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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第三部 第二章

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浄化涙条・雪懺悔


 奪に遭遇した琴音の前に、突然現れた絡繰門雪春。


「どういうおつもりデスカ……カラクモン……ユキハル……」


 雪春に斬られ、壁に激突した奪がゴポリと赤黒い血を吐いた。

 その問いに雪春はまだ黙ったままだ。


「……お父様……への……裏切りと判断してよろしいのですか……?」


「貴女を滅ぼす行為が、そうみなされるのであれば」


「……私を滅ぼす……」


「えぇ。申し訳ありませんが、そう望む方がいらっしゃるので」


 琴音が雪春を見る。

 白夜団を裏切った男が今度は紅夜会を裏切るというのだろうか。

 篝の存在と事情など知らない琴音は、雪春の裏に誰がいるのかわからない。

 

「ギィエエエエエエエエエエエエエ!! エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ……!!」


 奪が身を震わせ、咆哮した。

 床も壁もビリビリと震えだし、奪の背後の肉壁からは血管が破裂して血が吹き出す。


「絡繰門雪春、お前は謀反者です……排除しなければいけません」


 今の咆哮は伝達だったようだ。 

 妖魔の群れがこちらへやってくるのが見える。


「お互いに事情がありますからね……」


 雪春は、五本の長い釘を取り出すと五方向へ針を飛ばす。


「結界……?」


 奪も琴音をも入れた結界を張った雪春。

 結界の強さは雑魚の妖魔がガラスのようにぶつかり一匹も入ってこられない事ですぐにわかる。

 

「……ふざけた事をして……!」


 琴音は吐き捨てるように言う。

 自分を殺そうとしている琴音を結界から除外すればいいだけなのに、雪春はそれをしなかった。

 先程の行動も、そして今も……自分を助けようとしている?

 

「全部が全部、イラつく男ね!」


 琴音が斬りかかると同時に、奪もまた雪春に向かう。

 明橙夜明集『雪春』の柄の先端を飾る腕貫緒が、またたなびいた。

 そして左手にはいつの間にか錫杖が握られている。

 刀と錫杖をクロスするように構え術を唱えた。

 

「……浄化涙条じょうかるいじょう雪懺悔ゆきざんげ……」


 結界内に、まるで雪のような花吹雪のような細かい光が発生する。

 

「浄化……!」


 琴音にとって浄化は毒だ。

 自分と奪を一度に攻撃する技を使ってきた! と身構える。


「ギャアアア!!」


 しかし叫び声をあげたのは奪だけだ。

 雪は奪の周りにだけ降り注いでいる。


「……私への懺悔とでも言うの!?」


 琴音は苛立ちながら黄蝶露で斬りかかり、雪春はそれを錫杖で受け流すと一歩退いた。


「いいえ、僕は誰にも懺悔するつもりも詫びるつもりもありません。これは術の名前なだけですよ……失礼」


「くっ! いけしゃあしゃあと!」


「謀反者ォ! ユキハルゥウウウウウウウウ!!」


 琴音の攻撃に混ざって、やはりこれだけでは消滅するわけのない奪が溶けた身体で雪春にビームの衝撃波を放つ。

 それを利用して雪春は琴音からの攻撃も避けた。


 琴音も雪春の任務戦歴資料は見ていたが、この男は自分の強さを隠し通していた。

 麗音愛や剣一が己自身の発揮する圧倒的強さで敵を粉砕する力だとすれば、雪春は他者の力を利用し翻弄し操るように敵を滅する……絡繰からくりのように。


 琴音の脳裏に、あの残酷な夜が思い出される。


「JK罰姫に魅了された情けないおっさんだと思ってたけど……あれだけの裏切りをして今は誰の命令を聞いているの!?」


 椿の肉体を何度も斬り、浄化剥がしをした時の事を琴音は見ている。

 この男の飼い主はもう紅夜ではない。

 

 ふ……と雪春は薄く微笑んだ、ように見えた。


「桃純カガリかぁあああ!! お父様を裏切ったか、人間めぇええ!!」


 篝は紅夜に従順な態度などとってはいなかった。

 だが奪には、篝は紅夜の奴隷であるという認識だったのだろう。


「……残念ながら、僕は一度たりとも誰かの命令で動いた事はありません」


 ずっと同じ静かな口調で、全てが自分の意志だと雪春は言い切った――。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪春美しい‥言葉遣いが丁寧な男性って良いよね (・∀・)❤
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