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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第5章  君への想い、傷、絆、愛しさ

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琴音・曖昧な関係

 

 麗音愛は、琴音と2人でカフェに来ていた。

 寒い風に冷やされた身体が

 店内の温かさでゆるむが、琴音の目の前に座るとまた緊張する。


 オシャレなカフェなんてわからなかったので

 前に美子と一緒に来たカフェにしたのだが

 同じ高校の生徒もやはりいて、琴音は注目されている。


「ここ、来てみたかったんです」


 人気のラテアートのカフェラテとパンケーキを頼む琴音。

 麗音愛は、ブラックコーヒーだけを頼んだ。


 話す内容は決まっていたし、長居はしたくない。


 そう思っているが、琴音の転校苦労話も終わらない。


 でも、急に転校してきた彼女の大変さも

 わかるので、つい色々アドバイスしてしまった。

 麗音愛がやっと話を切り出そうとした時、ふっと琴音の瞳が変わる。


「玲央先輩……病院の話知ってます?」


「病院……?」


「隣の隣の市の病院の話です。

 白夜団が今、調べているようなんですけど……」


 白夜団の名が出て、緊張した空気になる。


「どうして?」


「何か実験をしているようなんですよね。紅夜会って……

 それでその病院に出入りしているかもって」


 脳内に映る、椿との初仕事で見た廃屋の実験室。


「それを白夜も調べていると?」


「えぇ……椿さんと何か関係があるんでしょうか。

 雪春部長が、色々と調べているようで……」


 あの日、実験室を見て取り乱した椿。

 その後にルカに呼び出され、血液を大量に奪われた。

 たまに自分の血がなにか悪用されるのではないかと椿は不安そうに話すのだ。


 そして、雪春――。


「それって廃病院?」


「いいえ、大きな私立病院です。

 紅夜会は色々な組織と絡んでいるようですね。

 もし、その事が本当ならそこに実験施設なんかあったりなんて……」


 頭の芯が燃えるように、殺気が湧いた。

 そんなものは根絶やしにしなければならない。


「……どうして、加正寺さんがその事を?

 俺のところには何も知らされていない」


「極秘事項ですから。

 剣一部長もご存知ないと思いますよ」


 キャーと可愛いラテアートを見て喜ぶ女子高生の悲鳴があがる。


「じゃあ、何故知っているの?」


「私が、黄蝶霞(きちょうろ)を持つ事になったので

 本家がお喜びになったんですよね。

 よく奪い返した……って。本家のものなんかじゃないんですけどね」


 琴音が、小馬鹿にしたように笑い

 もう崩れきったラテアートの残骸に口をつけた。


「……それでこの前呼ばれて

 当主からお褒めいただいて、ご機嫌で酔いが回っているようなので

 情報をねだってみたんですよ。

 そしたら、この話を教えてくれました」


「加正寺当主から……」


 琴音の表情は小馬鹿にしたようなまま変わらない。

 椿を前にして、触れようとした老人の1人だ。

 きっと琴音の事もあのような目で舐め回すように見たに違いない。


「大丈夫だったの……?

 どこから出た情報かはわかったけど、何故加正寺さんが

 そんな事を?」


 ジッと見つめられ、ドキリではくギクリとしてしまった。


「雪春部長って何か~妖しいですよね??」


「う、うん……俺もそれは思ってる」


「だから色々気になって……

 これって先輩の役に立ちますか?」


「それは……もちろん」


 麗音愛自身も、白夜団にとっては

 ただの1つの駒だという事はわかっていた。

 修行旅行で武十見や伊予奈など頼れる大人がいる事は

 理解できたが白夜団自体を信用はしていない。


 自分の願いは

 椿を紅夜の呪縛から解放する事――。


 雪春もそうだが、できるだけ団の動きは知っておきたい。


「うふふ、良かった

 これからも私がいるから大丈夫ですよ」


 ものすごくニッコリと可愛い笑顔で琴音は微笑んだ。

 2人が何を話しているのか知りようもない男子生徒が

 見とれて、目の前の恋人に怒られている。


「……でも、こんな事をして

 もし俺に情報を流しているのがバレているのが知られたら」


「大丈夫ですよ。ただ安全のために

 知っているのは玲央先輩だけにしてもらいたいのです……」


 確かに、それはそうだ。


「……わかった」


 椿の今までの涙を思い出すと、椿にも教えない方がいいような気がした。


「あと、情報を渡す見返りに」


「ん」


「この前の告白の返事はしないでもらえますか?」


「……え」


「何も言わないでほしいんです。

 でも、先輩の気持ちはわかっているつもりです」


「それなら」


「でも曖昧がいいんです。

 はっきりしないまま、そうしていてほしいんです。

 それが一番、お互いにとってもいいし……今の私の願いです」


 はっきりと伝えたいと思っていたが

 安堵した気持ちもある。

 自惚れだったが、見返りに交際を迫られる……なんて事も

 頭を過ぎった。

 それに比べれば、何も大した事はない気がする。


「そんな事で……?」


「はい、曖昧ってよくないですか?

 先輩と椿さんも、ですよね」


 自分と椿は……


「……親友だよ」


 何度そう答えたか、いつもと同じように麗音愛は言った。




 琴音と別れ、すっかり暗くなった夜道を歩く。

 たまにはコーヒーでも御馳走してくれとも言われてしまったが

 それでも安いものだろうか、

 加正寺の変態老人には気をつけて絶対に無理はしない事と約束もした。

 それを伝えた時、琴音は嬉しそうに微笑んで頷いた。


 私立病院……。


 いつも奇襲を受けたり、攻撃されてばかりだ。

 白夜団は対処法しかしない。

 それにも麗音愛としては、不満があった。

 

 白夜団にも隠れて、自分の方から動いてみるか……。

 考えながら少し歩くと

 目の前の交差点に見慣れたハーフツインの少女の姿。


「麗音愛!」


 先程帰るところだとメールが来て途中で待ち合わせをした。

 夜道に花が咲くような笑顔。


「買い物してきたの?」


「うん、みんなでね、ダンパでつける髪飾り

 選ぶのに盛り上がっちゃって……」


「いいね」


「ん~……断れなくて」


 どう言えばいいのか少し迷う。

 椿はダンパには乗り気でない。

 そのまま一緒にサボっちゃおうか?……とか。


 そんな陰キャの自分と同じような運命に巻き込んではいけないと

 麗音愛は冷たい夜の空気を吸い込んだ。


 男女交際だけじゃなく、楽しい事は沢山ある。

 自分も男友達となんだかんだ楽しくやってきた。


 そういう機会を閉ざしてほしくない。


「ダンパもきっと楽しいよ」


「そうなの?」


「うん、去年もカッツー笑えてさ。だから楽しみに、さ」


「……うん、どんな事あったの?」


「俺ら男だけで、ダンパ出たんだけど

 途中でカッツーが発狂してさ」


「うんうん!」


 麗音愛が吹き出すと、椿も興味津々で目が輝き出した。

 暗い夜なのに、2人で笑いながら歩く。

 




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― 新着の感想 ―
[良い点] 報われない恋を心に秘めつつ交わされる男女の心理的駆け引きが色っぽい!(*'▽')キャピピ ダンパなんて私は一生縁がねぇです(*'▽') [一言] 琴音ちゃんは賢くてええ子や~(*'▽')(…
[一言] 戸森さんは、美子の表現の時にも感じた事だけど、同性から嫌われそうな女子を描くのが上手い! この琴音のとことんズルい感じとか、本当に上手いと思う。 自分が一番になりたい女の子、好きな人には思う…
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