鏡合わせの地獄
紅夜城がまた変化を始めた時、美子達が待つ人間世界にも異常が見られた。
「空が……!?」
まるで鏡合わせのように、空に紅夜の世界が映っている。
見上げていると、自分が空に浮かび紅夜の世界を見下ろしている感覚になってくる。
狂気の世界。
学園の校庭にいる白夜団の団員達も恐怖を感じ叫ぶ者もいる。
通信機器が機能しない事態になっていた。
世界が終わる恐怖が、皆の心を襲う――!
「伊予奈さん! あれ!」
槍鏡翠湖を構えながら、美子が叫ぶ。
「なんてこと……」
人間が上空に吸い込まれるように、紅夜の世界に落ちていく。
しかし落ちていくのは半妖魔化した人間達だ。
紅夜城の肉壁が開いて血の海になった。
そこに落ちた人間達はそのまま消えていく……。
巨大化していく紅夜に吸収されているようだった。
「青炎結界施設の人達は大丈夫みたいだぜ!! もう、妖魔化した奴らは無理だよ!」
龍之介が叫ぶ。
「彼らにとっては、望んだ未来なのかもな」
「これが、幸せかぁ……人間の心が一番わからんもんだね」
「恐怖は狂気を駆り立てる」
「みんなを安心させないとだね」
滑渡拓巳と恩心月太狼が空を眺めながら話す。
半妖魔化した人間は、自らその運命を選んだ者達だ。
もう助けることは不可能。
自分達に出来ることは生き延びる意思がある人間を守ること!
「見て! ゲートじゃないとこからも妖魔来るってばぁ~~! まじぃ!?」
莉里が叫ぶ。
美子が繋げたゲートから妖魔が来ることを予測していたが上下なのか裏表なのか、天と地を捻じ曲げて繋がった世界だ。
空から無数の妖魔達がやってくる。
美子も窮地に息を飲んだ。
しかし伊予奈は持った錫杖をジャリン! と鳴らすように構える。
「あなた達!!今こそ踏ん張り時よ! 見て! あの光はきっと紅夜城へ行った皆よ!」
空に広がる血の海。
中心にとぐろを巻いたような巨大な渦は紅夜なのか。
だが、そこに星のように散らばった光が見えた。
濁った世界で輝く命の光だ。
「姫ーーー! うちらも頑張るから絶対帰ってきてよお!!」
「剣一君! みんなを無事に連れて帰還しなさいよ!!」
「……馬鹿な美術部部長……帰ってきたら、来年度の広報誌の表紙描かせてやるんだからね!!」
それぞれの心の叫びが空に消えていく。
民間人の避難場所へ妖魔が奇襲する事を恐れた国の機関は、白夜団へ要請を出した。
この一帯に妖魔を引き寄せる誘魔結晶を使ってくれ……と。
ここで全滅すれば、ゲートも閉まる。
あの赤い血の海で戦う仲間が戻ってくる術がなくなるというのに……。
今、此処の場所に命令する立場の人間はいなかった。
それでも、全員の意見の一致で誘魔結晶は散布され割られた。
絶望しかない紅い夜、しかし此の場にいる全員が空に輝く希望を信じたのだ。
「玲央ーーー!! 負けるんじゃねーぞ!! いくぞ!! 負けてたまっかよぉおおおおおおおお!!」
龍之介が折鬼を、掲げる。
絶望の夜は更に濃くなったとしても、諦める者は誰一人いなかった。
この絶望の夜を終わらせる――!
いつもありがとうございます。
ラストダンジョン、ラストバトルで緊張感が高まっております。
此処まで書き続けられているのも、皆様のおかげです。
余韻を残すために後書きを最近控えておりましたが、これから更に戦いは激化し
最終回まで突き進んでいく予定です。
なので此処で皆様に御礼を申し上げたく、後書きを書いております。
このまま最後まで楽しんで頂けますように頑張りますので、お付き合いよろしくお願い致します。
執筆に時間がかかりまして更新が遅いのですが、絶対に途中放棄はしないことを誓います。
皆様から頂いた、いいね、評価、感想、レビューを胸に抱いて頑張ります!
一言感想も大歓迎です。全てが力になります。
ありがとうございます!




