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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第三部 第二章

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男達。


 摩美の裏切りの後、連絡を受けた麗音愛がマントをなびかせながら校庭に着地した。


「西野!!」


 校庭で応急処置をされていた西野を、麗音愛が紫の炎で包んだ。

 すぐに怪我が治っていく。


「う……あぁ~! すごいな……本当に治った! ありがとう玲央」


「派手にやられたな、大丈夫か? 遅くなってごめん」


 団服が胸元から裂けて、出血もそれなりにあったようだ。

 脂汗で苦痛に歪んでいた顔の西野がすっきりした笑顔になる。


「紅夜会に疑われたら危ないから思いっきりやるんだ! って摩美ちゃんに言っておいたからね」


「さすが。それで摩美は紅夜会に戻れたのか?」


「一緒には帰ったよ……椿ちゃんに会えて渡せていたらいいんだけど……」


 麗音愛の紫の光を見た摩美が、黒い文箱を開ける鍵になるのではないかと気付いたのだった。

 紅夜会の交渉で必要になる可能性も考え用意されていた箱は、確かに麗音愛の紫の炎で開いた。


 そこにあった手紙とブローチ。

 産みの母からの手紙は麗音愛にとって、嬉しく切ないものだった。

 そして『白い小さな鍔』は、椿が麗音愛と一緒に生まれた時握りしめていた物だという。

 篝は直感的にこれを紅夜会に奪われてはいけない、と隠す事を決めた。

 麗音愛の覚醒に合わせて鍵を作り封印したという事がもう一枚の手紙に書いてあったのだ。


 これをすぐに椿に渡さなければ、と直感的に麗音愛は思った。

 不思議なことに、その場に立ち会った全員がそう思ったのだ。

 摩美の提案には危険すぎると、反対したが宿目七が協力すると申し出た。


「危険を犯してまで会いに行ってくれたんだ。きっと会えてるよ。……そして俺が必ず迎えに行く!」


 不安は確かにある。

 椿の無事も心配だ。でも椿の強さと摩美の強さを信じている。

 

「あぁ! 俺も行くよ!」


 西野が大声で叫んだ。


「え? 非戦闘員なのに大丈夫か」


「嫁さん迎えに行かない男がいるかよ! そうだろ!?」


 西野も摩美も驚くくらい、自分の主張をするようになった。

 そして頷くしかない事を言う。


「まったく、わかったよ」


「あぁ。用意しておく!」


「おう、また街へ行ってくる」


 少し笑って、麗音愛はまた街へ飛ぼうと校舎の屋上に一度降り立つ。

 すると街全体が淡く青く光り輝いているのが見えた。

 妖魔が散っていく影も見える。

 

「……まさか兄さんの青炎石の結界?」


 梨里と龍之介からのグループ通話が着信する。


『玲央ぴー! 動画配信サイト見て! うちらの動画めっちゃ伸びてるから!』


『剣兄やべーわ!』


 そう言われて携帯電話を見れば、純白の団服を着て闘う剣一の姿が一般人の撮影者によって投稿されて爆発的に視聴者が増えている。

 更に『カメリア』が妖魔に対して効果がある事が白夜団側から全国へ報じられ、剣一が歌い手本人だと爽子も動画をあげた。

 インフルエンサーの琴音や梨里が白夜団だと公言し注意喚起や妖魔撃退の動画もあげて、大混乱のなかでも白夜団は『希望の光』として皆が応援を始めている。

 いつかは対応への批判もあるだろうが、今この状況で頼れるのは白夜団だけだ。

 

『玲央~おつ!』

 

 剣一からの着信だ。


「兄さん」


『おっす! とりあえず、この街の青炎結晶の配布は終わりそうだ。あとは全国に大急ぎで配送だけで任せてある。一先ず、みんなこれで安全になるだろう』


 今、大量の妖魔に襲われているのはこの街だけだ。

 この街の妖魔を殲滅し、紅い夜が終わるまで全国で避難を促し地方の白夜団で対応すれば被害は最小限になる。

 

「さすがだよ……動画も見た。白夜団の存在も明るみに出たんだね」


『あぁ。街の青い光が見えるか?』


「うん、あれだけの量を増産できるなんて兄さんはすごいよ」


『全部、お前の功績だ』

 

「えっ……」


 屋上にいても、かすかに聞こえてくる剣一の歌声。

 華々しく結果を出している兄に言われるとは思わなかった。

 

『お前がいなければ、俺はこの街を破壊していただろう……今、紅夜に対抗できているのはお前の力だよ』


「いや……」


 確かに兄の洗脳を解いたのは自分だが、それまでの積み重ねも皆の努力あってこそだ。


「みんなの力だよ……」


『はは、お前は本当に、そういうやつだなぁ』


「そうかな……」


 兄と話しながら、学園の校舎に襲いかかる大型妖魔を二匹斬り落とした。

  

『玲央、病院へ行けるか? 重症者の治療をしてほしい』


 この学園の場所を自分が抜けても、琴音や術者が此処を守ってくれる。

 

「行ける!」


『紫の炎を妖魔化している人にも試してくれ!』


 情報によると、紅夜信者の人間は妖魔化が進み紅夜を求めて触手のような手を空に伸ばしているらしい。

 その人達は救えなくとも、まだ()()()()()人には紫の炎を試したいのだ。


 剣一の方でも闘っている音がする。

 

「了解、じゃあ街の妖魔を全部頼むよ」


 他の誰にも言えないセリフも兄には言える。

 答えはわかってるから。


『任せろ』


「うん。紅い夜は続くと思うけど、夜明け時刻に紅夜城へ……!」 


『了解!』


 通話は切れて、二人の兄弟はまた闘う。

 そして麗音愛は双子としての絆なのか、剣一は眷属としての絆で椿が覚醒した事を感じ取ったのだった。

 桃色の炎が、胸を焦がす。




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