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道草、樹里に迫る

 御徒町の樹里は都で一番の美人です。


 その樹里を側室にしようと目論む関白の藤原ふじわらの道草みちくさは樹里に出された条件である蓬莱ほうらいの玉の枝を作り出しました。


 樹里は左京、そして侍女のはるなと共に道草が待つ部屋へと行きました。


「樹里姫様は諦めよ。私は蓬莱の玉の枝を手に入れた」


 勝ち誇った顔で言う道草です。


(そんな……)


 左京は顔面蒼白です。


(どんな手を使ったのだ?)


 はるなが怪しみました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開です。


「では、私の側室におなりくださるのですな?」


 道草が尋ねました。すると樹里は、


「本物の蓬莱の玉の枝でしたら、満月の夜に七色に輝きます。それを見届けたら、貴方の側室になりましょう」


 その言葉に道草はムッとしました。


(この期に及んで、まだそのような世迷い言を)


 そして、


「わかりました。今宵は満月。こちらでお待ちくだされ」


 道草はニヤリとしました。


(姫以外は影に始末させよう)

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