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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第二部 第六章

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取引完了ではあるが~Unknown~



 同級生の元を訪れるように、雪春の部屋を軽くノックして琴音が入ってくる。


「また来て頂いてすみません、琴音さん」


「構いませんよ~。資料はもう、いいんですか」


「えぇ、大変助かりました」


 雪春の微笑みに、琴音も微笑んで応える。


「じゃあ、約束の報酬を最後にまたくださいね?」


「可愛い報酬だとは思いますが、かなり危険な大変な事をしての

 入手なのですから今回限りでお願いします」


 茶封筒を雪春は渡すと、琴音は微笑みながら中を見る。


「佐伯ヶ原先輩の携帯かパソコンへの侵入くらい

 情報部ならすぐできるじゃないですか……あ、これカッコイイ~!

 あの人、自分の能力悪用してますよ。絶対盗撮」


 琴音が取引の材料にしていたのは麗音愛の写真だった。


「貴女の玲央君好きは相当なものですね」


「一途でいいじゃないですかぁ?

 椿先輩なんて学校で男子達に囲まれて嬉しそうですよ。

 玲央先輩がたまに可哀想になります」


「おや」


「椿先輩にお熱だった川見先輩も卒業ですね~椿先輩泣いちゃうんじゃないでしょうかぁ

 ……あ~ジャージの玲央先輩も素敵」


「間違っても、団内で椿さんと揉めることのないようにしてくださいね」


「もちろんですよ~どうせ、雪春さんは椿先輩の味方ですし

 じゃあ、資料はうちのワゴンバスに乗せておいてください」


「本当に感謝しています」


「資料を見て、何かわかったんですか?」


「報告できることはありませんでしたが断片的に……ですね。

 その後、DMはどうですか?」


「もう来なくなりました。また違う相手へ洗脳DM送るかもしれませんから注意喚起した方がいいかもしれませんよ。

 鹿義さんとか、すごく騙されそう」


 おどけて頭の悪そうな顔をする琴音。

 梨里の真似のつもりだろうか。


「そうですね、注意喚起の一斉連絡はするつもりです」


「お願いしますね~

 じゃあ、私は海里さんのとこに顔出してから帰ります」


「はい、それまでに資料は積んでおきますね」


 ポンと、雪春が段ボールを叩く。


「あ、箱がキャミソールじゃないのに変わってる」


「僕がキャミソールの箱を運ぶのもおかしいですからね。

 先日、少し休みを頂いて遠出してきたので、その道の駅のお土産も入っています。

 干し椎茸やお煎餅、食べてくださいね」


「さすが、抜かり無いですね。ばあやが喜びそう。じゃあお疲れ様でぇす」


 そう言うと、琴音は雪春の部屋から出た。

 廊下を歩いていると、携帯電話が鳴ったので歩きながら確認する。


 SNSにDMが届いているのがわかり、開く。


『王子様とはなにかあった?』


「……また」


 Unknownでアイコンも真っ黒の相手からのDM。

 琴音は、少し立ち止まって壁にもたれて返信を打ち出した。


『kotone.k:玲央先輩のこと、バカにするような言い方しないで』


『Unknown:バカになんてしてないよ、囚われの王子様という意味』


『kotone.k:あなた、紅夜会なの? 白夜団なの?

 それともどちらかの裏切り者なの』


『Unknown:ボクとこうしてフレンドになった貴女はどっち?』


『kotone.k:フレンドなわけないでしょう。

 あなたの正体を暴いて制裁するのよ、私は白夜団加正寺当主の琴音だって知ってるでしょう』


『Unknown:じゃあ、まずは罰姫を制裁だね』


『kotone.k:紅夜側が、姫である椿先輩を制裁させるわけないし、やっぱりあなた白夜側……?』


『Unknown:さぁどうだろう? 紅白はっきりさせるよりはまず……

 罰姫の術に惑わされた彼を救ってあげるのが先では?』


 のらりくらりと会話を交わすUnknownに、琴音は少し苛立つ。


『kotone.k:どうするつもりなの? 玲央先輩になにかするの?

 それとも……』


『Unknown:君の大事な人には何もしない』


『kotone.k:じゃあ罰姫になにかするの?』


『Unknown:YES』


 ドクンと心臓が鳴る。


「あれーコットン」


「!」


 ついUnknownとのやり取りに集中してしまった琴音は、梨里の軽い声に慌てて顔を上げた。


「鹿義先輩……どうして本部に」


「んー? 仕事のあとに~海里ぴとお茶行く約束してんだぁリリカイリ~ってね」


「えぇ?」


「はぁ? あんた海里ぴにも、ちょっかいかけてんのぉ?」


「やめてくださいよ、遊び人じゃないですから私は」


 そうは言っても、琴音としては海里は自分に好意があるのではと少し思っていたのだった。

 今日も珈琲にでも誘えば喜ぶかと思っていた。それを悟られないように平然とした顔をつくる。


「へーじゃあ、まだ玲央ぴのこと?」


「さぁ? じゃ私帰ります」


「ばいにゃ~~」


 琴音は、海里の部屋には入らないまま本部を出て行った。


 ◇◇◇


「あ、加正寺さん」


 終業式の朝、生放送のテレビに笑顔で琴音が出演していた。

 あのキャミソールが更に人気となり令嬢女子高生インフルエンサーなどと言われアナウンサーとはしゃいでいる。


「学校、間に合うのかね」


 興味のない麗音愛は、ふりかけご飯を食べ味噌汁を啜った。

 今日は麗音愛が当番で、味噌汁はとろろ昆布を入れただけ。


「加正寺さんとは……最近話したりするの?」


「任務のことでは、たまにね。

 あの以前にやった一緒に闘ってどうなるかって実験は結局何もプラス効果はなかったみたいだし、学校で話す事もない」


 卵焼きを途中で食べるのを止めて、画面の琴音と麗音愛と交互に見ていた椿は安心したようにまた食べ始める。


「加正寺さんの事、まだ気にしてた?」


「すっするよ、だって……まだきっと」


「だから~そんなわけないよ。見てみなよ、人気俳優さんが隣にいて話してる。

 俺への興味なんか、もう無いに決まってるよ」


 麗音愛はそう言うが、白夜団としての陰の世界のなかで生きる自分達には光の中で生きる人は遠い存在。

 白夜団である事を大切に思っている琴音にとって麗音愛はいつまでも特別な存在なのではと思ってしまう。


「大体、最近はいつも椿と一緒にいるわけだし不安になる事ないよ」


「うん、そうだね」


 今も椿の指には指輪が輝いている。

 麗音愛は琴音よりもサッカー部の川見が卒業する事に正直安堵しているのだがカッコ悪いので絶対に言わないでおこうと思っていた。


『琴音ちゃん。このキャミソールは、どんな体型の女性にも好評だというお話ですね』


『そうなんですよ~』


「あっ……また、あの話」


「ん??」


 また『シンデレラバストさんにも大変好評ですー』という言葉が流れ

 麗音愛にチラッと見られた椿はつい麗音愛の肩をポカスカしてしまった。


 椿が初めて学校に通った高校二年生が終わっていく。

 桜の花が咲き始め、また不穏が動き出す――。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 琴音はきっと本当に麗音愛を大切な人間だと思ってるのでしょうね。 椿の存在は麗音愛を劇的に強くはしますが、彼の精神をより不安定にするのもまた椿の存在であり麗音愛のアキレス腱のように思えるので…
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