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猫の正体
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しい家柄です。
その樹里を側室にしようとしていた関白の藤原道草は、実は猫の妖怪でした。
「俺は北の果てにあるお前達が蝦夷と呼んでいる地で最強の猫又だ。正体を知られた以上は、ここにいる者全員を関白同様食ってやる!」
猫の妖怪は開き直って凶悪な顔で皆を脅かしました。
「ひいい!」
ほとんどの者が怯む中、樹里は笑顔全開です。
「そうなんですか」
美子姫は闘志満々です。
(あの猫だけは許してはいけないと感じる。何故?)
それは前世の因縁だと思う地の文です。
「まずはお前からだ!」
猫又は樹里に襲いかかりました。
「樹里様!」
侍女のはるなと愉快な忍びさん達が慌てました。
「そんな紹介の仕方、やめてよ!」
はるなが地の文に抗議しました。
「高級またたびをあげましょう」
樹里が言いました。
「にゃおん」
猫又はたちまち戦意喪失です。




