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引きこもり令嬢と呼ばれていますが、自由を謳歌しています  作者: 燈華


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調べものと下準備

アーネストと別れたクラウディアは棚の間を歩く。

今度こそ調べものをするのだ。

先日の様子を思い出し、関連のありそうな本がある一角を目指す。


この図書館は昔からよく通っていた。

小さい時は両親や兄が時間がある時にクラウディアをここに連れてきてくれた。

成長して一人で来られるようになってからは、王都に来た時によく来ていた。

だから、どこにどのような本が置かれているか、だいたい把握している。


うっかり他の本に興味が引かれないように本棚を見ることなく進んでいく。


何人かとすれ違ったり背後を通ったりするが、誰一人としてクラウディアたちに注意を払わない。

みなそれぞれの本に夢中だった。


ここはそういう場所だ。

誰もが自分の関心事に夢中になる場所。

他人には興味を持たない場所。


であると同時に矛盾するかもしれないが、人との出会いの場でもある。

同じことに興味を持った人物たちを繋ぎ、異なる分野の専門家たちが意見交換をして新しい着眼点を得ていたりする。


クラウディアにとってもここは出会いの場だ。

ヴィヴィアンと会ったのもこの図書館でだった。

他にも何人もの人にここで出会った。


いろんな人が教えてくれる未知なるもののことをクラウディアは目を輝かせて聞いたものだ。

みな無知なクラウディアに親切にもいろいろなことを教えてくれた。

そのまま付き合いがある人たちがほとんどだ。

みんないまだにクラウディアが知らないことを教えてくれるし、クラウディアの質問に丁寧に答えてくれる。

一度懐に入れた人物には親切な人たちばかりだ。


そんなことを思いながら歩いているうちに目的の場所についた。

本棚に並ぶ本に目をやり、関係のありそうな本を抜き取っていく。


「お嬢様、お持ちします」

「ありがとう」


キティがクラウディアが手に抱えている本を引き取ってくれる。

あと何冊か取って自席に戻ることにした。




「キティありがとう」


机の上に本を置いてくれたキティに改めて礼を言う。

キティは微笑む。


クラウディアは早速一冊手に取り、ぱらぱらとページをめくる。

目的の箇所を見つけて読みふける。

時折、必要そうな箇所をノートにメモしながら持ってきた本全てを手早く確認した。


今回は調べものなので該当の箇所だけ読めばいいので時間はそれほどかからない。

キティはクラウディアが読み終わった本を順次近くの返却用の棚に置きに行ってくれたので調べものが終わった机の上には本がなかった。


返却用の棚に置いておけば職員が適宜棚に戻してくれるので一々(いちいち)本を戻しに行く必要はない。

そのほうが適当に本を返されて行方不明にならなくて済むのでいいのだと仲良くなった職員がこっそりと教えてくれた。


余談だがこの図書館には本になっていない論文の類いも複製が作られ、置かれている。

さすがに今回はそちらにまで手を出す必要はなさそうだ。


本だけでもおおよそ知りたいことは知れた。

あとは、もう一度確認しに公園に行かなければ。


そうすると、地図もあったほうがいい。

簡易的なものを描いて持っていけばその場で書き込むこともできる。

だとしたら次は地図を取ってこよう。


各領地や国全体の地図は国家機密なのでここには置かれていないが、公園の全体図くらいならある。

王都のガイドブックにも載っているはずだ。

このガイドブックにしても王都全体の地図が載っているわけではなく、あくまでもお勧めの観光名所やお店が載っているだけで、場所は住所と簡易的な地図が書かれているだけだ。


クラウディアは立ち上がった。


「お嬢様、また本を探しに行かれますか?」

「ええ」


キティが札を机の上に置き、クラウディアに付き従う。


さてガイドブックがいいか、公園の緑地計画書がいいか。

一応、緑地計画書は機密としては低いということでこの図書館内のみで公開されている。

とりあえず両方を持ってきて見比べることにする。


できれば植生も知りたかった。

一応、樹木の図鑑も見てみるべきかしら?


目まぐるしく思考が(めぐ)る。

必要な本とその本のある本棚の位置を頭の中で確認しながら歩を進めた。




順調に調べものが進んだのでクラウディアにしては比較的早い時間に図書館を後にした。

詳しい人に会えたら伝えておこうと思ったのだが、結局、その日に会った知り合いはアーネストだけだった。

読んでいただき、ありがとうございました。

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