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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第4章 強さを求める先に

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仲間だね!



 聴取は終わる頃になって剣一が会議室に戻ってきた。


「あれ! 聴取終わったかー! 悪いな」


「兄さん、うん。終わった」


「あー腹減った。うん、じゃあ気をつけて帰れよ」


「いいの?」


「雪春さん、いいですよねぇ?」


 雪春が頷いた。


 どこかホッとする麗音愛。

 自分の所属する組織だが、白夜団は別に好きなわけではない。


「あの、訓練お願いします」


「あぁ、任せておけ!」


 武十見(たけとみ)がドン! と胸を叩く。


「剣一! お前もしごいてやるからな!」


「はっ!? イヤですよ、俺絶対絶対絶~対行きたくない! 行かないっす!」


「なにぃい!?」


 言い合う2人を横目で見て

 麗音愛と椿は会議室を出ようとしたが

 雪春が一言言った。


「あ、加正寺琴音(かしょうじことね)さんは情報部に入ったよ」


「……そうですか」


 入らない事にはしなかったのか、と思ったが

 情報部ならば戦闘に加わる事はないだろう。


 琴音の名を聞いて、椿は麗音愛を見たが

 麗音愛は何も言わない。


 いつも通り、本部に来る時はお互いにスーツ姿で

 その横顔をつい見つめてしまう。


 エレベーターを降りてビルを出ても無言な椿に

 麗音愛が気付く。


「どうかした?」


「あ、ううん。琴音さんやっぱり入団はしたんだね」


「あぁ情報部で良かった」


 そう言った椿の携帯電話のバイブレーションが響いた。


「電話……川見先輩だ」


「えっ」


「ちょっと出るね」


 麗音愛に背を向けて、電話に出る椿。

 あれから登下校も一緒にするように戻ったし

 椿がサッカー部で練習する事もなく

 てっきり川見との交流はなくなっていたと思い込んでいたが……。


 急な事で、変に動揺してしまう。


「お待たせ、ごめんね」


「いや、どうしたって?」


「うん、サッカーの試合観に来ない? って。

 それか夜に出掛けないって……」


「そ、そう」


「断った……けど、来週

 一度くらい朝練に混ざらせてもらおうかなって」


「あ、うん。いいんじゃないかな」


 マンション前で椿に告白をした声を聞いた。

 今まで、自分を好きだという男は警戒して避ける傾向にあったのに。

 やはり川見に少なからず好意を……抱いているのだろうか。


「麗音愛も、朝練一緒にどう?」


「俺? 俺は……別にいいよ」


 学園一のイケメンスターと椿が一緒にいる場面なんて見たくない。

 小さい男だと自分でも思うが……。

 事実だ。


「そうだよね」


 残念そうに、椿は笑う。


 まだ昼過ぎ。

 このまま、気晴らしにどこかへ、映画でも誘ってみたり

 なんて考えていたが

 椿の事を女の子として好きだと気付いて……

 何も変わってはいないのに、確実に変化していく。


「麗音愛……?」


 親友、だけど

 好きな女の子を誘うのは

 緊張してしまう。


 今まで、何も思わずに誘っていたのに

 親友なのに、親友だけど、好きな子だから。


 でも、後悔しない生き方をしたい。

 死ぬ気なんてないけれど、何がいつ壊れるかわからない道に

 立っている自覚はある。


 2人の間に風が吹いて、椿と麗音愛の髪が揺れた。

 冷たい風が吹いても、心は寒くない。

 

「これから、映画に行かない?」


 椿はきょとんとした顔をした。

 驚いたのだろうか。


「うん……行く!!」


 でもすぐに、いっぱいの笑顔になった。


「あのねっ私も、誘おうと思ってたの」


 幸せなのに、ズキリと疼く心。

 どうか、この想いが気付かれませんように――。




 数日後の放課後

 佐伯ヶ原の美術部のアトリエ。

 デッサンの音が響く。


「ふ~ん、で仲直りできた……と」


 言い合いをして、少し距離があった2人だったが

 椿がチョコレートのパウンドケーキを持ってアトリエを訪ね

 佐伯ヶ原は無言で椿を部屋に入れた。


 そこで、またいつものようにデッサンをしながら

 椿が事の顛末を語ったのだった。


「うん」


 笑って佐伯ヶ原を見ると、動くなと怒られる。


「それでね……」


「あぁ」


「私、あのね……」


「なんだ」


「きっと……麗音愛の事が好きなんだと思う……」


 鉛筆の先が引っかかって、床にトーンと落ちた。


「お前……」


「大丈夫? えへへ、誰にも言わないでね」


「い、言うかよ。……サラには言ったのか?」


「ま、まさかだよー!! 絶対に言わないよ……言えないし……

 麗音愛に迷惑……これ以上かけられない……」


「おま、バッカ! サラは……!


 ……あ、まぁそこまで俺がすることもない……か」


 最後はボソボソと呟く佐伯ヶ原。


「んー?」


「なんでもねぇよ! ったく俺だって……」


 ぶつぶつと座ったまま手を伸ばし鉛筆を拾う。

 先は折れていなかったので

 そのまま椿に『前、向け』と言ってデッサンをまた始めた。


「もしかして、佐伯ヶ原君も麗音愛の事好き?」


 ブスッと鉛筆がスケッチブックに刺さり

 バキッと先が折れた。


「なっ!! お前そういう事!」


「やっぱり! そうなんだね!!」


「……っ!!」


 殴られる前のように佐伯ヶ原は、一瞬怯えた顔をする。


「じゃあ仲間だね!」


「!」


 椿は嬉しそうに、笑う。


 佐伯ヶ原は呆気にとられて、ポカンとした。

 芸術として、美しい存在としてだけではなく

 それ以上の感情を見抜かれてどんな事を言われるのか

 恐ろしいと思っている事に、改めて気付いた。


 それからの、この笑顔。


「こ、この子猿!!」


 椿が持ってきたパウンドケーキを

 むしゃむしゃと食べ始める佐伯ヶ原。


「な、なぁに!? 急に!!

 あー! それ1人で食べちゃダメ! 一緒にって!」


「うるせー!

 こんなんじゃ足りねーよ!」


「あぁ~!! ずるい!!」


「うるせー! 」


 きゃあきゃあと2人の言い合う

 どこか楽しそうな声。

 コーヒーとココアの香りが混ざり合い

 良い香りがアトリエいっぱいに広がった。




いつもありがとうございます!

 

今回は少し日常回でした。

佐伯ヶ原が好きというお声を頂き、嬉しい戸森です。


皆様のブクマ、評価☆、感想、レビューが

とても励みになっております!

お気軽に頂けたらと思います。


これからも読んで頂けると嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
[一言] 椿の中での麗音愛は大好きな人だけど、まだ小中学生が思うような好きなのだなと……(*´ー`*) 佐伯ヶ原は……まぁ、いいか……( ̄▽ ̄;) でも結構こいつ好きだわ〜
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