面倒事の攻略方?
すっかりご無沙汰してます。
とりあえずの投稿です
結局なんだかんだ言っても式を挙げるのは私達だからって事で納得して貰ったんだけど、それに至るまでの岡崎母のアタックはなかなか激しいものだったのよね。
「それじゃ祥子さんが可哀想。一生に一度の事なんだから・・・樹もっと何とかならないの?」
のらりくらりとかわす息子に懇願するよう迫る母って何だか違うような。だいたい一生に一度なんてあなたが懇願してる息子さんが否定してますから。既にこの人二度目は決まってるんだよねー。モチロン相手まで決定してるんだから性質が悪い。それなのに私にまで同意を求められ、もう誤魔化すしかないから曖昧に笑ってやり過ごす。揚句の果ては
「私、地味婚がいいと思っていたんですよ。だから式を挙げなくてもいいって言ったんですけど、でも樹さんがせっかくの門出だからケジメを付けたいって言って、それなら仕方がないよねって事でここに落ち着いたんですよ。ご相談しなかったのは申し訳なかったのですけど、ここらが私達の妥協点なのでこのまま進めさせて頂いてはいけませんか?」
自分たちの要望をさりげなく押し付ける手腕は伊達に営業職じゃないんだぜって所を遺憾なく発揮させて阻止したんだけど、納得してもらえた割には私自身がどこか後味の悪いものになってしまった感じで、隣で薄笑いを浮かべている男に怒りをぶつけたくなった。
まぁ目が笑ってないから思う所は一緒なのかもしれないけど。
そんなこんなでその日のうちに大まかな事はすべて決めてしまったために会場を後にしたのは予定よりも大分後になってしまったのは良かったのか悪かったのか
「じゃぁ私達はこれでお暇させて貰うけど、あなた達は積もる話もあるだろうからゆっくりしてきてね。」
一緒に帰るつもりが、爽やか笑顔で去っていく本当の事情を知らない女性三人組に置き去りにされて途方に暮れるしかないのは決定事項で、この先どうしようかって言うか何時に家に帰れば怪しまれないかいろんなパターンを想定していると
「それじゃ食事でもしていきませんか?」
なんて呑気な声が耳に入ってきた。思わず何言っちゃってるのこの人とジト目で見返すと薄笑いを浮かべてこちらを見ている岡崎 樹と目が合い、明らかにちょっと言ってみただけってのが丸分かりで馬鹿にされているみたいでムカつく。
「生憎、岡崎さんと行動を共にするつもりはありません。行きたいならお一人でどうぞ。あぁ声を掛ければいくらでも綺麗なおねえさんが付き合ってくれるんでしたね。どうぞ一晩にかかわらず幾晩でも素敵なアバンチュールをどうぞ」
嫌みを込めて返事をすれば片眉が上がってて
「そうですか。それは大変遺憾です」
と少々御立腹な返事が返ってきたのは想定外。苦笑いして適当にかわすだろうと思っていたから、あちゃーちょっと言い過ぎたかしらと思ったけど、この人前科持ちだし、あんな条件付けてくるぐらいだから私になんてこれっぽっちの気持ちも持ってないはず。ましてや誰かと遭遇する危険があるのに一緒にご飯なんてこっちからお断り。見つかったら何言われるか分かんないよ。ここは社交辞令で誤魔化しちゃえと思って
「すみません。ちょっと言い過ぎました。大人げなかったですね。それではまたの機会にお会いしましょう。」
そう言って帰ろうとした。したんだけど、がっつり腕掴まれて
「ちょっと待って下さい。」
なんて言われたら動くに動けない。一体なんなのよー確かに言い過ぎたとは思うよ?思うけどそこまでしなくてもいいじゃんよー。何すんだよコイツと言わんばかりに掴まれた腕をふりほどこうとするけど離してくれない。どんな馬鹿力だよそんなに掴んだら痛いだろうが。完全にムカつきながら
「なんですか?」
と聞けばやっと腕を離してくれた。
「ひとつ謝っておきたいんだ。すまなかった。まさかお袋があんなに口出しするなんて思ってなかったんだ。兄貴の時に全然手伝えなかったから、今回こそはと思ってるのかも知れない」
いや、別に謝って欲しいなんて思ってないんだけどね?実害はなかった訳だし?
「へっ?別に気にしてませんよ。だいたい余所様のおうちの事に口出しするつもりはないですからね」
あくまで私は契約上の人。どんな事情があろうが知ったこっちゃぁない。無事に来年の11月23日に離婚届け出せればそれで任務完了なんだから




