相談にのってただけで俺らは友達だから」


「ここでは団長! あら……そうなの? 残念。でも女の子連れて門限破ったらダメなのよ。

 藤堂さんのお家は知ってるの? あぁそうなの……それなら良かった。残念だけどね

 ここの会話は消しておいてちょうだい」


 雪春に目配せされ、秘書の手は慌ただしく動く。


「ふふ……青春ですね

 詳しくお伺いしたいけど……まぁわかりました。

 団長、今日は僕からも提案があったんです」


「絡繰門さん、どういった?」


「ここからは録音も議事録もやめましょう。お疲れ様、休憩に入ってください」


 そう言われて秘書は出て行った。





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― 新着の感想 ―
[一言] 雪春さん、根っこが闇ですね。 でも嫌いじゃないです。 うまくちゃんと伝わったのならいいけれど、どうなのかなぁ、この場合。 でも、考えてみると、常に白夜団は臨戦体制にあるわけで、ちょっとし…
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