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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第二部 第七章

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虚ろな瞳

 

 佐伯ヶ原のアトリエ。

 いつものメンバーが集まっている。


「しっかし紅夜会の幹部を懐柔させようだなんて酔狂だぜ」


 コーヒーを飲みながら龍之介が言う。


「釘差君、私達は懐柔なんて考えていないよ。詳しくは話せない部分もあるんだけど……紅夜会に戻るのをやめてもらえたらって思ってるだけ」


 高校生メンバーには、クラスメイトの西野が摩美と接触し妖魔に襲われたが摩美は西野を助けようとしていた――とだけ伝えている。


「やっぱ二人は禁断の恋しちゃってたのぉ~? めっちゃ気になるじゃん

 紅夜会幹部が高校生男子と恋に落ちるとかぁ。あたしそういうの好きー!」


 梨里がお菓子を食べながらキャッキャと笑う。


「そこらへんはノーコメントだよ」


 言わずとも、それなりに皆は察しているようだった。


「今日は行かないわけ~?」


「今日は……久々に椿と二人でデートって思ってたのにお前らが無理矢理ここに集合させたんじゃないか」


「みゃはは、まぁそうだけどさっ」


 ソファに隣同士で座る椿を、麗音愛が見る。

 摩美のため西野のためとは思っているが、椿との時間が無くなっているのは麗音愛にも寂しい。


「麗音愛、夕飯は一緒に食べようね」


「うん!」


「今日もサラは美しい……この角度だと子猿が邪魔だ。子猿子猿こっちに美味い特別な飴玉があるぞ……こいこい」


「特別な飴玉?」


「ちょっと美術部長! 二人の邪魔するんじゃないわよ。飴ならほら、玲央の横で食べていいの。はい」


「あ、何しやがる!」


「ありがとう美子ちゃん」


「気にせずイチャイチャしてね。あ、これ加正寺さんからのお詫びのお菓子~?」


 無造作に置かれた資料の上に立派な菓子折りが置いてあった。

 美子が手に取り佐伯ヶ原に見せる。


「あー食っていいぞ。失踪した時の詫びのやつ。部員にやろうかと思ってたけどよ」


「あードディバのやつね~あたしも貰ったわぁ~詫び状と一緒にね。お菓子に罪はないしー食べよ食べよ~!」


 梨里に言われて美子が、皆の前に並べる。

 あの日、琴音を捜索した皆に加正寺家から詫び状と菓子折りが届けられた。

 学校でもそれぞれに挨拶に来たらしい。


「琴音、髪が短くなったけどよ。更に可愛くなった気がする。俺は飯一緒に行ったぜ。元気になって良かったよなぁ」


「きっしょ! この中で琴音と仲良いの、あんただけだからねバカ龍」


「素直で強くて可愛いじゃん」


 チョコレートのかかったクッキーを龍之介は一口で頬張る。

 これだけの大きさの菓子折りだと一万円以上するだろう高級店のものだ。


「あの女が素直だってかよ、馬鹿の脳みそは一味次元が違うな」


「おい、亜門! 串刺しにすっぞ!」


 口喧嘩の始まる二人を横目に、麗音愛が皆のカップにコーヒーを注ぐ。


「玲央ありがとう。西野君はまだ入院? 受験生で本当に災難よね。学校では交通事故でしばらく休みって言ってたからみんな心配してたわ」


「来週には退院するけど、リハビリが必要だってさ」


「私に紫の炎があったら……」


「椿、仕方ないよ。退院したら家に見舞いに行こうかと思ってるよ」


「じゃあ、私も一緒に」


「うん」


 摩美は、紫の炎を椿がもう使えない事を知らなかった。

 つまりは雪春が白夜団を裏切り、紅夜会にいく事を知らなかったという事。

 幹部にも知らされずに、秘密裏に計画された雪春の行動。

 誰にも止めることなど、できなかったのだ。


 ◇◇◇


 その後、麗音愛には緊急で任務が連日入り摩美の元へ行けたのは数日後――。

 宿目七も大分素っ気無く、挨拶一つで部屋を出ていくようになった。


「久しぶりになったけど、今日も椿のご飯持ってきたよ」


「……あっそ……」


 無表情に戻った顔の摩美に、違和感を覚える麗音愛。

 そして椅子から降りた摩美の歪む表情を見て、麗音愛は摩美の腕を掴んだ。


「なっ……なに!? いつっ」


 そう言った摩美の顔が更に歪む。


「怪我したのか?」


「べ、別に」


「腕をかばってるだろ? 見せてみろ」


「あっ! 変態!」


 上下スウェットのような服を着せられていた摩美の腕をまくると、殴打されたような内出血がいくつかあった。


「これは妖魔にやられた時の傷じゃないな、ここでやられたのか!?」


「さぁね」


「ここで結界を張っている人か? こんな暴力は許されない、一体誰が?」


 たった数日の間に一体何が起きたのか、麗音愛も驚きを隠せない。


「もう……いいんだ」


「いいわけがないよ、庇う必要なんかないだろう。どんなヤツだった?」


 麗音愛の腕を払い除ける摩美。


「……それより、あのメガネの貧弱男が……白夜を裏切って紅夜会に行ったんだって?」


「絡繰門雪春か?」


「そう、私は何も知らなかった。だから姫様は紫の炎の力を失ったんだ……幹部なのに、私は何も知らなかった……本当にもう……捨てられたんだよ。最初からそのつもりだったのかも……」


 摩美に拷問した人物は、絡繰門雪春の情報を知り得たかったのか。

 数日前には、まだ生気のあった摩美の瞳は虚ろになっている。


「戻れるなんて思ってなかった……だから、もう早く殺してよ」


「……摩美……」


「何をされても何も話すつもりはない……だから殺して」


 西野のことなど忘れてしまったような無気力の瞳。

 摩美はそれ以上は何も語らず、何も口にしなかった。

 一体、何を言われたのか……少し近づいた心は完全に離れてしまった。  



いつもありがとうございます

今週末まで不定期更新にまりますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 摩美ちゃん(´;ω;`) 紅夜会だから、敵だから仕方ないかもしれないけど心と体を傷つけるのはやめてほしい 西野くんと会えれば……
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