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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
82/136

9月2日/侑eyes    儚き命

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。



ー9月2日ー


ついに次の日が来た。


此処はデパートの中。

デパートで一晩を過ごした。


「起きろっ―――――!!!」


粢先輩の声がする。

ということは、俺は生きている。


眼を覚ませば、俺達の元の世界に戻れる。

そう希望抱いて、夢から覚めようとしていた。


だが、起きたのは異世界。

昨日の出来事は『幻』じゃない。

『現実』だった。


「おはようございます……」


デパートは薄暗い。朝だというににな……。


「おはようございます……」


菜月も身体を起こす。


「何て素晴らしい朝だ!おはようございます!璃桜先輩!」


異常に聖夜は元気だ。

確かに朝、美少女に起こされる朝は素晴らしい。

夢の状況だ。男なら誰でも最高だろう。

だが、此処が異世界のため、その『素晴らしい』は成立しない。

ってかそんな余裕ない。


「皆起きたか!?では、行くぞ!!」


えっ!? もう出発!?

まだ、覚醒してないのに……。


「もう出発ですか!?」


「あたりまえだ!ほら!行くぞ!!」


粢先輩がデパートの正面玄関に向かって歩く。

俺達はそれについていく。


「何かドキドキするな!」


テンションMAXの聖夜は話しかけてきた。

既に聖夜は覚醒済み。


「お前は前向きでいいな……」


「そうよ!少しは緊張感とか持てば!?」


菜月も眠気は覚めたようだ。

俺は自分の頬を両手でパンパンと叩き、

眠気を覚ます。


「持ってるだろ!?俺だってドキドキしてんだよ!」


「そういうドキドキじゃねえよっ!」


聖夜のドキドキと言うのは、粢先輩と行動するからドキドキなんだろ!?


「まぁ、いいや」


聖夜が話を終わらせた。

すると、聖夜が小さな声で俺に話しかける。


「……お前はドキドキしないのかよ……?」


「…………」


俺はあえて黙った。

たしかに粢先輩は可愛い。

だが、心にそんな余裕がない。

だから俺は答えなかった。


そして、俺達はデパートに別れを告げた。




◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇




「粢先輩、何処に行くんですか?」


「まずは武器の確保からだ」


武器の確保。それは本物の銃のことだろう。


「本物の銃ですか……?」


「当然だ。お前達は武器がない。ただ的になって死ぬだけになるぞ?」


それが『この世界のルール』だとでもいうのだろうか……。

武器を持たないと的になり容易く殺される。

俺はそれをこの眼で見た。

抵抗した俺達は生き延びた。

いや、抵抗したのは聖夜だけかもしれない。

次に殺されるのは、甘い考えの俺だろうな。


「…………」


黙ってしまった。

武器を持って戦わないと、自分すら助からない。

だが、人は殺せない……。

俺は、どうすればいい?


潤……。美唯……。


空を見上げた。

同じ空を潤達は見ているかな?

生きててくれよ……。潤……美唯……。

祈るしかなかった。


再び俺達は歩き始めた。




◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇




「…………」


先輩がいきなり歩みを止める。

下を見ているようだ。


「どうしたんですか?」


先輩に駆け寄る。

強烈な臭いが鼻を刺した。


「!!!!!!」


赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、

赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、

赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、

赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、


その場は赤に染まっていた。


そこにあったのは何十人の"死体"


火薬と血の臭いでむせ返りそうな激臭。

嗅ぐだけで頭かフラッとする。


此処でも人が死んでいる……。


人の命ってこんなにも簡単に儚いものなのか?

すると、粢先輩が歩き始めた。


「粢先輩!?」


先輩がその悲惨な場へ行く。

そして、その場にしゃがむ。


「おいおいおい……」


聖夜は右手で頭を掻き回している。


「え?どうしたの?」


唯一後ろにいた菜月が駆け寄ってくる。


「来るなっ!!!」


菜月に警告をする。

その言葉を言い終えたのと同時に菜月の足が止まる。

こんなの菜月が見たら駄目だ……。

惨すぎる。酷すぎる。


だが、俺達は死体を見るのはこれが初めてではない。

桜凛高校でも生徒が撃たれているのを見た。

それ異常に残酷な状況。


「ああ、菜月は見ない方がいい」


聖夜も警告をする。

この強烈な死臭。

これだけでも、どんな状況か想像はできる。


菜月もわかるだろう。

見なくてもこの状況であると言うことは……。


粢先輩が何かを持って帰ってくる。


「ハンドガンがあった」


粢先輩は手の平に乗せてあったハンドガンを俺に差し出す。


「え……?」


「侑、受け取れ」


本物の銃を受け取れだと!?

そのハンドガンのグリップは赤く染まっていた。

これは人間の血。

銃は見慣れている。

なのに、身体が震える。


「持っていろ」


粢先輩は躊躇していた俺に無理やり銃を渡す。

今、俺の手の中には銃がある。


「…………」


ズッシリと冷たく重たい。

俺は手の中にある銃を見つめる。

頭が真っ白くなる。


「聖夜も持っていろ」


次は聖夜にハンドガンを渡す。


「わかりました」


聖夜は迷わず受け取る。

眼にも迷いはなかった。


「銃は2丁しかなっかた」


誰に言ったのではなく、そうハッキリと言った。


「右折するぞ」


先輩が右に向かって歩いた。

あの残酷な場を避けて。



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