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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第2章 制服の笑み花の涙

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高校生きゃっきゃ珈琲

 


 あとの休み時間はお互い移動などで会えずにいたが

 大丈夫とメールが来ていたので、もう心配はしていなかった。


「おい! 2組体育だ! 椿ちゃんどこ!? どこ!?」


「玲央、椿ちゃんもう人気者なんだってな」


「そうみたいだね、本人は不安がってたけど俺もすぐ馴染めると思ってたよ」


 窓から覗くカッツーの横で麗音愛も椿を探してみた。


「お、いた」


「あ、あの小さい子かぁ~可愛いけど顔がよく見えない」


「見えないのに可愛いのかよ」


 目も異常に良くなったようで、かなり見える。


 もう自分サイズのジャージで萌え袖でもなく

 長くなった髪もきれいに結んで

 周りにいるのも化け物ではなく、同じ年齢の生徒達だ。


 不思議に感じる。

 椿がいる。


 色んな女子たちに囲まれて笑っている。

 違うスペースでやるはずの男子もいる。


 パッ! と椿がこちらを向いた。


「んー!? 椿ちゃんこっち見てない!?」


「気の所為だろ」


 麗音愛にはもちろんわかっていたが、カッツーがうるさいので知らんふりをする。


 しかし椿はニコニコして、手を振ってきた。


「あー! えっなに!? やばい俺まじときめき

 おーーい!! おおおおーーい!! 椿ちゃんーー!」


 ブンブン手を振るカッツーに椿も、慌てたようだが

 その横で小さく手を振った麗音愛を見て、笑ってまた友達の輪にまぎれていった。


「天使だ……」


 なんだか面倒なのに、椿も好かれてしまったものだと

 麗音愛は西野と石田と苦笑いした。




 お昼も椿の友人関係を考え教室には行かず 放課後に迎えに行く。


「今日は塾もないし、どっか寄り道してなにか美味しいものでも食べさせてやりたいな」


 そんな事をつぶやきながら

 椿の教室へ行くと椿の周りに4人程の女子が群がっていた。


「麗音愛、あの、みんなが……」


「ん?」


「椿ちゃんにお茶して帰らない? って誘ったの~咲楽紫千君いいでしょ?」


「え」


 ワイワイ楽しそうに椿の手を握って女子達が笑う。


「モール? ってとこ行こうって言われたんだけど……」


「あぁ、そうなんだ……楽しんでと言いたいんだけど、まだ椿が家の場所覚えてないから……」


「もちろん! 咲楽紫千君も一緒に」


「え、俺も!?」


 驚いている玲央に後ろからカッツーが抱きつく。


「俺も行く! 西野も! 石田も!」


「咲楽紫千君の友達? じゃみんなで行こうよ!」


「やったあああああ!! 最高ぉおおおおおお玲央ぉおおおおおお!!!!」


「うるさっ!!」


 結局西野も石田も来ることになり

 ぞろぞろ歩いて行く間に、麗音愛の横にそっと椿が来た。


「大丈夫かな? 行っても」


「うん、大丈夫だよ。慣れるまでは見張りがウロウロしてるらしいけど

 モールは行動範囲内だし、安心して楽しむといいよ」


「ありがとう」


「疲れてない?」


「うん! 大きい建物ばっかりだね」


 ぴょこぴょこ跳ねて嬉しそうだ。


 そんな椿を見て、みんなも嬉しそうに笑う。

 モールは水環学園生徒の溜まり場の一つだ。


「ムーンバックスコーヒー? わぁ……いい香り」


「うん、行ったことない? 椿ちゃん」


「席空いてるかな?」


 ワイワイと女子5人に男子4人の大人数だったが、ちょうど席も空いていた。


「なぁ玲央、ご、合コンみたいだな。俺まで呼んでくれてサンキューな!」


「いつも遊ぶ時一緒だろ石田」


 麗音愛も苦手な、ややこしい注文の仕方も女の子達に教えてもらっている。


 逃亡した時に初めてお金を遣ったようだが、お金の出し入れはもう慣れたようだ。


 周りの女の子達はブランドの財布を使っているが

 椿は剣五郎のお下がりのがま口財布だ。


 全然気にしていなかった自分を反省する麗音愛。


「財布買ってやらないと……」


「なんか言ったか?女子レベル高いよなー可愛い子ばっかり」


「そう……だな。確かに……」


 ワイワイと女子が戻ってきて、雑談が始まる。

 椿はフラペチーノをにこにこして麗音愛に見せてきた。


「美味しい!! すごい! 

 なにこれ~~美味しい! うわぁー美味しい!!」


「椿ちゃん可愛い~~」


 女子達に抱きつかれる椿。


「西野君達、全員9組なの?」


「えっ! あ、うん!」


 照れる西野の横で、小声でカッツーが麗音愛に話しかける。


「なぁ、やっと青春って感じしないか!? 楽しいよな! 女子と!」


「そうだな……うん」


「椿ちゃんが最高だけど、ゆうちゃんも可愛いな!みーちゃんも」


「うん、可愛い」


 目の前に可愛い女子がキャッキャと話して、楽しそうにしているのを見ると

 珍しく麗音愛も

 へらっと笑ってしまう。


「サラくんって呼んでもいいのー? それとも玲央君がいいかなー」


 ゆうちゃんに話しかけられ、照れながらも楽しく話す。

 それを見ていた椿は、なんだか胸が悪くなったような気持ちになる。


「?? なにこれ、また……うう」


「椿ちゃんてさーハーフなの?」


 ぶっと吹き出しそうになる麗音愛と椿。


「ど、どうして!?」


「おめめぱっちりで可愛いし、髪も赤茶色っぽいしさ、目も不思議な色に見える時がある」


「玲央の従姉妹ってなぁ、信じられないよなぁ」


 ハーフはハーフだが、まさか妖魔と人間のハーフとは言えない。


「椿は、ハーフじゃないよ、ね?」


「う、うん。そんなわけないよ~~あはあはは」


「ハーフだったら、もう少し大人っぽいよな」


「そうそう、って麗音愛ーーー!!」


 椿が『れおんぬ』と呼ぶ度に

 みな『れおんぬ?』と思うのだが、いとこ同士のあだ名かな? と

 とりあえず黙っていた。


「ねぇ! 咲楽紫千君って……剣一さんのこと知ってる?」


 唐突に出た兄の名前。


「ん? 兄だよ」


「え! お兄さんなのー!? じゃ連絡とれるの?」


「それは、兄だからできるよ、まだ家にいるし」


「やばーい! 嘘! 剣一さんとー!」


「お姉ちゃんに言わなきゃ!」


 女子たちが大騒ぎを始めた。


「ねぇねぇ今度会わせてーーー!!」


 まだこんな影響力があるのか……あの兄は。と

 麗音愛は愛想笑いをする。


「PLIN交換しよー」


 とそんな流れで全員とメールアプリPLINを教え合うことになった。


「グループ作ろう~」


「椿ちゃん~~俺メールしてもいい?」


「あの、あんまりメール好きじゃなくて……打つのも下手だから」


「既読無視しとけばいんだよ」


「ひでぇ!」


「キャハハハ」


 皆が笑う空気のなか、

 麗音愛はふと、1人の女の子の背後に暗く黒く蠢くものを見る。

 じっと見つめると、代々続く怨念か……。


 ふーっと長い息を麗音愛が吐くと

 麗音愛の呪怨が、伸び、絡み、絡みつき、自分達の元へと引き入れる。


 解放……。 

 女の子の背後からは何もいなくなり、綺麗な風が吹く。


「麗音愛……」


「玲央君……?」


「あ、」


「なに、今、玲央君じっと見てきてドキドキしちゃった!」


 照れたように笑う女の子。


「あ、ごめん! そんなつもりじゃなくて」


「めちゃくちゃかっこよく見えちゃった!」


「え、何そこ2人ー」


「あっちのポスター見てただけなんだ」


 そう言いながらも顔を紅くする麗音愛は女子達にからかわれる。


「私、お水もらってこよ」


 胸焼けがしているような気持ちの椿はそう言って席を立つ。

 

「あ、俺も」


 その後を麗音愛も追いかけた。


「そろそろ帰ろうか、疲れたよね」


「……うん」


 椿は転校初日で疲れたので、とみんなに伝え先に2人で帰ることにした。

 みんな笑顔で明日ねー!!とワイワイ見送ってくれる。


「椿、なんか怒ってる?」


「怒ってなんて、ないよ」


「そっか、疲れたよね。ムンバ美味しかった?」


「うん!! でも胸がモヤモヤする」


 お腹をさする椿。


「え? 大丈夫? 昼間、学食で何食べた?」


「ラーメンとカレーとチャーハン。ラーメンがねすっごく美味しかった!! 初めて食べた!!」


「学食のラーメン美味いよね、

 放課後になってお腹すきすぎたんじゃない? ケーキも食べれば良かったのに」


「だって……お金遣っていいのかなって思って」


「いいんだよ、毎月の小遣いなんだし。生活費として出てるんだから。

 今度美味いラーメン連れてってあげるよ」


 椿の生活費は元々、白夜団の予算に入っている。

 今月から麗音愛の父親の雄剣の管理で月々のお小遣いが渡されることになったのだ。


「あ、そういえば、財布見てくれば良かったな」


「財布?」


「じいちゃんの古めかしい財布、あれ恥ずかしいよね?

 女の子達、可愛いの持ってるし他のやつ買ったら?」


「古めかしいなんて言ったらダメ! あれ、おじいさまの奥様の使っていた財布なんだよ」


「え? おばあちゃんの?」


「そう、私すごく気に入ってるから、いいんだもん」


 カバンから取り出した財布を見せてもらうと

 気付かなかったが、椿の花の柄だった。


「そっか……おばあちゃんの……余計なお世話だったね」


「ううん、ありがとう。そんなことまで気にしてくれて」


「そりゃ、するよ。わからない事沢山あるだろうしサポートしていくよ」


「へへ……」


「さ、帰ったら胃薬飲もうか?」


「治った!」


 いつの間にか心臓か胃か? よくわからない不快感は消えていた。

 ガッツポーズをする椿。


「はや! 緊張してたのかな? 学校、楽しめそう?」


「うん、とっても楽しそう、なんでも初めてで夢みたいだよ」


 やはり学校に行くことにして良かったと

 麗音愛は思った。

 今までできなかった楽しい事を沢山体験させてやりたい。

 麗音愛が微笑むと椿も微笑んだ。


「よし! トレーニングがてら走って帰ろう!」


「負けないよっ!!」




 全力疾走しすぎた2人はマンションのエントランスで力尽きた。

 そこに荷物を抱えた剣一が現れる。


「ん? なんだ玲央、椿ちゃんまで

 青春してんのか? 若いなー

 って玲央、お前今日飯当番……今から?」


「あ、忘れてた」


「仕方ねーなぁ」


 忙しい家族で分担している夕飯当番を忘れていた麗音愛の代わりに、冷凍してあった材料と残り物の野菜でさっと剣一が夕飯を作ってくれた。


「うわぁ美味しい~剣一さんすごいです!!」


「椿ちゃんの笑顔見たら苦労も報われますわぁ」


「悪かったよ、次の当番代わるから」


「んじゃ、金曜の夜頼むわぁデートだから」


「……女たらしじゃなかったら、完璧なのにさ兄さんは」


「男が色を好んで何が悪いんだよ?

 でもデートの相手は女じゃないんだなぁ」


 ピクリと麗音愛が反応する。


「……仕事?」


「来るか?

 ラスボスと戦った後に、雑魚と戦わせるのも申し訳ないんだけどぉ

 じゃあ白夜団のお仕事体験に勇者剣一と椿姫とその仲間達で行くとしますか☆」


「?」


  お茶碗を持った椿が首を傾げた。


「椿、次の金曜に化け物退治行こうか」


「! は、はい!」


「白夜団では妖魔って呼んでるんだぞ。説明色々と任されてるけど 時間なくてできてないしなー。まぁ、おいおい話すよ」


「適当だなぁ」


「実戦あるのみ! じゃあ俺これからまた出かけるから」


「忙しいね。今日も仕事なの?」


「あ~……うん、そんな感じ」


「絶対違うだろ、女の子だろ」


 剣一は

 あはは! と笑ってごまかすと、自分は夕飯は食べず車の鍵を持って手を振って出て行った。


 夕飯のあと、学校生活について色々と話した後

 椿の部屋まで送る麗音愛。


「明日も、じゃ6時半に家に来て」


「うん!」


「……部屋で1人でさ、寝れてる?」


 空き部屋がファミリー向けの4LDKしかなかったため

 広いリビングにとりあえず、小さなソファやテレビを置いて

 一つの部屋にベッド

 物もなく寂しさを感じる家だ。


「うん、もちろんだよ」


 にっこり笑う椿。


「あの、麗音愛」


「ん?」


「あの羽織を一緒に持ってきてくれて、ありがとう」


「羽織……? あ、あぁあの布」


 ボロ布と言いそうになりごまかす。


「御礼言いたかったのに、ごめんなさい。こんなに遅くなって」


「大事なものなんだなって思ったから。俺も斬っちゃったけどさ」


「縫ったから大丈夫。あれ、母様の羽織なの」


 小さな椿を残して、自害した美しい(かがり)という女性。

 その形見の羽織……。

 

「そうだったんだ」


「あれがあれば、どこでも平気!!」


 それと、麗音愛のお守りもある。

 また子どもっぽいと言われそうで、それは言わずにいた。

 

「何か、あったらすぐ電話してきなよ」


「電話で……いいの?」


「ん? うん」


 メールで、ではなく電話と言ってくれたのが嬉しい。

 そっと

 制服のポケットから携帯電話を出すと


「ええ!? なんだかすごいメールの数!! 249!?」


「うわ! まじだ! グループメールすごいことに……」


「麗音愛……」


「未読スルーだ、寝よう」


「了解!」


「おやすみ、椿」


「はい、おやすみなさい麗音愛」


 ガチャリと重たいドアが閉まり

 麗音愛は夜風に吹かれ、少し上から見慣れた街を見る。


 見慣れた景色なのに、見えなかったものが見えてくる。

 不安か期待か、胸にゾクゾクと……こみ上げるものがある。


「観察日記でも、なんでも付けていればいいさ」


 どろりと吹き上がる呪怨でそのままマンションに

 人に見えない結界をかけた。



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― 新着の感想 ―
[一言] その仲間達ww はじめてのお仕事体験、どうなるのか今から気になる! 剣一さんのかっこいいところも見られるかな? 彼は有名なのですね!生徒会長? そっちの方も追々明かされるのかしら(*´∀`*…
[一言] 椿ちゃん……、その胸のモヤモヤは……( ˘ω˘ )ぐっ……
[良い点] あああ〜〜〜〜!!!可愛いーーー!!! 青春ーー!!。゜(゜´ω`゜)゜。みんな楽しそうでいいなぁ!♡♡ 椿ちゃんがみんなに可愛がられて嬉しい! 守りたいこの可愛い子たち…
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