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道草、左大臣邸にゆく

 御徒町の樹里は都で一番の美人です。


 その樹里を側室にしようとする人がいます。


 朝廷の最高権力者である藤原ふじわらの道草みちくさです。


(樹里を側室にすれば、私は帝と義兄弟。そしてあの女を亡き者にし、澄子を……)


 左大臣の奥方は道草の幼馴染なのです。


(もうすぐこの国は私のものだ)


 道草は悪魔のような顔で笑いました。


「左大臣の奥方を見舞うぞ」


 道草はエロい顔をして御者に命じました。


 


 五反田の左大臣は朝廷の自分の部屋で馨と話しています。


「道草公が何かを企んでいるのであれば、母上が危ういかと」


 馨が言いました。


「使いを出して、澄子に方違かたたがえをするように伝えよう」


 左大臣は言いました。


 


 すっかり拍子抜けした大村の御息所みやすどころ達が立ち去る中、樹里のそばに恋敵が集まりました。


「姫、負けませんよ」


 美子よしこ姫が言いました。そばで頷く亜梨沙と蘭です。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。

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