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道草悶絶

 御徒町の樹里は都一の美人です。


 関白である藤原ふじわらの道草みちくさが用意した蓬莱ほうらいの玉の枝が偽物である事を指摘した樹里は袖から本物を出してみせました。


「ぐう、完全に後出しジャンケンにゃん、卑怯にゃん!」


 道草はもがきながら縁側から転げ落ち、庭をのた打ち回りました。


「道草公をお守りする!」


 そこに影五人が現れました。


「我があるじに危害を加えるなら、お命頂戴致す」


 樹里の侍女のはるなは焦りました。


(守りきれない)


 物語が終わるかと思った時です。


「そうはさせない!」


 おばさんが登場しました。


「おばさんて言うな!」


 先帝の桐壺院の遺命を受け、樹里を守護する忍びの度崙戸どろんとです。


「首領!」


 はるなが喜びました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開です。影とはるな達が睨み合う中、


「道草公をご覧なさい。その方は貴方達の主ではありませんよ」


 樹里が言うと、道草の身体中に長い毛が生え出しました。 

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