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左京、意外にモテる
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
女達が男達に対抗して品定めをしています。
「どうです、左大臣の子息様は?」
亜梨沙が言いました。すると、
「あり得ませぬ。軟弱で論外です」
帝のお妃候補とも言われている美子姫が言い切りました。
「身分は申し分ないのですが、ややお母上に寄り添い過ぎでしょう。それに妹君を溺愛しているのもあり得ませぬ」
大村の御息所の娘のもみじが言いました。
「五人衆にはろくな男はおりませぬ」
蘭が言いました。
「ではどなたが一番ですか?」
亜利沙はニヤリとして言いました。
「左京様です」
豚と河童と聖獣が声を揃えて言いました。
「前世と混同するな!」
三人が一斉に地の文に切れました。
「私は皆同じに見えまする」
もみじの発言に唖然とする亜梨沙と蘭と美子姫です。
樹里は由里の家を出て、邸に向かっていました。
「お命頂戴!」
どこからか声が聞こえました。




