76話 決勝開始
操作間違えてどなたかのコメント消してしまった(´;ω;`)
この場でコメント感謝を伝えまする(≧▽≦)
翌日、会場への道中ではどこもかしこも先日の俺とレオンさんとの準決勝の話でもちきりだった。子供達は俺の真似をしてファイティングポーズしている子やレオンさんを真似て吠えている子まで居る。俺の羞恥よりも子供達の将来が不安になってしまった。一体親は何をしているのか、しっかりと勉強させてください。
帽子とマスクを被り、俺だとばれないよう変装して向かう事数分。
弄ってくる蒼を拳骨で黙らせ、テンションマックスの服部さんから元気を貰う。西連寺さんも笑顔なので喜んでくれていると思う。
「にゃ~」
「お、おう。頑張るからそこまで舐めんでくれよ」
追加で今日は黒猫のルイも付いてきている。俺の顔を執拗に舐めてくるので顔が大変なことになっているが俺もルイを撫でまくっているのでおあいこさまだ。
と、愉快な連中と移動し会場に到着した。
決勝までの時間はあと少しなので俺は若干急ぎ目に控え室へと向かう。
「お兄ちゃん頑張ってね~」
「無理はしちゃダメっすよ!」
「がんば~」
「圧勝しか許さないわよ」
「もしもの時は尻ぬぐいしてやるから、全力でやって来い!」
一人応援ではなく脅してる人がいる気がするがスルーだスルー。『行ってきます!』と返事をすると、皆と別れる。
控え室に到着すると、昨日のスタッフさんがせっせと行動して俺の準備に入る。気のせいか昨日よりも気合が入っているような気がする。
「あ、あのっ! サイン下さいっ!」
「あっズルい! 私も欲しいです!」
「私も!」
(こ、これはもしや。絶対者効果か?!)
・・・素晴らしい。
これならば俺もワンチャンあるかもしれん。
さらさらとサイン? まあ、俺の名前を書いただけの色紙を嬉しがってくれるスタッフの方々を見ると何だか自分が有名人になったような気が・・・いや、もう有名人か。
「柳選手、時間になりましたのでそろそろ準備を!」
「はい、分かりました」
どうやら時間のようだ。
最終確認として闘気を巡らせ体の調子を確認する。
「大丈夫だな、絶好調だ」
これならば今日はかなり先まで進めるかもしれない。
剣聖には悪いが今日の試合は俺の好き勝手に暴れさせてもらおう。
自信に満ちた笑みを浮かべると控え室から退出して戦場へと向かう。
『誰がこの展開を予想したでしょうか! 世界大会決勝、この場に立つのは【剣聖】ジャック・グラント選手! そして対する少年は新たな絶対者、柳隼人選手です! 昨日の戦いで世界にその名を轟かせたこの少年が今日、どのような姿を見せてくれるのか期待が高まってきます!』
「「「「うぉおおおおおおお!!!!!!」」」」
凄いな。昨日の準決勝では歓声など全くなかったが今日は会場中がその声を張り上げ俺とジャックさんの戦いを応援している。
でも不思議だ、微塵も緊張しない。
幸か不幸か、おそらく先日の神格化した時の影響が多少なりとも精神にも及んでいるのだろう。今回は良いように働いているが、やはりあまり能力で位階を上げるべきではないな。
「今日はいい試合にしよう」
目の前のジャックさんが俺に語り掛け、右手を差し出す。
「ええ、全力を出し合いましょう」
ハーレム野郎は断罪する。これ、絶対。
皆もテストに出るから覚えていてくれ。
しかし、準決勝の時と違いジャックさんの腰には剣がない。
手加減なしで初っ端から能力を発動させる気だろう。少しぐらい舐めてくれた方が倒しやすいのだが上手くいかないものだ。
『それではフィールドに移動します!』
毎度よろしく光に包まれた後、フィールドへと転送される。
「これはまた・・・面白いとこに来たな」
周囲の光景を一言で表すと“荒廃した世界”だ。
建築物は老朽化して崩れ落ち見た事も無い植物が生い茂っている。一体だれが考えたフィールドかは知らないが怪物に人間が敗北したらこんな世界になるのかもしれない。
カウントの残りは二十秒。
ジャックさんの位置は俺から十メートル離れた建物の上に立っている。
一瞬で間合いを詰められるとしても俺の方が早いだろう。
「ふぅ」
息を整えて、静かに目を瞑る。
そして、数秒後。
【FIGHT!】
――さあ、派手にいこう。
「位階上昇――滅亡の時だ、太陽神」
俺目掛け疾走するジャックさんが目を見開くと共に上空へと飛び上がる。
そのコンマ一秒後、大地の尽くが死に絶えた。
◇
俺は周囲に六つの炎で生成された腕を浮遊させながら、上空へと跳躍したジャックさんを見上げる。
(さて、これからどうしますか?)
神剣すら統括しているジャックさんの能力であれば炎に対する切り札も持っているだろう。
「来てくれ、フレーリア」
ジャックさんの呟きと共に一本の剣が姿を現す。
そしてジャックさんが地面に着地すると、その足元だけ凍りつき俺の炎を無効化する。
雪のように白く、極寒の冷気を纏うその剣は己の主人を守るが如く周囲の空気を侵食している。
(あれは神剣・・・か? 知らない剣だな、新しく誕生したものかもしれないな)
「いや~ 驚かせてくれるねえ。もしかして君って多重能力者なのかい? 理論上では不可能なはずなのだけど」
「さあ、それはどうでしょう」
「まあそう簡単に自分の手の内は教えてくれないよね」
互いに軽口を投げ合っているが両者に隙は微塵もない。
(まずは軽く性能を試すか)
「炎槍」
俺の言葉に従い炎が槍の形をとる。
「行け」
命令のままに十の槍が目の前の敵へと迫る。
しかし、ジャックさんへと辿り着く前に全ての槍が霧散する。
「ふむ。高性能だな」
ジャックさんのおよそ二メートルの距離から槍が凍り、辿り着く前にガラスのように粉々に散ったのだ。神剣ないしは宝剣クラスの剣の中でも中級以上に位置している剣だろう。これでも力を抑えているのなら間違いなく上位の性能だ。
「なら、これならどうです? 炎槍」
先程と同じ炎槍だが、それに込められた火力は先程の比ではない。
手を前に下ろすと同時にジャックさんに再度放たれた攻撃は、凍る事なく前進し、目標へと辿り着く。
「いくらやっても無駄だよ」
目にも見えぬ一閃で全ての槍が切り払われる。
だが、それでいい。
ジャックさんが剣で切り払った事実があれば十分だ。
「捕らえろ」
一帯に吹きあがる炎が縄の形に変わり、次々にジャックさんに躍りかかる。
「凍てつけ、フレーリア」
ジャックさんを中心に冷気が周囲を侵食し、直前で夥しい量の縄を模した炎が凍りつく。
一拍おいてその芸術に亀裂が入り、炎の大蛇が冷気を食い破るようにして躍り出る。
「はっ!」
上段からの斬撃。
抵抗する間もなく大蛇は縦に両断され、大きく爆発する。
その爆風諸共剣で薙ぎ払われるが、一瞬の死角が出来た。
爆風が晴れる間際、俺の周囲を浮遊する腕の一本がその手を広げ握りつぶさんとジャックさんと衝突する。
寸前で剣を滑りこませたジャックさんがそのまま一本の手を切り捨てようと横薙ぎに振るうが、炎の腕は両断される事なくジャックさんを弾丸の如く勢いで押し続け、溶解してる建物を次々に跡形もなく消し去っていく。
「強いなあ、少し僕も熱くなってきたよ」
俺も浮遊し、炎の腕に吹き飛ばされるジャックさんを追う中、どこか喜色を帯びた声が響く。
その直後、ジャックさんを捕らえていた炎の腕が突如として消滅した。そして空中で態勢を立て直し地面に降りつつジャックさんの手には冷気を操作している剣と新たに現れた白銀の剣が握られている。
「まあ、一本で戦う訳ないよね」
まったく、厄介な能力だな。
多重能力者と変わらないじゃねえか。
ここからどう崩そうか。
明日は一日休もうかなあと思っております。寝みい(´ぅω・`)ネムイ





