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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第5章  君への想い、傷、絆、愛しさ

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雪春の看病

 

 月曜日の朝。 


「椿、じゃあ行ってくるね」


「うん、いってらっしゃい……寝不足大丈夫? ごめんね……」


「全然、平気だよ。何かあったらすぐメールして」


 学校に行く支度をした後

 麗音愛はまた椿の顔を見に来た。

 ベッドでまだ熱のある椿は、もふもふ君を抱きしめながら寂しそうな顔をする。


「何かあったら、すぐ帰ってくるよ」


「……うん……。

 あ、だ、大丈夫だよ。学校楽しんできてね」


「うん、じゃあ行ってきます」


「いってらっしゃい」


「……行ってきます」


「いってらっしゃい……」


 後ろ髪引かれる思いだが、椿の部屋を出ると

 リビングに梨里と龍之介がいた。


「玲央っぴ、おはよ。姫の様子は?」


「まだ、熱がある……」


 つい、殺気立って龍之介を見ると麗音愛は驚いた。

 左の頬がかなり腫れている。目の周りも内出血しているようだ。


「あたしが、ぶん殴っておいた」


「……そんな事をしても

 椿の熱が下るわけじゃないし、龍之介

 お前もう椿に……」


 そう言いかけて、梨里に言われた事を思い出してしまう。

 そこまで言う資格はないのか。


「今度、こういう事があったら俺は許さない」


「バカ龍も反省してるしぃ~」


「余計な事、言うんじゃねーよ!!

 椿には謝るが……」


「静かにしろ、椿が気にする」


 此処で話していても声が大きくなる。

 麗音愛は話す気にもなれなかったので、背を向けて家を出た。

 今まで対人関係を穏やかにしか生きてこなかったので

 麗音愛自身も最近の自分の行動が正しいのかわからなかった。


 それでも穏やかではいられない感情も知ってしまって

 もう元には、戻れない。




 リビングで少し騒がしい声が聞こえたと思ったが

 すぐに静かになり

 椿は寂しさでまた胸がいっぱいになる。


 まだ熱も高く、頭がぼーっとするなか

 麗音愛の手の温かさを思い出し

 もふもふ君を抱きしめた。


 少しうとうと椿がし始めた頃

 ノックの音。


「椿さん、調査部の絡繰門(からくもん)です」


「はい、どうぞ」


「どうかな、調子は

 白夜団専属のお医者様をお連れしたから……

 あぁ寝ていてください」


 雪春の後ろから、若い女医が入ってきた。


「こんにちは、熱が高そうですね

 少し検査もしましょうか」


「お願いします……」


 色々と検査もしたが、全て陰性で

 風邪だろうという結果。

 一般的な薬が処方された。


「それではお大事に」


「はい、ありがとうございます」


 御礼を言うと、女医だけが部屋から出ていった。


「さ、玲央君が帰ってくるまでは

 僕が傍にいるから心配はいらないよ」


「えっ……そ、そんなお忙しいのに」


「1人にはできないよ。

 本部の許可はとってあるから大丈夫。

 事務仕事なら、此処でもできるしね

 僕の特製スープ食べてみないかい……?」


「雪春さんのお料理……」


「今、不安そうな顔したね、ふふ」


「え! いえ……ふふ」


 2人で顔を見合わせ少し笑う。


「はは……食べて薬を飲めば、すぐよくなるよ。心配いらない」


「はい……」


 雪春が持参したスープの用意をしている間

 携帯電話を見ると、麗音愛からメールがきていた。


 すぐに返信する。


 まだ熱でしんどく、ぼんやりはするが

 それでも頬がにやけてしまう。


 そして、涙が溢れてきた……。


「あれ……」


 初めてのしんどい熱で、弱っているのだろうか

 色々な夢も見て

 麗音愛が傍にいてくれて、暖かった。

 そして、今の寂しさ。

 龍之介の言葉も思い出して

 またポロポロと涙が溢れてくる。


 屋敷にいた時は、いつも堪えていた涙が

 最近すぐ滲んできてしまう。


「……お待たせしたね……」


 ノックされ、慌てても身体が動かず

 涙が流れている顔を見られてしまった。


「しんどいかい……?」


「あ……いえ……」


 椿が涙を手で拭うのを雪春は見つめながら

 それ以上は何も聞かなかった。


 起き上がって自分で温かいスープを飲む。


「……美味しい……」


 鼻があまり利かなくとも

 じんわりと身体に沁み込んでいくようだ。


「ふふ、料理は好きでね。よく作るんだ」


 絡繰門家の御曹司が料理が好きとは、意外だったが

 その他にも椿の身の回りをテキパキと世話をしてれた。


「さぁ、薬を飲んで少し眠った方がいいよ」


「はい……」


 久しぶりに食事をして、薬も飲んだからか

 椿はすぐに眠りの世界に入っていった。





「……ん……」


 ぐっすりと眠っていたが、ふと気配がして起きた。

 雪春がベッドの脇にいて、目が合うと微笑んだ。


「あ、起こしてしまったかい、ごめんよ。

 布団が落ちていたからね」


「……すみません……」


 汗をびっしょりかいていた。

 が、辛い熱っぽさと倦怠感はかなり良くなっている。


「まず水分を摂って着替えた方がいいね

 タオルを用意しよう、もってきた物があるから蒸しタオルを作るよ」


「色々と、ありがとうございます」


 楽に起き上がれて、スポーツドリンクを一気に飲み干す。

 クローゼットの前に麗音愛のスウェットが丸まって置いてあった。

 その中に自分の下着がチラリと見えて、慌てて畳み

 クローゼットに放り込んだ。


「あ……私……」


 麗音愛には

 此処まで抱き上げて運んでもらったり

 赤ん坊のようにアイスをあ~んしてもらったり

 ずっと手を繋がせたり……

 そんな記憶が一気に蘇る。


「どうしよう、どうしよう」


 正気になった頭で考えると一気に恥ずかしさが襲ってくる。


「大丈夫かい?

 はい、蒸しタオル」


「あっ、はい」


「顔がまた赤いね……」


「だ、大丈夫です!!」


「元気はあるみたいだね、じゃあ僕は

 夕飯の買い出しをしてくるから。着替えて寝ていて」


「え、夕飯……」


「まだまだ消化の良いものを食べた方がいい

 あと椿さんにお話があるんだ」


「……お話……」


「うん、もう少し落ち着いて夕飯の時にでも……」


「それなら……お話、今聞いていいですか?」


 出て行こうとした雪春を椿が引き留めた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 雪春さん、君が出てくると、何かやるんじゃないかとついつい構えてしまうのは、君の素行や考えが問題あるからだと思う! そこ、ちゃんと考えて行動した方が良いぞ雪春さん! 何かね〜君は信用できない…
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