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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第三部 第二章

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少女達:裏切りの少女


 琴音のサーベル二刀流によって、紗妃の軍服の飾りが飛び散り胸元から血が噴き出る。


 「紗妃ぃ!」


 妖魔を追撃され空から落ちたカリンだったが、結界術で難を逃れたようだった。


 「ぐぅ! ……これくらいで……!」


 しかし紗妃の手に、もう武器はない。

 鎌部分がバラバラに砕け散った華織月は柄も手元から落ちてしまっている。


 「ならば首も身体もバラバラにしてやるわっ!」


 琴音は更に紗妃に襲いかかろうとしたが気配を感じ、琴音は後ろに飛び退いた。

 二人の少女の間にロープが鞭のようにしなる。


「あ、貴女……!」


 琴音が睨みつけ、本部になっている校舎の方を振り向いた。

 校庭側の体育館の出口から煙が出ている。


 「紗妃、カリン! 帰るよ」


 「……ま、摩美……!」


 紗妃と琴音の間に割って入ったのは、摩美だ。

 血だらけの紗妃を背に守るようにしている。

 学校の資材から奪ったのか、ロープが触手のように蛇のようにうねって琴音を威嚇した。

 折れた華織月の柄を拾い、血まみれで腕や足が千切れそうな紗妃を支える。


「くっ……お前、どの面さげてっ……!」


「摩美ぃ!! 戻ってきたんだね!!」


 カリンが摩美に駆け寄り、更に自分達少女三人を守るように結界を張った。


「カリン、久しぶりだね。戻ってきたよ」


 摩美の微笑みに、カリンの目が潤む。


「白夜に寝返ったのかと思ったよお~~!!」


「そんなわけないでしょう! 私は紅夜様に命じられた事を果たすために潜入していただけ」


 摩美は脇に抱えた黒い文箱をカリンに見せた。

 それはあの椿の屋敷で見つけた開かずの箱だ。

 

「やはり腐った血が、浄化されることなど……ないようね!」


 琴音が摩美を睨み、サーベル二刀の刃先を擦り合わせるような仕草をした。


「加正寺の御令嬢様……色々とお世話になりましたね……!」


 琴音に拷問された過去がある摩美。

 今にも噛みつく狂犬のような琴音のオーラにも動じず摩美は嘲笑った。


「さぁ……カリン、ここは撤退する! 紅夜城へ戻って!」


「う、うん……!」

 

「待ってよ! 摩美ちゃああん!」


 呪殺魔法陣の効果は消え失せていた。

 摩美を追って西野が顔面蒼白で駆けつける。


「なに、あの男? 摩美はあの男も騙してたの?」


「そう……騙してた。私は紅夜会の摩美。他の何者でもないわ」


「あはは、馬鹿なボンクラ男だね! 白夜の男なんか馬鹿ばっかり! 死ね!」


 べーっと西野に向かってカリンは舌を出した。


「待ってよ! 摩美ちゃん! 嘘だったなんてそんな! 俺達を裏切るなんて嘘でしょ!?」


「うるさい男! あっちへ行きな! 気持ち悪い!」

 

 鞭のようにしなった縄が西野の胸元に当たって西野は吹っ飛び、土の上を転がっていく。

 カリンから見ても摩美は平然とした顔をしている。


「きゃははは! 惨めなおっとこー! バーカ!」


 西野は土の上で苦しそうに、悶えながらもまだ摩美に手を伸ばしていた。


「摩美……撤退なんて誰がするか! 私はまだ戦うに決まっている……! カリン、武器を出せ!」


「もう、そんな身体じゃ無理だし、早くこの箱を紅夜様に渡した方がいい」


「そうだよ帰ろう!」


「あのサーベル女、許せるわけねぇだろ……!」


 紗妃はまだ戦うと言い張るが、カリンは言う事を聞く気がないようだった。

 紗妃の再生能力が目に見えて落ちてきているように感じる。

 また血を吐いて、支えてた摩美の団服を血で染めていく。

  

「紗妃! 帰るよ……! 戻って紅夜様にあんたも治してもらわないと!」


「そうだよ! 転移結界を発動する!」


「やめろ……! 殺す! 皆殺しだ!」

 

 カリンが紅夜城への転移結界を展開する。

 琴音は隙を見ているが、カリンの結界と摩美の縄術で近寄ることはできない。

 しかし、このまま逃してよいものか……摩美だけでも討つべきか琴音は黄蝶露を構えなおす。

 

「紗妃ちゃん!」


 その時、女の声が響いた。


 聞いた事もない誰かの呼び声に血だらけの紗妃が顔をあげた。

 倒れた西野を抱き上げている女が自分の名を呼んだ?

 紗妃は目をこらす。


「待って! 貴女が紗妃ちゃんなのね?」


 中年の女。

 まるで我が子を心配しているかのような表情の女。

 悲痛な顔をして瞳は潤んでいる。


「……誰だぁ? ……ババア……」


「わ、私は白夜団団長、咲楽紫千直美です!」


「……白夜団……団長……」


 紗妃の目に憎しみが宿る。

 咲楽紫千、その名を聞くだけでも腹立たしい。

 そして団長――!

 憎い白夜団の団長――!

 存在はもちろん知っていたが、直美をじかに見るのは初めてだった。

 

「ハガキの、ハガキのお返事をくれていたのは貴女だったのよね……!」


「! ……おまえ……」


「ずっと貴女に会いたかったのよ……紗妃ちゃん!」


「……ハガキの……」


 血だらけの胸を紗妃が掻きむしるように右手で掴んだ。

 春夏秋冬のハガキの世界にだけあった綺麗な景色を、花を、思い出す。

 そこにだけあった優しい言葉……。


「お願い紗妃ちゃん……! 少しだけでも話を……!」


「う、うるせぇーーー! 死ね!! 妖魔達! あのババアを殺せ!!」


 紗妃の命令で残っていた妖魔が直美に向かっていく。


「あっ!」


 直美にめがけて襲いかかる妖魔を、夫の雄剣が片手で斬り伏せた。

 これで紗妃とカリンが連れてきた妖魔は、全て散った。


「白夜団は全部、敵だ! ババア次はお前も殺す……!」

 

「もう、いいから行くよ……! 追手が来たら困る! カリン、紅夜城へ戻って!」


「わ、わかった……!」


「ま……摩美ちゃん行かないでよ……! 摩美ちゃん……摩美ちゃん!!」


 西野が手を伸ばしたが、転移結界は三人を飲み込み消えていく。

 沢山の血が降り注いだ校庭は、妖魔の死骸だけが残り、沈黙と闇に包まれた。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 紗妃に救済フラグが!!! 直美さん頑張って〜(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 摩美は麗音愛と話してたからなにか考えがあると信じてる! そして琴音かっこいいぜ…( ˘ω˘ )
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