嘆きの剣一
コンコンとノックの音がした。
「お~い……お前ら一緒にいるのか?」
「あ、うん!!」
すぐに麗音愛がドアを開けた。
スーツ姿の剣一。
「ごめん、兄さん寝ちゃった」
「いいけど……2人とも血だらけ……事情聴取があるからさ体調、大丈夫なら支度してくれ」
椿がビクっとなる。
「事情聴取って……椿を? 何をするつもりだよ」
「大丈夫、処罰とかそんな風には絶対させない」
「椿を1人にはしない」
「うん、うんわかるよ、兄ちゃんお前の気持ちわかるから
椿ちゃん、昨日弟が電話に出れなかったの俺のせいだから本気でごめんね」
両手を合わせて、礼をする剣一。
「え? いえ……大丈夫です」
「でも、俺にも連絡してほしかったよ。俺、椿ちゃんの兄貴なのにさ」
「ごめんなさい……」
剣一への連絡も迷ったが、巻き込んで傷付ける怖さでできなかった。
「帰ってこれて本当に良かった」
ポンと剣一に撫でられ、にこっと笑う椿。
「兄さん」
「借りは返すって、よっちゃんの事ありがとな」
「兄さんのためじゃないよ」
「うーその通り!ほら、スーツ買ってきたから
風呂も入れてあるよ」
「あ、私、自分の部屋で準備します」
「椿……」
「あの、また後でね、ベッドも綺麗にさせてね」
「う、うんベッドは気にしないで」
「2人とも1時間後お願い」
「はい」
「何かあったらすぐ連絡して」
「うん、大丈夫だよ」
恥ずかしそうに笑って
パーッと椿が出て行った。
「お前……ベッド……なした? え、汚しちゃったの?」
「椿が寝て腕の傷の血で汚れたってわかるだろー!?
このクソバカ兄貴!!」
「いや、だってぇここは聞いておくのが……あるじゃんそういうの~~」
「椿が無事だったから良かった」
「あぁ本当すまん」
「俺の判断だから……でも、もう離れない」
そういう事、真顔で言えるんだからすげーな、と剣一は心の中で思った。
「そうだな……一緒にシャワー入りに行けば?」
無言でスリーパーホールドをかけようとする麗音愛。
「イデ! イデ! ギブギブ!!」
「全く! 俺と椿は親友だって言ってるだろ!! 俺もシャワー入ってくる自分の家の!!」
バタバタと出ていく麗音愛。
「あいつ17歳で可愛い女の子とベッドで寝て……何もなし?
まじなの?玲央くん……」
とアホな事を呟くが携帯電話が鳴るとすぐに真面目な顔になり
麗音愛の部屋を出た。




