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樹里、命を狙われる
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
左京達が宴に興じている頃、樹里は町の路地で妙な声に呼び止められました。
「貴女様には何の恨みもございませぬが、死んでいただきます」
フワッと黒い影が樹里の前に舞い降りました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開なので、影はイラッとしました。
「少しは驚いてくださいませんか!?」
影は樹里に演技指導をしました。蜷川○雄気取りでしょうか?
「いつの時代の話だ!」
影は適当な例えを使う地の文に切れました。
「とりま、死んでくだされ!」
そう言いながらも、自分も適当な言葉で話す影です。
「そうはいかない!」
そこへ侍女のはるなと仲間の美咲が黒装束で現れました。
「く、邪魔が入ったか」
影は舌打ちをして逃げました。
「待て!」
はるなが走ります。
「追う必要はない、茜。黒幕はわかっている故」
美咲が言いました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。




