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馨の決意
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人です。
その樹里を側室にしようとする関白の藤原道草。
五人衆の面々も一部を除き、樹里に下心があります。
五人衆の筆頭である馨は道草が樹里を狙うのは権力の独占だと感じています。
「父上、樹里姫様に求婚致しますが、よろしいですか?」
馨は左大臣に言いました。
「道草公の野望を阻止するためには樹里姫をお守りするが一番。私には異存はない」
左大臣は馨にそう告げると奥方の澄子が待つ場所へと向かいました。
馨はすぐに樹里のいる部屋に行きました。
樹里は蘭と亜梨沙と美子姫に詰め寄られています。
「樹里様、お話があります」
馨が真顔で言うと、貧乏貴族の左京がビクッとしました。
(俺は「貧乏」を付けられたままなのか)
左京は泣きそうです。蘭達も馨相手では引き下がるしかありません。
「浦島太郎ですか?」
樹里が嬉しそうに尋ねます。
「その話じゃないです」
馨は項垂れました。




