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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第3章 秋風染まる心

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バラバラデート当日!

 

 デート当日の土曜日

 るんるんで髪をセットする剣一の横を

 気怠そうに麗音愛が通る。


「玲央、なんだよ辛気臭い顔すんなよ」


「俺、昨日塾の時

 また緊急呼び出しで任務してきたんだよ……」


「ん?」


「俺の管理、兄さんがやってるんだろ?

 嫌がらせかよって……12時過ぎまでやって……」


 はぁ~と苛立ちが溜息からもこぼれてしまう。


「俺は知らん」


「え?」


「……まぁ、働くってそういう事もあるさ

 んで、今日の俺どう? 今日のデートのために

 美容室行ってきたんだよね~」


 ポーズをとる剣一を無視してリビングでコーヒーを淹れる。


「玲央おはよう、今日デートなんだって?」


 父の雄剣もパソコンを打ちながらコーヒーを片手に玲央に話しかけた。


「おはよう。デートじゃない……」


「剣一は椿ちゃんとお出かけだってな」


「父さん、そこはデートだろう!!

 俺すっげー楽しみぃ~」


 上着を羽織って、鏡を見て

 ソファに座ると剣一は携帯電話をチェックし始める。


「兄さんさ……」


 椿は川見先輩と、と言いかけてやめた。

『2人は付き合っているかも』と口に出したくなかった。


「今日の夜、川見って後輩に誘われてんだよね

 椿ちゃんも連れてこいって。合コンかな?」


「え!?」


「ま、椿ちゃんが行くーって言ったら夜も出かけるから

 じいちゃん勝手に夕飯食って?」


「あぁもちろんだ、

 いいのう若いもんは。 

 玲央君はお小遣いはあるのか? 

 デートなんだから全部男が払ってやらんと……」


「じいちゃん古いな~、そういうのも相手を見てだな……

 てか、お前まだ何の用意もしてないけど……」


「1時間あればできるよ、ていうか合コンって」


 その時、玄関のチャイムが鳴る。


「あ、椿ちゃんだ!」


「えっ」


「どれ、私も挨拶しようかな。最近顔を見てなかったから」


「じいちゃんも椿ちゃんに挨拶するぞ~~椿ちゃ~~ん」


 ドタドタと男どもが玄関に行く。

 麗音愛もつい、玄関が見える廊下に出てしまう。


「あ、おはようございます」


 玄関の前にちょこんと椿が立っていた。



 椿はパンツスタイルばかりだが

 剣一達の背中から少し見える今日の姿は

 髪の先が丸まっていたり

 小物やデニムの裾をロールアップにしたりと

 可愛くおしゃれをしている。

 それだけでいつもと全然違って見える。


「おしゃれして可愛いね、椿ちゃん元気だったかい?」


「はい、おじさま、

 あのお友達に雑誌を借りて……勉強しました。

 この耳飾りは、お友達とおそろいで300円で……

 この髪は器具をつけて寝るとクルッとこんな風になるんです。

 100円で買えて

 支給されたお小遣いで買いました。

 あとこの鞄はセールというもので1980円で買いました」


 ひとつひとつ見せながら報告する椿。


「可愛い可愛い、報告しなくてもお小遣いなんだからいいんだよ。

 今日は剣一が服を見立ててくれるそうだから

 なんでも好きなもの買いなさい。

 今まで君の保護費を着服していた分も回収して

 君のためにきちんとあるから、ね」


「そんな……」


「子どもが遠慮するもんじゃない、美味しい物も食べてくるんだよ

 じいちゃんも一緒に行きたいなぁ~~」


「駄目! 却下! じゃあ早く行こう!

 椿ちゃん俺がもっと可愛いレディにする!

 プリティ・ウーマンごっこ!男の夢じゃん!」


 じゃあ、と雄剣と剣五郎はリビングに戻った

 椿は麗音愛を見ないまま玄関から出ていった。


「あ、椿ちゃん! 先行ってて!

 俺の車のとこ!」


 廊下で立ち尽くしてしまった麗音愛の前に

 剣一が立つ。


「お前さ、

 今日の相手が俺じゃなかったらどうすんの?」


「えっ」


「俺だからって油断すんなよ

 じゃ、お前は加正寺琴音とデート頑張れよ」


「なんなんだよ!」


「じゃあな~♫」


「おい!」


 兄への苛立ち

 最高に苛立つ。


 が、それより

 また胸が痛くて苦しい。

 剣一のため?

 それとも夜に会う川見のため?

 オシャレをしてこっちを見ようとしない椿の横顔がまた

 思い出される。


「玲央、時間は大丈夫なのか?」


「あ!うん、やばい」




 自転車をとばして

 待ち合わせの駅前に行くと時間丁度なのに

 加正寺琴音(かしょうじことね)が手を振って待っていた。


「ごめん! 待たせちゃったね」


「私が少し早く来ちゃったんです!

 嬉しくて」


 キラキラと嬉しそうに、自分の目を見つめてくる琴音に

 たじろいでしまうが

 態度に出してはさすがに失礼かと一応笑顔を返す。


 秋とはいえ、今日は晴天で気温も高く

 女の子らしくスカートの琴音。

 見るからに上質なブランド品のようで

 周りからも注目を集めていた。


「どうですかぁ? 

 今日のために新調したんですよ~」


「え? わざわざ?」


「そりゃ、玲央先輩とのデートですもん!」


「だからデートではなくて……」


「野外学習でしたっけ? は~い

 じゃあ、どこに行きます?」


 ニコニコと琴音は一歩、麗音愛に近寄り見上げる。


「え?」


「え? プラン考えてきてくれてないんですか?」


 全く考えていなかった。

 プランを考えるのが自分側の責任なのかとも

 思っていなかった。


「……正直に言うと、何も……ごめん」


「ふふ、玲央先輩のそういうとこも好きです!

 じゃあ、今日は私の行きたいところ! 行きましょう!」


 琴音が、手を挙げると

 高級車が一般車ロータリーに停車する。


 ぎゅっと麗音愛の腕に自分の腕を絡めた。

 琴音の柔らかい胸が思い切り当たる。


「ちょ、加正寺さん!」


「琴音! 琴音ですよ~玲央先輩」


 そういうと、

 琴音は高級車に麗音愛を引き入れた。

 ゴツい運転手が麗音愛を見て一礼すると

 琴音の『GOー!』という声と共に発進した。




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― 新着の感想 ―
[一言] あ……こりゃ駄目だ……椿との余りの違い…… 普通の高校生はドン引きするよ、琴音さん。
[一言] こんな嬉しくないデート(;ω;) 佐伯ヶ原くんに指摘され、川見先輩から告白されて、自分の気持ちにようやく気付きかけてきたというのにぃい たった一言から始まったすれ違いが悲し過ぎて は…
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