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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第三部 第二章

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色の無い夜に


 紅い空も、紅い海も、輝く白に染め上げられる。

 

 福音が鳴り響く。

 カーン、カーンと澄んだ高い鐘の音が響いた。


 全ての生者と亡者の耳に聴こえる。

 それは救いの音だと、命で感じた。

 

 人間世界にいる人間も、紅の海にいる人間も全ての人が彼の光を、観た。


 色の無い夜が――訪れる……。


 今……呪われた刀は、白き鍔によって形を変えていく。


「晒首千ノ刀は、呪われた刀。……だが絶望し呪う魂を俺の元へ集わせるための墓標として作ったものだ」


「なんだと……貴様……その姿は」


 麗音愛の変わりゆく姿に、妖魔王も目を見張った。


「お前や妖魔達の犠牲になった悲しき魂も、恨みに縛られた亡者達も全て救うために……俺が創った」


 麗音愛の黒髪が、白い銀髪に変化していく……。

 崩れかけた身体は修復され、白い神衣を纏う。

 白を纏う美青年の姿はまさに、神――。


「……タケル様……麗音愛…………」


 椿が呟く、愛し続ける人の名を。

 あの自分と同じ顔の少女と一緒に呟いた気がした。


 今、彼は本来の姿を取り戻した。


 椿から受け取った鍔を自らの力で解いた麗音愛。

 何かの代償があったのか、それは椿にはわからない。

 目の前の奇跡に、ただ両手を握りしめて祈るだけ。


 彼女の不安を打ち消すように、力強い声が響く。

 

「さぁ……悲しき魂達よ! 全ての思いを無に返せ……絶望から解き放たれ、祝福の転生を……!!」


 麗音愛の周りの呪怨が一斉に輝き、そして光になっていく。

 光の渦が巡る星のように、人間界と紅夜の世界の間で飛散していく。

 長年の恨みの鎖から解き放たれた魂の輝きが見えた。


「麗音愛……すごい……呪怨達が……光に……還っていく!!」


「ふっ……派手に兄貴を超えていきやがったな」

 

 世界が光に照らされ、剣一と椿は空を、麗音愛を見上げていた。

 椿の瞳から涙が溢れる。

 呪われた男などではない――。

 この救済のために、彼はずっと絶望した魂達に手を差し伸べ続けていたのだ。

 光は椿にも降り注ぐ。

 

「温かい……命の温もり……すごい……麗音愛……!」


 緋那鳥が輝く。

 魂が還っていく光を見つめて、麗音愛も微笑んだ。

 

「はっはっはっは!……くだらぬ。利用できる武器を失い俺に勝てると思っているのか? 白夜よ!!」


 確かに呪怨は光になっていく。

 呪怨の羽も、呪怨の攻撃補助も失われた。

 しかし麗音愛の身体は強い光に包まれ紅夜と対峙するように宙へ浮かんでいる。


「悪いが俺は、咲楽紫千麗音愛だ」


 白い刀を紅夜へ向ける。


「神が人間に成り下がったか、愚策だな」

 

「神なんかより、人間はどこまでも成長できる可能性があるんだよ」


「人間などという家畜が、いつまでもほざくな!! 絶望しろ!!」


 紅夜が動く!

 上空から重い一撃が繰り出され、麗音愛の刀とぶつかり紅い覇気と白い覇気がぶつかる。

 弾いた麗音愛が今度は一撃を放った。

 

「絶望だけでは終わらない!! 絶望を希望に変えて、何度も立ち上がる……!! それが人間だ!!」


「神はその無様さを見て笑うのだ!!」


「どうかな!!」


 麗音愛が白い刀を空に掲げる。


白無びゃくむ!! 千ノ無夜せんのむや……!!!」

 

 光の閃光が走る。

 紅夜の左腕がボロリと落ちた。

 光が走った部分の腕が消失し、その先の腕が落ちたのだ。

 海に落ちて、大きな波が立つ。

 

「なに……っ」


「浄化や聖流ではない、俺の空白の力を……忘れたか? 全てを無に返す……! 俺は麗音愛だが白夜ではないとは言ってないぞ!!」


「貴様ぁあああああ!!」


 麗音愛の攻撃は更に紅夜の右足も消失させる。

 しかし相当の不可がかかるのか、麗音愛の口元からも血が流れた。

 それでも攻撃はやめることはない――!!


「ぐああああああ!!」


 紅夜が叫ぶ。

 

「お前も痛みを知れ!!」


「半端者がぁ!! しつだつさつ……!! 甦れぇええ!」


 ボコボコと海から出現する三体。


「今更、そんな雑魚で俺をどうにかできると思うのか――!!」


「殺せ! こいつを殺せぇえええ!!」


 麗音愛の一太刀で三匹は消滅する、しかしその一瞬で紅夜は自分の手足を復活させていた。

 

「あははは、俺は何度でも……蘇る……」


 雑魚の妖魔が紅夜の足元に集まり始めた。

 触手がそれを吸収し、離れてはいるが紅夜が更にそれを吸収しているのが紅いオーラでわかる。

 肉が盛り上がり、更に巨大化していく。


「ならば何度でも、斬り落とすだけ!!」


「所詮、人間の肉体! 不可に耐えられずお前が先に滅する!! 俺には女神という食い物がまだ残っているしな……!!」


 紅夜が見たのは椿。

 愛月の生まれ変わりだと知って、喰って養分にしようと考えているらしい。

 触手や妖魔が椿に襲いかかるのを剣一が切り捨てている。


「ふざけるな!」


 麗音愛が触手を先に滅ぼそうと閃光を放つ。

 その隙をついて、紅夜が麗音愛に斬りかかる。

 巨大な紅夜の一撃で麗音愛の神衣が血に染まった。


 麗音愛も一撃を放ち紅夜の肉の羽が消失する。

 激しい攻防。

 海は光輝く白色の渦とドス黒い紅の渦が出来て、混ざり合い波が激しくなる。

 風は強まり、地鳴りがし、椿の髪が煽られ、人々は地に伏せた。


 更に紅夜に一撃を喰らわせる。


「おのれクソがぁあああ!!」


 紅夜が叫び、空がまた一瞬血の色に戻った。 

 妖魔が一斉に騒ぎ出す。

 妖魔の王を称えるように。

 

 しかし、それを許さない――!

 

「滅びろ紅夜!!」


「ぐがあああ!! 調子にのるなよ……!!」


「それは俺のセリフだ! 椿にも世界にも指一本触れさせない!!」


 麗音愛の斬撃が紅夜の胸元をえぐる。

 更に、もう一撃。

 紅夜の汚れたドス黒い血が弾け飛ぶ。


「ぐああああああーーーーー!!」


 紅夜の血は、呪詛の塊のようなもの。

 その血を浴びれば猛毒になる。

 今の麗音愛にとっては毒は毒でしかない。

 しかしそれを浴びたまま、麗音愛の攻撃は更に続く――!!


「お前が苦しめた全ての魂の痛みを思い知れ!」

 

「許さんぞ許さんぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!」


 紅夜の怒声で色の無い夜が震えた。

 向き合った二人が刀を剣を構える。

 お互い血が溢れているが、紅夜の肉体は一部が欠損したまま……。

 回復が追いついていない。

 触手も徐々に力が鈍くなっている。


 しかし麗音愛の怪我からも血が吹き出す、


「紅夜……お前も一度無に還り……人として生まれ変わるんだ……!!」


「ふざけたことを抜かすなぁああああ!!」


 二つの膨大なエネルギーがぶつかり合い、激しい爆発が巻き起こった。

 人間達はただ、その衝撃に耐えるだけで精一杯だった。

 神と神との闘いを見守るしかできない。


「麗音愛ーーーーー!!」


 何も見えない……世界が色を失うほどの衝撃――。

 色の無い夜に、少女の叫び声が響く。

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ最終接戦!!神対神!そしてタイトル回収! タイトル回収は読者のテンションMax!! がんばれレオ\(^o^)/!! [一言] ログインパスワードを忘れてロックされて感想書くのが遅れ…
[良い点] 最終決戦も大詰めだねえ! 紅夜相手になかなか良い勝負だと思う しかし、本来払うべき犠牲を払わず 麗音愛は代わりに何を差し出したのか… 戦いが終わった後、ちゃんと無事なのか
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