表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第三部 第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

455/472

白夜団合流


 血の海の世界。

 椿が触手に絡まれ、拐われていく。

 麗音愛は呪怨の翼で飛び立ち、必死に追うがそれを阻むように妖魔が湧き上がり地獄の決戦が始まった。


「玲央先輩……!」


 椿を追いかける麗音愛を琴音は見つけた。

 一方で肉壁の迷路が解除された事により、白夜団同士の居場所を把握する事ができるようになったのだ。


「みんなを探すぞ!」


「うっひゃーキモ! 肉壁もキモいけど! ぞわぁわああぁ! 感染しそうぐえー!」


 血の海とは言っても、足元が浸かるくらいの深さだ。

 剣一と爽子とカリンは妖魔と戦いながら走り続ける。

 

「うぎゃあ……なんじゃあれは……我らの世界??」


 爽子が頭上に現れた人間の世界を見上げる。

 

「半分妖魔化した人間が空から落ちてきやがる……胸糞悪いぜ」


 こちらの世界に落ちた人間はそのまま血の海から出てきた触手に絡み取られ吸収されているようだった。

 剣一達には、どうする事もできない。


「カリン! 爽子! 団長達だ合流するぞ!」


 剣一が両親を見つけ、妖魔を斬り伏せながら合流する事ができた。

 

「剣一! 無事で良かったわ!」


「あぁ母さん達も……! ……篝さんは……」


「……色々あって、もう……動けないの……」


「そうか……」

 

 直美、雄剣、佐伯ヶ原。

 そしてもう身動きのできなくなってしまった篝。

 再会を喜ぶが、時間はない。


 これからどれだけの死闘になるか、想像もできない。


「父さん、みんなは此処で待っていてほしい。爽子も此処にいろ」


「もちろんだとも! 愛天使シャワランは安全な場所で皆を見守ってるから、性天使フェロモンは頑張って世界を救ってくれい!」


「おい!」


 内臓の城が決壊したため、ところどころに元の城の残骸がある。

 崩落した城の床に雄剣は直美を座らせ、爽子も青炎結晶をばら撒いた。


 剣一はカリンと視線が合うように、跪いて両肩に手を置く。

 

「カリン、頼む。此処で強力な結界を張って待っていてくれないか。お前なら失達がまた復活したとしても安全な結界が作れる」


「剣一……」


「お前の結界があれば俺は安心して戦える。お前じゃなきゃダメなんだ」


「……私じゃなきゃダメなの?」


「そう、どうしてもカリンじゃなきゃダメなんだ」


「ふぅん」


 少し嬉しそうな顔をしたカリン。


「頼む、カリン」


「……わかった、やる。……でもルカも助けてほしいの……」


 カリンにとってはルカは大事な片割れなのだろう。

 此処に来るまでに見つけることはできなかった。


「あのガキか。部長……ならば俺がその役目をします。場所はなんとなく検討がつきます。だから部長はサラと椿を……!」


 横で話を聞いていた佐伯ヶ原が言う。

 恋連花を携えているのを見て、同化継承している事に剣一は驚くが提案に頷いた。


「カリン、彼に任せてもいいか?」


「うん……わかった。ヴィフォも心配……闘真はあんまりだけど」


「見つけ次第、必ず助ける……闘真はどうなるかわからん」


「うん。剣一気をつけて絶対絶対迎えに来てね」


「あぁ、カリンもみんなを守ってくれ」


「うん」


 剣一がカリンの頭を撫でると、カリンはにっこり笑う。

 それを爽子はジト目で見つめ、佐伯ヶ原や直美達も一体何があったのかと思うが口には出さない。


 カリンは両手を空にかざして強固な結界を張る。

 まるで鏡のように周りを反射して映すため周りからは見えない。

 団員が来たら一度解除して中に入れる約束をした。


「これで此処は父さん一人の守備で大丈夫だね」


「あぁ、任せろ」


 まだまだ無数に妖魔が湧いてくるが、カリンの結界と雄剣がいれば大丈夫だろう。

 剣一は他の団員も此処に集まるように、照明弾を打ち上げた。

 それに返事をするように照明弾が一つ上がる。


「カリンちゃん、結界ありがとう。こちらへいらっしゃい」


「え……」


 直美に手招きされて、カリンは驚く。

 下劣で下品な意地悪な人間達だと思っていたのに、直美は優しくカリンを呼んだのだ。

 

「此処へ座りましょう、疲れたわよね。少しだけどお水や食べ物もあるわ」


「……いい……」


 そうは言っても、拒絶はしないで直美の隣にちょこんと座った。

 座っている直美の膝の上には篝の頭が乗せられ静かに寝かせられている。


「もたれていいのよ」


 直美は雄剣が膝にかけてくれたマントをカリンの膝にもかけて肩を優しく抱いた。

 カリンは驚いたが、剣一と同じ温かさがある。

 そして何か感じる……もう一つの……温かさ。


「紗妃……?」


「わかるの……? カリンちゃん……」


「……うん……いないのに、近くに……いるの……?」


 紅夜会の子どもとして何か通じ合うものがあるのだろうか。


「えぇ……此処を出たらゆっくり何があったかお話するわね……」


「紗妃は怖かったけど……今は優しい感じがする……」

 

 カリンには紗妃はどこにいるのかはわからなかったが、なんだか心が落ち着いてくる。

 目を瞑って直美にもたれた。

 その様子を見て、周りの妖魔を一通り始末した剣一も安心した顔をする。

 

「それじゃあ、玲央の援護と椿ちゃんの救出に行ってくる」

 

「必ず無事に帰ってくるのよ」

 

「頼むぞ剣一……!」

 

「自分の息子達を信じなさ~~いよっ☆ じゃあ行ってきます」


 剣一はウインクとピースをして、また血の海を走り去って行った。

 途中からは結界を駆使しているのか天使のように空へ上っていく。

 こんな時でも、剣一は剣一だと皆が思った。

 

「では俺もルカを探しに行ってきます」


「佐伯ヶ原君も気をつけて……!」


「はい」

 

 佐伯ヶ原が結界から出ると、遠目に戦いながらこちらへ向かってくる三人の団員が見えた。

 

「海里さんに西野と摩美か……こっちだ!」


「佐伯ヶ原君!」


 海里達も佐伯ヶ原が刀を持っている事に驚いた。


「北に少し行けば、簡易の避難場所があるからそこへ! おい、摩美は俺と一緒に来い」


「えっ!?」


 話した事もない相手に突然名指しされ摩美も驚く。


「堂々と人の奥さんに何を言うんだよ!?」


 警戒する西野の頭を摩美が小突いた。


「能無しバカ野郎が! カリンが白夜に寝返った。だから頼まれてルカも探しに行く。あいつとは戦ったばかりだから俺だけだと暴れられる可能性もあるからな。元紅夜会のお前も来い」


 カリンに正直に話せば、佐伯ヶ原が救助に行くことを拒んだかもしれない。

 だからルカとは戦闘済みだとは言わなかったのだ。

 いざとなれば縛り上げてでも連れてくればいいかと思っていたが、戦闘を回避できるならそれが一番だ。


「カリンが? わかった。栄太あんたは避難場所に行って」


 瞬時に事態を把握し、摩美は西野の胸元を突っついた。


「い、嫌だよ!」


「あんたを守りながらだとキツイんだってば!」


「ふぇえええん。俺はなんて非力な夫なんだよぉ俺も俺も戦えたならぁ!」


「あんたは戦えなくてもいいの! じゃあ海里、結界までこいつをお願いしますね」


「了解」


「俺達が戻るまで海里さんは団長達のところで待っててください」


「あぁ、二人も気をつけて! 何かあれば照明弾を!」


 二人ずつで別れたあと、海里もまた血の荒野を見る。

 囚われた椿の元へ向かいながら戦う二人の兄弟。

 その先にいるのは、妖魔王・紅夜。


 しかし海里は照明弾が避難場所からの一つと自分の上げた一つしかなかった事に気付いていた。


「琴音ちゃん……まさか玲央君の元へ?」

 

 ◇◇◇


 血の海がどんどん広がっていく様子を闘真は呆然と見ていた。

 瓦礫の上、ボロボロになっている闘真はロッサの触手によって支えられている。


「あぁ……俺の薔薇達が……血に飲まれていく……」

 

 闘真の頭上の空からも半妖魔化した人間達が血の海に落ちていく。

 失奪殺の三匹は復活し、咆哮が聞こえた。

 しかし、そんな事は目に入らないし耳にも聞こえない。

 紅夜と椿のために育てた薔薇が血に飲まれ、妖魔の群れが踏み潰す光景をただ見つめていた。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とっとっ闘真ァアァアーッ!! い、生きとったんかワレぇえええ!!! ( ;∀;)ブワッ
[良い点] 誰が性天使フェロモンじゃい!! 爽子は相変わらずで癒やされます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ