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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第二部 第七章

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男の責任

 

 麗音愛達は、食事の時間だけは二人きりにさせてドアの前で待っていた。

 時間が終わりを告げ、西野は皆に頭を深々と下げた。


「ありがとうございました、団長」


「まだ、これから色々と大変だけれど……とりあえず摩美さんが食事を摂ってくれて良かったわ。

 あなたのお母様ともお話をしなければいけないし」


 未成年の西野の入団には親の許可も必要になる。

 しかし大怪我をしたばかりの息子の入団をすぐに承知する親もいないだろう。


「母の説得は自分で必ずします! すぐにでも働けるように準備……!」


「まずは身体を治す事が先決よ。そして学校にもしっかり通ってね」


「い……いいんですか」


「俺達だって学校行ってるだろ。どんな組織だと思ってるんだよ。

 入団待ってるよ西野」


「玲央……色々とご指導お願いします!」


「やめろって!」


 白夜団としても特殊な事情で西野を入団させるとしても、もちろん危険な任務などさせる事はないだろう。

 とりあえず今日は帰宅する事になった麗音愛達。

 先を歩く椿と直美の後を男同士二人で歩く。

 

「しかし……プロポーズとか驚いたよ」


「さすがに聞かれて恥ずかしい気持ちもあったけどさ」


 照れ笑いをする西野。


「俺だって気恥ずかしかったよ。宿目さんなんか目を見開いてたし」


「でも、男の責任果たさなきゃなってさ」


「えっ?」


「えっ? いや、やっぱさ……男として責任を……とか俺が言ってるの聞かれたら殴られちゃうな!」


「……男の責任果たさないといけない……何をしたんですか?」


「ば、ばか! そんなこと言わせるなよ! 意地が悪いな玲央! 自分だって前から可愛い彼女と色々してるくせによ!」


「……」


 アハハと笑う西野の隣を麗音愛は無表情で歩いた。


 直美は結局本部で仕事をしていく事になり、西野の今後の本部通いを世話するのに椿の補佐をしている字気あざきの名刺が渡される。

 そして三人は車で送られ家へ帰った。


「本当に良かったよね麗音愛」


「あぁ……良かったよね」


「……どうしたの?」


 ニコニコして自分の家の台所でお弁当箱を洗う椿の横で、なぜか虚ろげな表情の麗音愛。


「いや……」


「今日ももうこんな時間になっちゃって……部屋まで来てくれてありがとうね」


 龍之介も梨里もリビングにはおらず、どうやら外出しているようだ。

 台所の照明も一つだけで、薄暗い。


「麗音愛? 疲れたでしょ。今日はそろそそ……」


 今日もジーンズとパーカーのラフな姿だが相変わらず可愛い椿を抱き締める。

 うふふ、と嬉しそうに椿も抱きしめ返してくれる。


「麗音愛大好き……」


「俺も大好きだよ」


 麗音愛は心の底から『俺も男の責任果たしたい!!』と思ったが、本来そういう意味の言葉ではない。


「椿……俺」


「なぁに?」


 腕のなかで何も気付いていない椿は優しく麗音愛の言葉に応えてくれる。


「そろそろ俺も……我慢の……」


「我慢の?」


 その時、玄関が開いてドヤドヤと騒がしい声がする。

 梨里と龍之介だ。

 爽やかに椿は腕からすり抜けていた。


「梨里ちゃん、釘刺君おかえりなさい」


「あっ姫もおかえりー! 牛丼食べた過ぎて我慢の限界だったから買ってきたぁ

 食べるー?」


「ったく玲央は金払えよーっ!? あー夜中の牛丼たまんね~! 我慢の限界だぜ」


 二人を見ていた椿がピコン! と閃いた顔をする。


「あっ我慢の限界! 麗音愛もいただこう! お腹空いてたんだよね?」


「……うん……いただきます」


 牛丼に涙が混ざったのかいつも以上にしょっぱく感じる麗音愛だった。 


「へ~西野っぴが入団するのぉ。使えるの? あんなヒョロで」


「西野君には、摩美を任せるような感じで……戦闘なんかさせないと思うから」


 梨里はトマト牛丼。龍之介はカレー牛丼。麗音愛と椿は大盛りを頬張る。


「あんなの戦闘に入ったら、怒り狂った紅夜会に殺されんじゃねーの?」


「一応対策は考えてあるよ。今週末に予定してるから俺と椿で対応するよ」


「麗音愛って、本当にすごいよね。なんでも沢山考えてくれて、みんなの為に動いてくれて……すごい……」


「あはは、トゥンクするなしー」


 不純な気持ちで少し凹んでいたので、椿の純粋な尊敬の眼差しが少し痛かった。

 誰よりも何よりも大切なのは、椿……。

 そんな事を言ったらガッカリさせてしまうかな、と思いながら牛丼をかきこんだ。


◇◇◇


 「ねぇ、琴音ちゃん」


 本来、子供が来るような場所ではないクラブの個室。

 海里が携帯電話を見ながらグリーンのノンアルコールカクテルを飲む琴音に言う。


「なんですか?」


「この前、団長から通達があった私的な拷問の禁止……あれは……琴音ちゃん?」


「えぇ、そうです」


 悪びれもしない琴音。

 胸元が開いたシャツを着て、傷跡が見える。


「説教するつもりはないけれど……もう目立つような残虐な事はしない方がいいよ」


「そうですか?」


「玲央君の事が好きならば……」


 グリッと琴音の目の色が変わる。


「海里さんまで……浅い人にならないでくださいよぉ」


「え……?」


「光があれば影がある……先程、部下から連絡がきましたけど、捕虜との一件うまい具合にいきそうですって。

 優しい玲央先輩が望むような優しいお話に落ち着きそうです」


「それは、玲央君達の努力で……」


 カクテルを飲み干して、タンと琴音はカクテルクラスをテーブルに置く。


「私が影でしたことの結果ですよぉ? 動かす力が必要だったんですよ。

 綺麗で可愛らしい、清らかで愛される……そんな陳腐な弱々しい光はあの女に譲ったのです」


 その光が誰であるかは、すぐにわかった。


「私は玲央先輩と同じ。穢れた存在……力をもつ存在……。

 だから暗闇から……悲鳴から、血反吐のなかからサポートするんですぅ

 綺麗なお姫様ではなく、汚れても……あの人のために動ける参謀として」


 うっとりするような琴音を見て寒気がした海里はビールをあおった。


「そうなんだ……」


「海里さんも椿先輩が好きなんでしょう?

 なのに絡繰門雪春に遠慮したばっかりに、あの男の下位互換みたいになってますよぉ」


 クスクス笑いながら言う琴音と対象的に海里は不愉快極まりない顔をする。

 普段は見せない顔だ。


「琴音ちゃんは、嫌な子だな」


「ふふ……だから本音を話せるんでしょ?」


「……そうだね。君は正直だ」


「海里さんも、正直な性的欲求を椿先輩にぶつけたらいいんですよぉ~」


「まったく……僕はそういう二人の中を引き裂くことに協力はしないよ」

  

「んっふっふ~。でも見ててくださいよ

 紫の炎が失くなった椿先輩と、的確に自分を悪に仕立て上げてでも! 皆を救う私と……をね」


 自信たっぷりに言う琴音を見て、海里はこの子が紅夜会ではなくて良かった――と思った。

 

 暗い夜が終わり朝が来る……。

 そして麗音愛が考えた対策の週末になった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] そりゃやってるでしょうよ!!!!! わーん公式で断定ありがとうございます♡♡♡ にしまみ可愛すぎかよーーー!!!!! 七さんもお目目ぱっちりよ( ˘ω˘ ) みんなハッピーエンド迎えてほし…
[良い点] 椿がピュアッピュアすぎてれおんぬの男の子が辛い……!! [気になる点] しかし琴音……、丸くなるかと思ったらますます尖ってきましたね
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