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左大臣危うし
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
その樹里を巡り、恐るべき陰謀が渦巻き始めました。
五人衆筆頭の馨は嫌な予感がしたので、父の左大臣の所に向かっていました。
「む?」
すると足元に紙が落ちています。
それには何者かが左大臣を襲うと書かれていました。
(道草公か?)
関白の藤原道草は馨の母の幼馴染で、許婚でした。
父から未だに道草は母を奪われた事を恨んでいると聞いています。
「父上」
馨は廊下を走りました。
その頃、樹里と左京も廊下を歩いていました。
「どちらに行かれるのですか?」
顔が真っ赤な左京が尋ねました。
「左大臣の所ですよ」
樹里は笑顔全開で応じました。
「え?」
左京は、樹里の侍女のはるなが言っていた事を思い出しました。
「はるなさんはミポリンの妹だったのですね」
樹里の不意のボケに、
「その忍じゃないです!」
はるなの声が言いました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。




