第二部スタート! 残酷の始まり
人間を襲う妖魔。
それを統べる妖魔の王、紅夜。
人を守り、妖魔を討ち、紅夜を滅ぼす事を目的に作られた白夜団。
そして創られた108の武器・明橙夜明集。
家族に守られ穏やかに生きるはずだった
咲楽紫千麗音愛は、晒首千ノ刀を自ら抜き闘いの運命に身を投じる。
紅夜が父、白夜団で絶対的な力を誇った桃純家当主を母にして生まれた椿もまた
母を狂わせた紅夜を滅ぼす事を悲願とし剣を振るう。
運命のなか出逢った2人は、親友として時間を紡ぎ
そしてお互いに想い合い、恋人として結ばれた。
幸せのなかにいる2人を、笑うように闇は濃く深く紅く蠢く――。
「麗音愛おはよう!」
「おはよう椿」
マンションのエントランス。
マフラーを巻いた椿が笑顔で現れる。
夢のようなダンスパーティーが終わり、恋人同士になった2人。
とりあえずは兄の剣一にニヤニヤされただけで家族にはバレていないようだ。
学校内でも、特別2人で過ごすわけでもなく
以前とはあまり変わらない。
川見はさすがに来なくなったが、まだ椿に近寄る男もたくさんいる。
騒がしい朝の玄関で、またラブレターを確認した椿が苦笑いした。
「今日は一緒に帰れる?」
「うん、じゃあ放課後に」
「うん! 麗音愛」
「ん?」
こそこそ話をするように手招きされたので、耳を寄せる。
「麗音愛……大好き」
ふわっと椿の息も耳にかかった。
「っ……!」
「じゃあ! 私もメールするね」
自分で言っておいて
照れて真っ赤になった椿が、自分の教室に入っていく。
「椿!」
「えっ」
「俺も!」
「……!、 うん!」
可愛さが一層花咲く笑顔。
ただ、幸福――。
「おい! 玲央何ニヤけてんだぁあああああ! おらぁ!」
「なんでもねーよ!」
携帯電話のバイブが鳴る。
これは白夜団からのバイブパターンだと……隠れて確認すると事件報告だった。
2人の幸せとは相反するように、最近は妖魔絡みの事件が増えてきた。
兄の剣一もしばらく帰宅していない。
麗音愛も任務予定のスケジュールで週末が埋まってしまってた。
椿も任務を望んでいるが、雪春が架空の報告で天海紗妃が生きていた事を白夜団に伝えたため
直美の判断で許可は降りず、家でも龍之介と梨里による守護は絶対。
見張り警備の増員もあり、1人での外出も今は我慢するように言われてしまった。
なによりも椿の安全確保のためなので、それは納得しているが……。
「玲央~琴音ちゃんどうしちゃったんだよぉおおおお」
「俺には、わからないよ」
あのダンスパーティー以来、琴音は学校を休んでいた。
もちろん、こちらから連絡はしていない。
会ったところで、何を話せばいいのかもわからない。
「なぁ、お前クリスマスどうすんの?」
めでたく彼女ができた石田がカッツーに隠れて、クリスマス話を振ってきた。
「……そうだよな……クリスマス……」
学園内は、新しいカップルで溢れ、冬休みを前に皆が浮足立っていた。
◇◇◇
「今日、コロッケ食べて帰る?」
「うん! わーい!」
「じゃあ……」
「玲央君、椿さん」
学校を出た2人を1人の女性が引き止めた。
直美の秘書の佐野だ。
「佐野さん!?」
手は繋がなくとも校門を出るまで、いつもより距離の近かった2人は慌ててしまう。
「急にごめんなさいね、メールをしていたんだけど……」
「え? あ、本当だ……すみません」
「いいえ、私のミスなのよ~! ごめんね
申し訳ないんだけど2人ともこれから本部に来てもらえないかしら?」
えっ、と動揺してしまうが佐野は笑顔だ。
「何も悪い話じゃないのよ~
制服の試着があって、2人の日を間違えてしまってて
週末は玲央君はお仕事あるし、椿さんの護衛も増やせなくて……お願い! 本部に来て!」
「それは全然……いいですけど」
「制服の……試着……?」
麗音愛と椿は顔を見合わせた。
「よ~お前ら、おつかれー」
オフィス街にある白夜団本部に着くと、剣一がひらひら手を振っていた。
20歳ながら聖刀・綺羅紫乃を扱い白夜団特務部長を任されている兄。
何やらSFの軍服のような服を着ている。
「制服って……急にどうしたの?」
「急にでもなく、紅夜復活から開発はされてたんだよ
やっとこさ、ここまで形になったってわけ~軽くてすっげー丈夫!
この前の伊予奈さんの件もあるし訓練でも着用になるかな」
「確かにそれは、ありがたい」
麗音愛自身に回復力はあるが、毎度服はボロボロになってしまう。
「お前のは更に特別製、浄化術を緩和する機能なんかもあるらしいぞ」
「すごいです! 麗音愛の危険が少しでも減るなら良かった!」
椿が笑顔で嬉しそうに跳ねるとハーフツインテールがぴょこぴょこ揺れた。
「うん、紅夜会相手も楽になるかな」
「椿ちゃん、女の子用も可愛いよ~」
「私の分もあるっていう事は、もう任務に戻れるんですか!?」
「それは……俺も椿ちゃんが手伝ってくれたら、すっげー助かるんだけど……
でもなぁ……団長がなぁ」
「……1人だけ守られているなんて、嫌なんです」
桃純家の当主になったのも、戦うためだ。
その歯がゆさを麗音愛も感じていた。
「椿……」
「はーい! こっちの準備はできてるわ。 じゃあ玲央君はあっち、椿さんはこっちの部屋でね
多分ぴったりだと思うんだけど、何か違和感とかあれば係の人に伝えてね」
遮るように、佐野が現れ椿を連れて行く。
「兄さん、母さんいるの?」
「今、仮眠とってる。咲楽紫千家みんな過労死するぞ」
「俺もできるだけ、手伝うよ」
「人事配置も色々変わるかもしれないって
母さんの補佐も必要だよな、まぁ行ってこい……ん」
剣一が眉をひそめる。
「……兄さん……気配が……」
このビルはもちろん術的にも、機械的にも厳重な警備がされている。
警報はなっていない。
だが、これは……妖魔の気配だ。
妖魔だけではない……この張り詰めた空気……ナイトか……。
「兄さんは母さんのところへ!!」
麗音愛は、オフィスの玄関に走る。
もし此処で戦闘になれば、このビルだけではなく、このオフィス街がどれだけの大惨事になるか。
「お嬢ちゃん困るなぁ……」
オフィス玄関で警備員が、まったりと誰かと話している。
恐怖でも怯えでもない。
「いいから、団長を呼んで」
「君、お孫さんとか? 今は団長は休まれて連絡するなって言われてるし……いや
それより下のセキュリティどうやって……」
「カリン!!!」
初老の警備員が話していたのは、ゴシックロリィタのメイド服に身を包んだ幼女。
紅夜会のカリンだ。
麗音愛は呪怨を放ち警備員をカリンから離すと晒首千ノ刀を構える。
「……え、ダークネス?」
「なんの用だ!!」
「ん~~もう、事前情報と違うぅ! ルカめ!
私に何かしたら、この一帯どうにかなっちゃうのわかりますね」
カリンは拗ねたように膨れたが、すぐに上品な顔つきをつくる。
「お前の要件を言え」
「白夜団団長、咲楽紫千直美様とお話を……」
「なんだって……?」
「お土産もございます」
幼女はにっこりと、ランドセル程の大きさの風呂敷包みをにっこり麗音愛に見せる。
風呂敷包みがほどかれ、ハラリ落ちると
それはビニール袋に入れられた絡繰門家当主・絡繰門鐘山の生首だった。
いつもありがとうございます!
いよいよ第二部スタートです!!
またよろしくお願い致します(#^.^#)
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