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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第5章  君への想い、傷、絆、愛しさ

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解放!無力なままで


 衝撃と共に

 2人は崩れ落ちるように病院の床へ着地した。


 かろうじて麗音愛は転ばずにいたが

 雪春はエスカレーター前で転倒するのが見える。


 わっと周囲の人が驚いた瞬間

 麗音愛がすぐに声をかけ雪春を抱き上げた。

 しかし、その麗音愛も学ランはボロボロだ。


 呪いの効果か、悲鳴をあげる人はおらず

 抱えたまま近くの男子トイレに身を隠した。


 ありがたい事に誰もいない。

 人が入ってこれないように、呪怨で結界を張る。


 紗妃の気配も、摩美の気配もない。

 去ったのか――。


「玲央君……今回の件……!」


 その言葉に麗音愛は雪春を睨みつける。

 雪春も雪春で部長らしく、今回の騒動について言及するような強い言い方だ。


「……今回のことでなにか?」


「君は何故病院に来たんだい……」


「あなたこそ……俺は妖魔に、

 紅夜会に、殺された少女の怨念の声を聞いたから此処に来たんです」


「……場所を怨念が教えてくれたと?」


「はい」


 半分は嘘だが罪悪感など感じない。


 麗音愛の身体から煙があがり無数の傷が治っていく。

 雪春もかすり傷で大怪我はしていないようだ。


「……君が僕に対して不信感を抱いているのはわかっているよ

 でも今回は……君は学校もあるし」


「俺が来たせいで、紅夜会が来たと?」 


「そうとは言わないよ」


「雪春さんは診察で来たと言ってましたが」


「あぁ……まぁ信用してもらえないのも理解できる。

 どうしようね今回は……。騒ぎにはなってはいないが」


「学校に戻ります」


「……玲央君、抜け出して来たのかい」


「報告したいのなら、いくらでも」


「そう思っているようには……見えないね

 報告はしないでおくよ。君に助けられた、命の恩人だ」


 雪春は細く長い首を撫でる。

 締められた痣が内出血で赤く痕になっていた。


「そういえば、荷物は……」


 雪春の手にはアタッシュケースはない。


「あぁ……とられてしまったようだね。意識してかはわからないが。

 でも老人達への報告書類だけだから、大丈夫。財布と携帯は助かった」


 はは……と微笑む雪春は

 いつもの優しげで誰でも好印象を持ってしまう穏やかなオーラだ。


 麗音愛も殺気立っていた気持ちが一段下がるのを感じる。

 しかしどうしても信用はできない。


「じゃあ、行きます」


「玲央君」


「はい?」


「……実は、この病院と紅夜会との繋がりが疑われていてね……」


 麗音愛の眉がピクリ動く。

 機密を打ち明けた……。


「そうだったんですか

 報告がくるはずだったんですね。俺が先走って……」


「いや、機密事項だ。

 本来なら君にもね」


「では何故……」


「信用しているからだよ、信用されていなくても僕は信用している」


「ではやはり調査で?」


「診察かな。さすがに僕1人で調査に乗り込みはしないよ。

 持病があってね。ここに昔から通ってるんだ」


「そうですか

 機密は守りますので」


「どうか1人で無理はしないでくれ

 学ラン……新しいのを届けさせるよ。団長には内緒でね」


「助かります」


「椿さんを頼むよ」


「……言われなくとも」


「そうだね」


「失礼します、気をつけてお帰りください」


「あぁ、君も」


 麗音愛は足早に病院を出て飛び立つ。


 雪春は、自分を信用し機密を話したのか――。

 雪春と紅夜会2人との偶然の遭遇と戦闘……。

 焦りすぎたか……

 しかしどうしても、あの男は信じることはできない。

 1人での調査は続けていく。


 摩美のあの明橙夜明集の1つと思われる武器の所持も……。

 何故、明橙夜明集が奪われていくのか。 


 そして紗妃のおぞましい復活。

 再生を続ける化け物……。

 もしや、あの病院で……復活した??


『きっもちわる~いって

 罰姫も心の中じゃ思ってるに決まってる!!

 あははははは!!』


 頭に響く、紗妃の言葉。

 実際に、自分も同じような化け物だ。


『晒首千ノ刀はかっこいい!』


 そして

 あの露天風呂で、椿が言ってくれた言葉。

 それが

 心を救ってくれる――。


 今日の一件は、雪春も報告はしないと言っていた。

 紗妃にはまた、対峙する時がくるだろう。

 首を落としても死んだ気配はなかった。


 それならば次は微塵になるまで斬り刻む。

 できれば椿には知らせたくない。

 傷つく事など、動揺する事など、何一つ知らずに笑っていてほしい。

  

 無性に会いたくなる、何もできない無力なままで。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪春さんは怪しいけど、何もそこまで敵意を持たなくてもなぁ と思ってしまうのでした 紗妃ちゃんはもう全く後戻りできないとこまでいっちゃったなぁ(´・ω・`) 首飛んだけどまた来るんだろうな…
[一言] う〜〜〜ん……雪春さん、やっぱりなんかある気がする。 信用してるというのも、紅夜会にとって大事な椿を麗音愛が絶対に守るのがわかっているからで…… う〜ん、尚更わからなくなってきた。
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