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引きこもり令嬢と呼ばれていますが、自由を謳歌しています  作者: 燈華


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母への相談

今回、短めです。

ラグリー家の屋敷に帰ったクラウディアは早速母に相談しに行った。

話を聞いた母は一つ頷く。


「ちょうどオルトが来るのよ。明日には着くはずだから連れていきなさい」


母の言葉にほっとする。

報酬の話などクラウディアの手に余る。


クラウディアが作った物を商人に売る時はオルトが同席して値段交渉をしてくれているのだ。

そんなオルトを連れていけるのなら安心だ。


「わかりました。ですが、オルトが来るなんて何かありましたか?」


オルトはラグリー家領地本邸で働く執事だ。

領地で何かあると彼が伝令として王都の屋敷にやってくることが多い。


「特に何かあったとは聞いてはいないからシルヴィアの商会の関係じゃないかしら」


オルトはシルヴィアの商会の手伝いもしているのだ。

執事と商会の仕事の二足のわらじは大変ではないか、と訊いたことがあるが、本人は笑って「やりがいがあります」と言うだけだった。


値段交渉とかはオルトに丸投げしているので、彼にいなくなられてしまうとクラウディアも困る。

だから不満があれば早めに言ってもらいたい。

クラウディアもできるだけ対処しようと思うし、家族にも対処してもらうから、とは言ってあるのだが本人は笑って「大丈夫ですよ」と言うばかりだ。


本当に大丈夫なのだろうか?

無理をしてないだろうか?

頑張りすぎて体調を崩したりはしていないだろうか?


その辺りはしっかりと見ていると領地本邸の使用人たちは言ってくれているが、心配だ。


余談だが、執事としての職務での給料はラグリー家が、商会の仕事の給料はシルヴィアが出している。

クラウディアの値段交渉については執事の職務内だと強固に主張されるため、特別手当ても出せない。

それなのでやはり物品での支給になってしまう。


「シルヴィアが呼んだのでしょうか?」

「どうかしら。シルヴィアからは何も聞いていないわ。クラウディアは何か聞いている?」


シルヴィアの商会で揉め事があったとは聞いていない。

オルトが来るのさえ今初めて知ったのだ。

ああ、でも。


「一部の商品が品薄だとは言っていました」

「あらそうなの。なら商品を運んできたのかもしれないわね」


なるほど。それは十分に考えられる。


シルヴィアの商会の商品は基本的に領地で作られたものだ。

特産品の農産物やその加工品だけではなく、領内の村や孤児院で作られた小物なども扱っている。

それらのものは領地にいればシルヴィアが、王都を離れられない時はオルトを始めとした商会の者が現地を回って仕入れていた。


時間があればクラウディアも同行することもあった。

きちんと値つけをするシルヴィアたちは大変だろうが、クラウディアはいろいろな人と話し、作品を見るのが純粋に楽しい。

だから同行させてもらうのは嬉しいことだったりする。


「そうかもしれませんね」

「まあ、明日オルトが来ればわかるでしょう」

「そうですね」


母の言葉にクラウディアも頷いてその話は終わった。


読んでいただき、ありがとうございました。

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