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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第5章  君への想い、傷、絆、愛しさ

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コイバナ~後悔すんなよ~

 

「はーいお疲れ様、10分休憩よ」


「佐伯ヶ原先輩が、珍しいですね。稽古なんて」


 休みの土曜日、スポーツドリンクを佐伯ヶ原は飲み口を拭った。

 白夜団が稽古のために使用している体育館は

 一般人からは研究所として認知されている広い敷地内にある。


「まぁ、状況が状況だしな」


 そこに伊予奈監修のもと琴音、佐伯ヶ原の2人がトレーニングに参加していた。

 伊予奈の怪我は椿の力で、完全に治り

 以前よりも元気になったくらいだとすぐに復帰した。


 琴音はますます伊予奈にべったりになり、トレーニングも欠かさないという。

 ただ剣を使用した訓練はもちろん中止。

 新たに訓練の安全性や、防護服などの検討は進んでいる。


「同化継承のお祝い会の衣装、すっごいんですよ~

 大人気デザイナーのYUTAさんがぁドレス作ってくれる事になったんです

 ダンパのドレスもYUTAさんのにするんですよ」


「あぁ親の七光りでデザイナー気取りの、だっせぇやつな……」


「ちょっと佐伯ヶ原先輩!」


 何も気にしない様子で、また佐伯ヶ原はスポーツドリンクを飲む。


「お前……椿に何か言ったか……?」


 佐伯ヶ原の言葉に、琴音は一瞬動きを止めたが

 ぷっと吹き出す。


「もしかして、それ聞くためにトレーニングに?」


「状況を見て、だと言ったろう」


「……あぁ……重症ですね……」


「なんだって……?」


 佐伯ヶ原はジロリと琴音を睨むが、琴音は顔色は変えない。


「私が何か椿先輩に言ったのか? なんて御本人に聞いたらどうです」


「想像はつくけどな」


「じゃあ勝手に妄想していてくださいよ。

 あとは玲央先輩に聞いてみるとか?」


「団内で揉め事を起こす気か?

 椿は桃純家当主、お前が追放しようとしてもそんな事はまかり通らない」


「……そんな事していませんよ。

 私が追放……? まさかですよ。椿先輩は……自分で選んだんじゃないんですか?」


「……お前」


「佐伯ヶ原先輩も、団内では画家の威光なんて通用しませんよ

 私は実質、加正寺副当主になるんですから」


 伊予奈が、集合の掛け声をかけてきた。


「ふふ、佐伯ヶ原先輩は誰と踊るんですか?

 椿先輩? 玲央先輩?」


 佐伯ヶ原は、琴音の話には反応せず

 伊予奈の事も無視してタオルを持って体育館を出て行った。





「なぁなぁなぁーーー!!

 当日、1人の女子なんていっぱいいるよな?」


 同じ頃、今回はカッツーら友達に誘われた麗音愛は

 安いイタリアンレストランでドリンクを飲んでいた。


「どうだろうな」


「去年は諦め過ぎてたからな~今回は体育館だし……いるに決まってるよな!!

 俺を待つ壁の花ちゃんがよぉ!」


 去年ゲームをして過ごした西野と石田とカッツー。

 カッツーはフラフラ

 教室を抜け出しあっちこっち女子を探していたはずだが……思い出したくない過去は忘れてしまうようだ。


「俺の椿ちゅあんと俺は踊りたい!!

 あの、可愛いちっちゃ~い手に触れて……抱き寄せて……あぁ!」


「おい、椿が嫌がる事は絶対にするなよカッツー!」


 いつも椿に馴れ馴れしいカッツーには釘を刺しておかなければ

 と強めに言った。


「イトコンめが!!

 嫌がるかなんてわからんだろーが!! 当日のスーツ着た俺が好みになるやもしれん!!」


 確かに、女子のドレス姿だけではなく

 男子のスーツ姿もいつもと印象が変わり、そこで急にモテ出した男子もいる。

 椿がカッツーの横に嬉しそうにいる姿を想像し首を振った。


「なぁ玲央」


「ん?」


「俺さ~中学の時、好きだった女の子がいたんだけどさ」


「え、うん」


 いつもは恋話などしない石田の話に、麗音愛は少し驚く。


「ま、まさか石田テメェ!!」


 横槍を入れるカッツーを封じ、その先を聞く。


「いや、当たり前だけど失恋話だよ。

 告白しないでいたら、彼氏できちゃってさ」


「……そっか……」


「手、繋いで帰るの見てさ。すげーショックだった。

 もしかしたら、もしかしたらだよ?

 勇気出して告白していたら俺にもワンチャンあったかも

 なんて今でも思うんだよ」


 たはは、と石田は笑ってメロンソーダとコーラを混ぜたジュースを飲む。

 カッツーもさすがに静かになった。


「……まだ、その子が好きなのか?」


「いや~、うん、まぁな~俺に唯一話しかけてくれた良い子だったから……

 たまに朝見かけるんだ」


「じゃあ今からでも……」


「毎朝、彼氏と手を繋いでるんだよ」


「ぐ……」


「辛いぜぇ! なんてなハハハ……まぁ誰かのものになっちまったら、後悔するしかないんだよな」


「……俺も告白しようかな~!!」


 そう言ったのは西野だ。


「図書部長に当たって砕けるかな!!」


 ドキリと麗音愛はしてしまう。

 当然、図書部長とは美子の事だ。


「なんだよ! お前やっぱ本気で美子ちゃんが好きなんかよ!!」


「いやーだって美人だし優しいしさ、好きにならないやついるか?

 玲央が羨ましいぜ!」


 そう言われて、つい息が詰まってしまった。

 慌てて誤魔化す。


「ゲホッ……いや、なんか、みんなも、恋とかしてるんだな」


「当たり前だろ」


「だからさ、玲央も……」


「ん?」


「……後悔すんなよ」


 やけに重く言われ、その後は軽く肩を叩かれた。





「後悔するなよ……か」


 皆とはレストランの後カラオケをして別れ、麗音愛はモールの本屋を寄って帰ろうと

 1人歩いていた。

 カラオケで石田と西野が珍しくラブソングなんか歌っていたが、CD屋からも同じ曲が流れてくる。

 冬、これからクリスマスもある。


 つい、椿の事を考えてしまう。

 どんな冬を一緒に過ごせるのか……。


 親友でいられたら1番の友人として今まで通り

 笑って話ができる。

 この前のように楽しい時間が永遠に続く。


 そこを踏み越えるのは、椿に『親友』を望む椿への裏切りにも思えた。

 信頼し合っているバディのような関係だと思っている。

 そこに男女の恋を、恋愛感情を打ち明けたら……『親友』の関係も終わってしまったら……。

 関係が変わってしまうのが本当に恐ろしい……。


 自分にとって、椿は初めて心を通わせる事ができた人なのだ。

 だけど日に日に、恋心が募っていくのもわかっていた。


 こうやって、いつも椿の事を考えてしまう事も自覚した。


「え……椿……?」


 モールの長い廊下の先に、椿がいる。

 その隣には、絡繰門雪春(からくもんゆきはる)


 人影に見え隠れするが、いつものように笑顔だ。

 雪春も、白夜団では見せないような笑顔。


 はたから見れば、兄妹……いや、恋人だ。


 ぎゅっと胸が痛む。

 椿が誰かを選んだ時にも、それでも傍にいたい。

 そう思っていても、胸の痛みと嫉妬が乱れ混じる。


 どこか、高校の奴らなど椿は相手にしないと思っていたのかもしれない。

 でも雪春は違う。

 ずっと雪春に感じてきた感情だ。


 そこは自分の居場所だ。

 ――誰にも、渡したくない――。


 はっきりそう、形のように自分の想いを感じた。



いつもありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 行け! 行くんだ麗音愛!٩( ᐛ )و 自覚したその時に! その勢いで! こちらは双方の気持ちを知っているからそう言えるけれど、本人たちは一か八かの賭けではありますよね。 そして、雪春の存…
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