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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第4章 強さを求める先に

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修旅~原点の想い・抱き合う2人~

 

 夕食後、コテージを抜けて

 特訓に出た麗音愛に椿も一緒に付いてきた。


 また、訓練の時と同じ場所に座る。


 呪怨をギリギリまで細く

 龍之介の針留結界のようにはなんとか1本

 数秒だけ形にする事はできた。


 だが脆く、すぐに消えてしまう。


 それだけ呪怨の力が強大だと武十見は言うし自覚はしているが

 自分でも統制できる力が欲しい。


 椿の前でなら

 一層頑張れるかと思ったが

 なかなかうまくはいかずに、時だけが過ぎていく。


 呪怨を発動させるのは、それだけで精神力も体力も削られていく。

 麗音愛はガクリと手をついた。


「麗音愛っ!」


 龍之介が座っていた位置で炎の結界の練習をしていた椿が駆け寄った。


「大丈夫……」


 はぁ~っとそのまま後ろに倒れ込む。


 心配そうに覗き込んできた椿の顔が見える。

 こんな時なのに

 またドクンと心臓が鳴った。


 今までも可愛いと思っていたのに

 恋心を自覚してからは一層可愛く見えて、心が乱れてしまう。


 そんな気持ちも抑えなければ……。


「麗音愛、闘いごっこしようか?」


「え?」


「あは、気晴らしになるかなと思って」


 にこっと椿が笑う。


「……うん、したい」


「うん! しよう!!」


 鍛錬の時にはいつもする、闘いごっこ。

 最近は忙しいし色々あってできていなかった。


 こんな自分より身体の小さな女の子相手にという感じだが

 もちろん全部寸止めだし

 椿相手に手を抜いたら自分が負けてしまう。


「じゃあ! いくよ!」


 嬉しそうに椿が拳を繰り出し、すかさず回し蹴りも披露してきたので

 麗音愛も対抗する。


「負けるか!」




 しばらくの攻防のあと

 準備運動は終わったとばかりに、椿は緋那鳥を具現化させた。

 ニヤリと笑う椿。


 普段の鍛錬場所の屋上では、武器でのごっこはさすがにできない。


「この刀が欲しいのか?」


 麗音愛もイタズラっぽく笑って晒首千ノ刀を具現化し構える。


「んー! もう!」


 ふふっと2人笑い合って、形だけの剣稽古も始まった。


「たぁっ!」


 椿の切れのある動きは初めてのあの出逢いから一層速くなった。

 それは自分も同じだ。

 呪怨を使わずとも、この晒首千ノ刀を振るう力は強くなっている。


 色々と変化していく。


 強さも、自分の心も――。



 あの日のボロ布男の正体は椿だった。

 そして協力し合う事になり

 晒首千ノ刀との同化。

 紅夜との死闘。

 帰還。

 

 緋那鳥と剣がかち合う度に綺麗な炎があがり

 晒首千ノ刀からは黒い濁った霧があがる。


 何か感じる

 掴めそうな気がする。


 制して留めて、小さく細く……そうじゃない。


 激しく、強く、洗練し、尖る


 自分の生き様を呪怨に見せつけるように……!!!


 あの日に

 この晒首千ノ刀を抜刀した、あの時の気持ちだ――!!!


 心を殺しているだけでは

 手に入らない強さ


 激しく――!!

 そして強く願う――!!



 俺は守りたい――!!



 一気に

 ぶわっ!!と呪怨の制御が効かなくなり麗音愛の身体に

 呪怨が襲いかかる……!!


「麗音愛っ!?」


 椿は怯えることなく、麗音愛に手を伸ばす。

 呪怨は椿にも牙を向き食いちぎろうとする!!


 が、瞬間に一斉に針状に変化し地面に突き刺さっていく呪怨。


「麗音愛……」


 手を伸ばしたまま、バランスを崩した椿を抱きとめた。

 そのまま後ろに2人でひっくり返る。


 2人の周りには無数の針が刺さったままだ。


「やった……!!」


「麗音愛!」


「やった!! できたぞ!!」


 麗音愛は嬉しさで椿を抱きしめる。


「やったーー!!」


「麗音愛!! やったぁ!!!」


 麗音愛の久しぶりの笑顔に

 椿も笑顔で麗音愛を抱きしめた。


「やった! やった!!」


「やったぁ! やったね!」


「うん、ごめん 本当にあの時はごめんね」


 ぎゅうっと力が籠もる温かい腕。


「何も、何もだよ。麗音愛は何も悪くない」


 椿もぎゅっと麗音愛を抱きしめる。

 

 あの日、自分が

 麗音愛の元に行かなければ、何も知らない高校生でいられたかもしれない。

 椿は椿で巻き込んだ罪の意識があった。

 それを一度も責められた事はない。


「俺もっともっと頑張る……

 って! ごめん」


 バッと麗音愛が慌てて椿から離れた。

 それと同時に呪怨の針も消え、

 ひゅっと消える温もりに、椿も目が冷めたように頬が熱くなる。


「ぜ、全然だよっ」


「も、もう少し練習しようかな」


「うん!」


 照れ隠しに離れたけれど、脈打つ心臓。

 

 もちろん、晒首千ノ刀と同化する前のように

 無邪気に感情のままにはいられない。

 統制するには、冷静に心を殺すのは必須だ。


 でも、それでも今回掴めた感覚。

 

 無理矢理に抑え込むのではなく、流れるままに。

 

 大切なものを傷つけない、守りたい想いを強く洗練させる!!

 

 「もう一回! じゃあ行くよ麗音愛! 刺してみて!」


 「おう!」


 椿の出した炎に、麗音愛の呪怨針は刺さり

 炎は綺麗に輝き散った。

 


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― 新着の感想 ―
[良い点] やったー!!な麗音愛かわいいなぁ( *´艸`) きゃっきゃじゃれあう二人かわいい… 呪怨まみれなのに癒されるぅ…♡
[一言] やっぱり、麗音愛には椿が絶対的に必要なのだ。 彼の元には必ず椿が居る♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
[良い点] 麗音愛君の修行情景がわかりやすく描写されています [一言] 成長を遂げた麗音愛君の更なる活躍と椿ちゃんとの恋、楽しみにしております(*'▽')
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