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異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第一章 テイマー、もふもふフェンリルと出会う
24/90

23 おやつができました!

 シャルティに教えてもらった魔法屋は、大通りの大きな店だった。いつも市場や小さなお店ばかりだったので、もっと早く来てみればよかったと苦笑する。


(なんかこう、貴族御用達のお店かと思ってた……)


 よくよく見れば、冒険者も出入りしていた。


「あ、でも……ルークを連れて中に入るわけにはいかないか」

『何? オレに店の前で待ってろというのか……!?』

「いや、でもなぁ……」


 どうしたものかと太一は悩む。しかし、ルークをこのまま店の前に……というのも、ほかの人を驚かせてしまいそうな気がする。

 一度、店に戻って一人で出直そうか……そう思った矢先、「タイチ!」と名前を呼ばれた。


「ん? あ、ヒメリ……!」

「やっほー! 魔法屋の前で、何してるの?」

「実は……」


 ヒメリに事情を説明すると、「なるほどね」と頷いた。


「それなら、私がルークと一緒に待ってるよ。そうすれば、太一は買い物できるでしょ?」

「え? それはそうだけど、悪いし……」


 太一が申し訳なさそうにすると、ヒメリがゆっくり首を振う。


「こないだ、カフェでご馳走になったからね。これくらいのお手伝いはさせてよ」


(なるほど、この間のお礼的な感じか……)


 だったら甘えてしまってもいいかと、太一は頷く。


「それじゃあ、お願いしようかな」

「うん、任せて!」


 しかし問題は、ルークがそれを了承するか……という点だ。太一がちらりとルークを見ると、不服そうな顔を隠そうともしていない。


(もしかして人間嫌いなのかな?)


「……ルーク、買い物してくるからちょっとだけ待っててくれ!」


 お願いします!! と、手を合わせて頼み込む。


『オレをこの女と二人にさせるつもりか……!』

「や、やっぱり駄目……? 待っててくれたら、ご褒美にビーズクッションを大きくしてやるぞ!」

『なんだと!?』


 太一の言葉に、ルークがくわっと目を見開いた。


『そんなに頼み込むなら仕方がない、待っていてやろう』

「おお……! さすが高貴なルークは話がわかるな!」

『そうだろう、そうだろう!!』


 とりあえずルークを褒めまくり、ご機嫌状態にしておく。きっと、これで一緒に待っていてくれるヒメリも幾分かは楽なはずだ。

 不機嫌なフェンリルの横になんて、とてもではないが居たくないだろう。


「じゃあ、ちょっと行ってくる!」

『早く戻るんだぞ』

「うん、ごゆっくり」




 魔法屋の中に入ると、冒険者やローブを着た錬金術師などで賑わいを見せていた。

 まず目に入ったのがいかにもという『ポーション』類だった。小瓶に入った色づいた液体に、テンションが上がる。

 ほかには薬草コーナーや、魔法具類のアイテムも置かれている。

 武器などの装備はないので、ファンタジー系のアイテムが売られている雑貨店と考えるのがいいだろう。


「へえ、面白い……っと、今はルークたちを待たせてるんだった」


 ゆっくり商品を見るのは今度にして、薬草コーナーへ足を向ける。

 そこには、太一の知っている魔力草も売られていた。


(あ、これは調理スキルに使えるからいくつか買っていこう)


 そして大本命の月下草を発見する。

 シャルティに見せてもらった通り、薄緑の葉に白の花が咲いている。どことなく神秘的で、確かに夜が似合いそうだと太一は感じた。


「問題は値段だけど……」


 販売は五本を一束にしているようで、一束一万チェルだった。


(お~、これは結構いいお値段ですね)


 ただ、月下草一本でクッキーがどの程度作れるかはまだわからない。原価が四〇〇チェルくらいになったらいいけど……と考える。


「とりあえず帰って作って、それからだ」


 月下草を一束と、魔力草は五束購入しておく。魔力草の方が安く、一束で一〇〇〇チェルだった。



 さくっと買い物を終わらせて店の外へ出ると、ルークとヒメリが睨みあうようなかたちになっていた。

 いや、睨んでいるのはルークだけで、ヒメリは困り顔だった。


「あー、お待たせ。ヒメリ、大丈夫だった?」

「わ、早いね! ルークはいい子だったから、大丈夫だったよ!」

『オレをなんだと思ってるんだ!』


 太一の言葉にヒメリは微笑み、ルークはふんと鼻息を荒くした。しかし尻尾が揺れているので、太一が戻って来たことが嬉しかったんだろう。


「んじゃ、帰って早速試してみるか」

「ねえねえ、そのおやつ作り……私も一緒に見てていい?」

「もちろん」


 興味深そうなヒメリを連れて、店へ戻った。



 ***



 さて、さっそくおやつ作りだ。

 材料はすべてそろっているので、あとはスキルを使うだけ。


 調理台の上には大量の苺、ニンジン、小麦粉、卵がある。そして一本の月下草。


「まずは月下草一本でどれくらいの量が作れるか確認しないと」

「いったいどんなおやつができるの?」

「それはできてからのお楽しみ、ってね! 【おやつ調理】」


 太一がスキルを使うと、一瞬で用意していた材料がほとんど消費されてしまった。そして代わりに、調理台の上には大量のクッキーが載っていた。

 しかもありがたいことに、袋に五個ずつ入っている。


「わお」

「ひゃ~! これはすごいね! いったいいくつあるんだろう」

「……数えよう」

「……うん!」


 太一が袋を綺麗に並べ、それをヒメリが数えていく。「いち、に……」と言う声はどんどん進み、「ななじゅう……」で止まった。


「すごいな、七〇袋も作れるのか」


 月下草の値段が高いと気にしていたが、そんなのはまったく問題のないレベルだった。

 脳内で計算を叩いて、材料費を計算していく。


(ざっくりだけど、四〇~五〇チェルくらいか)


 これならおやつを安く販売することができそうだと、太一は胸を撫でおろす。あとは、ベリーラビットが気に入ってくれるかどうかだ。


「よし! ヒメリ、今からベリーラビットにこのおやつをあげてみようと思うんだけど……」

「はいっ! 私あげたい!!」


 すぐにヒメリが挙手をして、ぴょんぴょん跳ねた。

 ということで、実食タイムです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] もふもふ!(聖句) [気になる点] ヒメリちゃんがスキルを見てあまり驚いていないこと、工程省いてしかも袋入りとか… あとルー君に大きなビーズクッション…
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