54/1080
道草、左大臣邸にゆく
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
その樹里を側室にしようとする人がいます。
朝廷の最高権力者である藤原道草です。
(樹里を側室にすれば、私は帝と義兄弟。そしてあの女を亡き者にし、澄子を……)
左大臣の奥方は道草の幼馴染なのです。
(もうすぐこの国は私のものだ)
道草は悪魔のような顔で笑いました。
「左大臣の奥方を見舞うぞ」
道草はエロい顔をして御者に命じました。
五反田の左大臣は朝廷の自分の部屋で馨と話しています。
「道草公が何かを企んでいるのであれば、母上が危ういかと」
馨が言いました。
「使いを出して、澄子に方違えをするように伝えよう」
左大臣は言いました。
すっかり拍子抜けした大村の御息所達が立ち去る中、樹里のそばに恋敵が集まりました。
「姫、負けませんよ」
美子姫が言いました。そばで頷く亜梨沙と蘭です。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。




