左大臣と左京

　御徒町の樹里は都で一番の美人で、帝のお姉さんでもあり、光源氏の君の血も引いている超絶的な家柄です。

「そうなんですか」

　樹里は笑顔全開で地の文の解説に応じました。何故か頬を赤くする地の文です。自称変態です。

「これはこれは樹里様、ようこそおいでくださいました」

　加古井（かこい）の中納言が愛想笑いをして言いました。

「そうなんですか」

　樹里は笑顔で応じ、左京に近づきます。

「左京様、参りましょう」

　樹里は笑顔全開で何も尋ねる事なく、左京を部屋から連れ出しました。

「樹里様、左京殿としばし話がしたいのですが、よろしいかな？」

　左大臣が呼び止めました。

「そうなんですか」

　樹里は振り向き様に笑顔全開で応じました。

（美しい）

　馨以下、五人衆と加藤の中将が見とれました。

　他の者は退室させられ、樹里と左京と左大臣のみです。

「其方は昔、帝をお助けした者ではないか？」

　左大臣が尋ねました。

「は？」

　左京は何の事かわからない顔をしました。