最後の死闘
世界が崩壊しそうな衝撃。
激突する力と力。
夜が激しく揺れる――。
「ぐおああああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
麗音愛はぶつかり合う激しい衝撃のなかで、紅夜が崩壊していくのを見た。
妖魔王の最期――。
「まだだぁああああ!! こんなふざけた事が許されるものかぁあああああ!!!」
最期を否定するかのように、崩壊した羽や腕の先からまた妖魔が生まれ、また崩壊する。
何匹かが、麗音愛に食らいついた。
一匹は紅夜に愛狂い、妖魔に墜ちたコーディネーターの顔に見えた。
しかし腕に食いついた顔が、崩壊していく……。
椿を求める触手や妖魔も、剣一が切り捨てたのがわかった。
復活の手立てはもう、ない。
朽ちていく、妖魔、触手……そして……紅夜。
「まさか! この俺がぁああああああ!!」
「……散れ……!!」
「ぎゃあああああ!! この恨み、この恨みぃいいいいいいいい!! 許さんぞぉおお白夜ぁあああ!!」
もがき苦しむ紅夜の叫びが世界に響く。
その声だけで呪いの毒が飛散するが、また麗音愛の光によって消されていった。
「紅夜、それが苦しみだ! それが殺される辛さだ! それが無念の憎しみだ!!」
紅夜の叫びと共に残っていく赤黒い塊……紅夜の魂か。
人の呪怨と同じように天に昇るかはわからない――。
だが、麗音愛は人々の怨念を無にした時のように刀をかざした。
「お前は、滅びるだけでは足りない! 俺のように人として生きることを学べ!! 憎しみだけで終わるな!! ……愛を知れ!!」
「ふざけるな……おれが……おわる……だと……こ……の……おれ……が……あああああああああ……あ」
「そうだ……終わりだ」
散っていく……妖魔王紅夜の魂が散る。
無色に染まる視界。
そして麗音愛も……指先、腕から崩壊していく――。
椿の犠牲を拒んだ代償。
生贄のない中途半端な覚醒では、半分は人間の身体のまま。
意識も白夜と混ざり合って、使える能力も限られていた。
修復能力ももう無い。
このまま、きっと……自分も終わる。
それでも紅夜が散っていくのを見つめたまま、麗音愛は目を閉じた。
これが運命。
自分の運命。
感情も消えていく。
何も聴こえない……何も見えない、感じない。
上か下かも、わからない……真っ白で何も無い世界へ――。




